恨み
すみませんでした(ノД`)・゜・。
やっとこの時が来た。
今まで長くこの時を待ち望んでいた。
奴等にされたことを。
奴等の大切な者共に。
俺達の恨みを晴らす時が来た。
「落ち着きなさい。今までの事を思い出しなさい」
「ああ……悪い」
暗闇に包まれた洞窟の中で、二人の男女が静かに時を待つように潜んでいた。
彼等の肌は黒く、耳が尖っており、見た目ではダークエルフという種族に見える。
しかし、彼等はダークエルフの持ちえない、黒く染まった翼を持っていた。
そんな彼等の種族は、魔族。
人類の敵として認識されている種族だ。
「私達が今までしてきた事は全てこの時の為なのよ。自分の感情で無駄にして欲しくはないわ」
「すまない。やっと復讐出来ると思うと抑え切れなかったんだ。もう大丈夫落ち着いてきた」
岩に腰を下ろし、膝の上で血が流れる程に拳を握りしめ、俯いていた男が顔を上げながら言う。
「そう?なら良いけど。あんまり心配させないでね、私に残った最後の家族なんだから」
男の言葉に少し安心した女は腕を組みながら、男の後ろに背中を向けて座った。
「ああ、もう俺達しかあの村の生き残りはいない。分かっている、あんたを一人にはしないさ。その為に
ここまで強くなったんだ」
男は少し愁いを込められた言葉を口にする。
その言葉は二人しかいないこの空間に染み込む様に、ゆっくりと消えて行く。
二人は少し昔の事を思い出していた。
「あの光景は……俺達のような奴を増やすわけにはいかないんだ」
男は握り締めていた拳をさらに、強く握った為に血を流していた。
「大丈夫、その為に私達がやるんでしょ?」
男を落ち着かせるように、後ろから抱き締めながら男の拳を優しく覆い、ゆっくりと開かせ、指を絡めて行く。
男と女はそのまま目を閉じ、来たる時に備えるように暗闇の中に溶けて行った。
溜まったもの投稿します(; ・`д・´)