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海辺の家  作者: ボン
1/4

〜Tamarama house 〜

この本を読み終わった頃、あなたはお金を貯め始めで、飛行機のチケットを買い、旅に出てる事を願います。

私は21歳だった。この本の中では私は「ひかる」という名前にしておく。


これは、隅から隅まで、本当にあった話。自分はまるで映画の中に暮らしているような、毎日


が事件とロマンにあふれていた日々の海辺での出来事である。


ある朝、目が覚めると同居人たちがいつもより興奮気味で騒いでいた。


「イスが天井に突き刺さってるんだって・・・ベットさかさまで、壁もつき抜かれてるって・・・ひかる、一緒に見に行こう!」


そう誘ってきたのは同じ部屋に住んでいるスペイン人の女の子。


噂どうり、下の階に住んでいたアイルランド人5人組みはやらかしてくれた。


テレビは家のベランダから下に投げ落とし粉々になっていた。


昨日まで人が住む「家」だったとは思えない、悲惨な光景。


壁は全てはがされて、つきぬかれて、何部屋あったのか分からない。


天井にはイスの足がささっていて、ちょっと美術館のよう。


昨日のみ散らかしたまま、夜中に彼らは去っていった。


ちなみに下の階、ウチ、隣は同じ大家さん。みんなに嫌われていたイスラエル人の大家。


私は彼の事は嫌いじゃなかった。彼も私の事はすごく気に入っていた。だからこの下の階に


起きた事を見て、少し同情した。



その数日後、隣の家はもっと悲惨な事になった。


壁は、バーベキューソース、からし、ケチャップを満遍なくふりまかれ、色とりどりになって


いた。足元にはつながったままのソーセージなどの生ゴミが山になっていた。


家中がにおった。


下の階の場合とは違って、とにかくどこもかしこも「ぬるぬる」にされていた。


もちろん、犯人は隣に住んでいて、出て行った奴らだ。




私はその頃、オーストラリアに住んでいた。シドニーの海辺。


キッチンから見えるのはとても高い位置にある海。


晴れている日は「真っ青」としか表現できない「真っ青」な海。


曇っている日はグレーで、キッチンでは


「なんなんだこのクソ天気!!」


と怒りくるったイタリア人の同居人が片手を空に向けて振り回し暴言を吐く。


私たちはそのころ確か、8人でその海辺の家をシェアしていた。


8人といっても、いつも8人だったわけではないし、いつも同じメンバーの8人だったわけで


もない。私がそこに8ヶ月住んでいた間、何人がいれかわっただろう・・・


思い出すと本当にきりがない。何しろ、1ヶ月もいない人もいれば、ウチに住んでいないくせ


に毎日ウチにいる奴もいた。ドアにはめったに鍵をかけず、ドアに鍵が万が一かかっていた


場合は、キッチンの窓を開けてよじ登って中に入ることができた。


部屋は3つ。3人の男部屋、2人の男部屋、3人の女部屋があった。お風呂とトイレは一緒で、


1つしかなかった。誰かがシャワーを浴びている時はもちろんトイレは我慢しなければいけな


い。冷蔵庫は1台。8人分の食料が入っている。気がつくと誰かに自分の分の食料が食べられて


しまうのなんか日常茶飯事。新しく牛乳を買っても、夕方には誰かに飲まれて半分になってい


る事もしばしばあった。


冷蔵庫の後ろには小さいゴキブリがいっぱいいて、時々外にでてくる。


食器を洗わないで山積みになるまでほったらかす人も中にはいた。


それで大喧嘩になり、怒ったイタリア人が窓から皿を投げた事もあった。もちろんその皿は


割れた。


そんな、「完璧」とはいえない家に8ヶ月も住む事になるとは、入居した時には想像もつかな


かった。毎日最低8人、最高多分50人くらいいるようなうるさくて汚い家。


でもそこから離れられなくなり、そして離れなきゃいけなくなった。






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