嵐が去った…?
(ノД`)・゜・。
「「ジェシー」」
あまりの事に驚いて言葉を無くすアルと女性。
二人の頬には一筋の汗が流れていた。
「で、二人はこの忙しい時に何をしていたんですか?」
ジェシーは言葉を発せずに固まってしまっている二人に三度目となる質問をした。
「こ、これは…その…」
「依頼の完了手続きをしてもらってたんだよ」
(ブンブン…!)
女性が説明出来なそうと見て、アルが説明し、その言葉を聞いて頭を縦に振る行為で女性が肯定した。
「…へぇー。じゃあ何でさっきは二人共固まって動かなかったんですか?」
「そ、それは向こうが騒がしくなって、どうしたんだろうって考えてたんだよ」
「そ、そうだよ。べ、別に変な空気になって会話が止まって固まったとかじゃないから!」
「…変な空気ねぇ」
「「っは!」」
ジェシーの迫力に釣られて、アルがあえて触れない様にしていた事を女性が言ってしまった。
勿論その事をジェシーが無視することはなく、彼女を刺激するような事になってしまった。
アルと女性はジェシーの状態が酷くなった事に気圧され一歩後ろへと下がってしまう。
「二人共ここがどこだか分かっていますか?」
「「冒険者ギルドです…」」
「そうです。しかも今は人が多く忙しい時間です」
「「はい…」」
「では、あなた方の行動がどの様に感じるか分かりますね?」
「「はい、すみませんでした…」」
ジェシーの迫力に圧倒され二人は頷く事しか出来なかった。
勿論他の冒険者も見ていたがそれは最初だけで、途中からはその場にいた全員が顔を逸らしていた。
彼等もいつ飛び火して怒られるのか分からずに逸らしたのだろう。まぁ、その時点で自分に疾しい事があると言っている様なものだが。
「では、私は戻るので二人も早く終わらせてくださいね」
「「はい」」
言いたい事を言ったジェシーはそのままもといた場所へ行こうとする。
「ああ、それとアルさん終わったら二時間後にまた来てください」
「ん?なんで?」
「ギルドマスターがお呼びです」
「この後予定が…」
「来てくださいね」
「はい、来ます」
言い忘れていた事をアルに伝え今度こそ去って行くジェシー。
ギルドマスターが待っていると聞いたアルは顔を青くしていた。
(ギ、ギルドマスターが待っているってどういう事だ?依頼で済むならいいんだが)
アルは呼び出される理由について様々な事を考えていた。
「あ、あの~大丈夫ですか?顔色が悪いですよ」
「あ、ああ。大丈夫、大丈夫」
「ならいいんですけど」
アルの顔が青くなっている事に心配をして女性が声をかけた。
アルはその言葉で考えるのを諦めた。
「で、報酬は?」
「はい、今回はポーションが二十本だったので銀貨二十枚とマルタが九束あったので銅貨十五枚、合計銀貨二十枚と銅貨十五枚になります」
そう言い女性は木を削って出来たトレーに銀貨と銅貨を載せて差し出した。
アルは報酬が合っている事を確認してポーチの中から小さい巾着を取り出しその中へ入れた。
「ありがとう、それじゃまた二時間後に来るよ」
「は、はいお疲れ様です」
女性はアルに頭を下げ、アルは手を振りフードを被り直してから人混みに紛れる様にして出て行った。
(´・ω・`)