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力と引き換えに新たな生活を  作者: シャドウ
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何気ない一日

初めての投稿です!

暖かい目で見てくれるとありがたいです(-_-)

 薄暗い森の植物の表面には雫が浮かび、夜から朝に切り替わる気温差によって薄らと霧が辺りを覆う。

 

 「おっ、こんなところに薬草が生えてるなんてラッキー」


 小さな鞄を肩に掛け森を歩いていた青年は木の根元に座り込み、丸い葉を生やした草を根元から引き抜き鞄に入れた。

 この草の名は、マルサと言いこのマルサを絞って出てきた汁は傷薬として使われている。

 マルサを収集した青年は鞄を掛け直し歩き出す。

 少し歩くと森から出た。

 出た所はせり出した崖で、そこからは美しい景色が広がっていた。

 崖の下には森が広がり、空には鳥類が大きく翼を広げ飛び、小動物の鳴き声が耳をなでる。そして昇ったばかりの太陽がその光で世界を照らし出す。


 「うーん。やっぱりこの景色は最高だな」


 景色を見ながら体の凝りを崩していく青年。

 彼の名はアルベルト、アルと呼ばれており彼は薬師として店を持ち働いている。

 さらには、薬師として自ら薬草を取りに行くので冒険者もやっている。勿論普通の薬師は冒険者に依頼を出すか、商人から買うため取りに行くことはない。

 冒険者にはランクがあり、S、A、B、C、D、E、となっている。

 これと同じようにモンスター、魔物にもランクが付けられている。

 魔物の強さを冒険者で考えると、同じランクで戦うと冒険者が勝つが一つ下のランクでは五人は必要になるといった感じだ。

 冒険者と魔物のランクはSが上限ではない。その上にSSランク、SSSランクがいる。しかし実際にはSランクでさえ現れない。

 魔物は動物からなるものが多いからだ。

 この世界には魔力が溢れている。しかし、魔力は一定の濃さで広がっているのではない。

 魔力が濃い所では魔物が現れやすく、薄い所では現れづらい。

 動物には魔力は殆ど感知することは出来ず体内に取り込み続け魔物へと進化をする。

 動物が魔物へと進化するのには差がある。

 それ以外にも魔物が現れる事がある。

 魔力の結合。

 魔力が一定の濃さとなったとき、一つの塊になり魔物を生み出す。

 なぜこうなるのか分かっておらず、現れる魔物は様々な強さで現れる。

 そんな魔物と戦ったりするのが冒険者の仕事だ。

 冒険者にはそれ以外に迷宮、ダンジョンに行ったりする。

 アルはその冒険者で


――――――――Sランクだ


 アルは森の中を歩いていた。

 そこは先程の景色を見に行くために来た道であった。

 景色を堪能したアルは仕事があるため街へ帰る。これは今まで変わらずにしてきたことだ。

 数分後、森の終わりまでやって来ると大きな壁で囲まれた街が見えてくる。

 街の名はイルーダ。冒険者の始まりの街と言われている。

 この街の近くあるアルが出てきた森は魔物の強さがDランクと低く、新人の冒険者の腕試しの場所となっている。

 人が集まっている所に現れるのが商人だ。

 彼らは冒険者に物を売る為、武器、薬、携帯食料などを持ってやって来る。

 勿論この街には鍛冶師など専門職の者がいる為その武器を買い、遠くの地で売る商人もいる。

 そんなこんなで人が多く集まっている事から街でも大きくなり、商業都市としても有名である。

 街には四つの門がありそれぞれ森を北として東西南北に設置されている。

 アルは森に一番近い北門に向かって歩いていった。

 門には数人の門番が居り、一人一人街に入る者を審査していく為行列が出来るが、朝早いこともあってか誰も並んでいなかった。


 「ようアル、おはよう」

 「ああギャスター、おはよう」


 門番である男と挨拶を交わすアル。


 「それじゃカードを見せてくれ」

 「ああ、ほら」


 そう言い鞄から一枚の鉄で出来たカードを渡すアル。


 「毎日すまんな」

 「いいや、これも仕事だからな仕方ないさ」


 申し訳なさそうに言うアルだが、仕事だからと笑って見せるギャスター。

 カードを受け取ったギャスターは掌ほどの水晶に翳した。


 「ん、問題なしだな。通っていいぞ」

 「ありがとうな」


 カードを返してもらったアルは鞄に入れてから街の中へ入っていく。

 街の構造は、それぞれの門から中央に向かって大きな道が伸びており、壁に沿うようにも道がある。

 例えると丸い円の中に十字の道があるといった感じだ。

 街の店は中央から物を扱う店、食品の扱う店、宿屋、住宅、と区切られている。

 アルは中央へと続く道を歩いて行く。

 やがて大きな建物の前までやって来た。

 その建物は冒険者が集う場所、冒険者ギルドだ。

 アルはそのままギルドの中に入っていく。

 ギルドの中にはカウンターと紙が貼られた掲示板があった。


 「良かった時間は間に合ったみたいだな」


 ギルド内に人の姿が見えない事に安堵するアル。


 「何を言ってるんですか、間に合ったとは言えギリギリですよ?しっかりしてください」


 そんなアルに困ったように眉間に皺を寄せる女性。


 「ごめんごめん。やっぱりあの景色を見ないと一日が始まらないんだよ。ジェシーも見ただろう?」

 「確かにあの景色は綺麗でしたけど、毎日見て飽きないんですか?」


