キマイラⅢ~魔王の私 共通①
とある街の教会、桃色の髪を二つに結った少女がベンチにたたずむ。
少女はランチボックスからサンドイッチをとりだし口へ運ぶ。
「よう」
赤毛の青年は弁当箱に入っていたミニトマトをひょいと摘まみあげ口に放った。
「貴方はたしか対魔師さんですよね」
この教会にはよくそういう仕事の人がくる。
「おう月下端気烏っていうんだ。アンタはたしか夢木ちゃんだっけか?」
「そうですが私になにか用でも?」
私は教会の牧師:昌乃陽光の養女となった。
「あーオレの兄貴が実際の話を元に作ったとかでゲームソフトを貰ったんだが」
彼にCDケース入りのディスクを差し出された。
「貴方はプレイなさらないんですか?」
「俺は今時のメカとかさっぱりだからなあ……」
「じゃあお借りします」
私は特殊な家に生まれたせいか、あまり世間をしらないのでいい機会だと思う。
「バタカンチン教会から悪魔の封印が解かれたと連絡があった」
「なんだって!」
父の言葉に義理の兄・水裳は驚きの声を上げている。
もしかして彼がやってきたのはこの件を伝えるため?
「これが悪魔の潜伏先の見取り図だ」
「……よりによってこのジャポナスに全悪魔が密集しているなんて」
「だが悪魔を封じるアイテムはない」
「……夢木ならば封じられるのでは?」
――私は代々悪魔を封じる一族の末裔。だから悪魔がいたら倒すのは私がだ。
「はあ……」
部屋に戻って借りたゲームを始める。
プレイヤーに配慮された無個性な主人公が王の命令で魔王を倒しにいく話。
という簡単なあらすじが挟んである。いくら個性なしでも主人公は男だよね。
「性別の選択あるのか……」
ゲームを始めるとさっそく魔王の化身であるドラゴンが暴れたという過去のシーン。
こういうのは童話でよく見る光景だ。
それから長々と歴史を語られ、いつ主人公が出てくるのかわからない。
なにやら王子が出てきた。ありがちな金髪のカボチャパンツだがイケメンだ。
そしてお姫様とバルコニーで会話が始まる。やる気を無くしてきた。
「もうやめよ……」
電源を切ると、私は意識をなくした。