 口では謝りつつも笑みを浮かべながら言い訳を述べるアルに同意しつつも、呆れたように聞く女性、ジェシー。


 「うーん、自分が気に入った物や日常的に見ている物に飽きないように、多分飽きることはないんじゃないかな?」


 アルは少しの間考えるが飽きることは無いと答える。


 「はぁ、なんとなくそう言うと分かっていましたよ」


 アルの答えを分かっていたとため息を付くジェシー。


 「とまぁ、話はここまでにしておいて今回の依頼は?」

 「……そうですね、依頼に移りましょうか」


 人を振り回すように話をするアルに対し、少なからず不快感を覚えるジェシーだが、気を取り直してカウンターの引き出しから三枚の紙を取り出す。


 「今回の依頼はこの三枚ですね」

 「ふーん、どれどれ?……薬草の採取に、魔物退治、それにポーションの製作か」

 「はい。ポーションの製作はギルドからの依頼で、残り二つは街の薬師と、近くにあるルイードの街ですね」


 出された紙は依頼書でそれぞれ違う依頼だ。

 薬草の採取は、

   薬草採取

      依頼主  フィーネル・ルー

 依頼内容

  ポーションの素材となる、マルタの採取

 報酬はマルタを三束につき銅貨五枚


 続いて魔物退治は、

   魔物退治

      依頼主  ハーネル・ウォーカー

 依頼内容

  ルイードの近くに巣を作ったキラービーの討伐

  討伐には街から出て一斉にやる為勝手に討伐に行かず、ギルドに来ること。

 報酬はキラービー一体につき銅貨十枚


 最後にポーションの製作依頼、

   ポーション製作

      依頼主  イルーダ冒険者ギルド

 依頼内容

  回復ポーションの製作

 報酬はポーション一つにつき銀貨一枚

 と、なっている。


 ここでの金銭は、銅貨五十枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚、金貨千枚で白金貨一枚、白金貨百枚で黒金貨一枚となるが、通常は銀貨までしか使わず、商人でも白金貨ぐらいしか使わない。

 そう考えて依頼を見てみると、ポーション一つで銀貨一枚とはとてもおいしい依頼だろう。

 ポーションにはマルタの他に、エイの実が必要となるのだが、エイの実が沢山の量を必要とする。

 その数は一つのポーションにつき三個必要となる。

 何故ならエイの実から取れる果汁がポーション作りに必要で、一つでは足りないからだ。

 エイの実はそのまま食べる事ができ、味も良い為一つ銅貨二枚はする。

 マルタの葉はさらに多くの葉が必要となり、一束二百グラム程必要となる。

 さらに、ポーションを入れる瓶にも費用が掛かり、それは一つ銅貨十枚する。

 合計でポーション一本が銅貨十七枚で出来る。

 そう考えると、一本につき銅貨三十三枚の利益となる。

 命を賭ける冒険者の依頼とは違い、ポーションを作るだけでかなり儲ける事が出来る為多くの人がポーションを作ろうとするが、ポーションを作るには『薬品製作』スキルが必要になる。

 スキルとは、何度も同じ事を繰り返すことにより得られるが、生まれた時から持っている人もいる。

 アルはこのスキルを生まれた時から持っていた。

 彼のスキルに気付いた時の話は今度する。

 ポーションはスキルが無いと出来ないことも無いが、その場合全てのポーションは下級の物となる。

 ちなみにスキル持ちだと、殆どの確率で中級の物が出来、極まれに上級の物が出来る。

 ポーションの種類には下級、中級、上級の三種類ありそれぞれの効果は、切り傷など外傷が治る、骨折など内傷が治る、外傷内傷共に治る、と言った効果がある。

 冒険者など体に傷を負う職業の者は、上級のポーションを求めるが希少価値が高いので、中級と下級を持っている。

 価格は下級から銀貨一枚と銅貨十五枚、銀貨三枚、金貨二十枚となっており、平民の基本月収は銀貨十五枚となっている為、高価な物だと分かるだろう。


 「このポーションはいつも通りに中級で良いんだよね」

 「はい、そうです」


 『ポーション製作』とだけ書かれた紙を見てアルが聞くが、肯定の答えが返って来た。


 「全部期限が書かれてないんだけど?」


 本来依頼に書かれている期限が書かれていない事を問うアル。


 「まず魔物討伐は一定の冒険者が集まるまで行動を起せないため期限の設定が無く、薬草は常に張り出されているランク制限の無い物です、ポーションなのですが一定の個数、三十個程出来たら持って来て欲しいので期限が設定されていません」

 「なるほどね」


 頷きながら依頼書を見直すアル。


 「うん分かった。これを受けるよ」


 顔を上げたアルは依頼書をジェシーに渡した。


 「はい。ではよろしくお願いしますね」


 依頼書を受け取ったジェシーは笑顔を向けた。

 アルはジェシーの笑顔を受け取りギルドから出て行った。




 アルはギルドから出て外壁に向かって歩いて行く。

 徐々に人が少なくなっていく。

 人が少なくなるに連れて道端にいる人が現れる。

 アルはそんな道を一人歩いて行く。

 やがて、一本の脇道に入っていった。

 それから数回角を曲がり、家の前に辿り着いた。

 アルは家に入って行くが、アルの家の周りには二つ程家が入る位の更地が広がっていた。





読んでいただきありがとうございます。

投稿は月に一回、もしくは切りの良いところまで出来たら投稿します。

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