ホラーハウス 共通①
「ホラーハウス?」
「そう、本屋の近くにあるでしょ?」
そこは今流行りなのだと友人が言った。
「なんでもイケメンゴーストがいるって噂なの!!」
「イケメンでも幽霊でしょ」
ホラーハウスなんて見に行くことは一生ない。
「借金1兆!!?」
私は窮地にたたされた。
両親が借金をし、失踪した。
親戚の話では知り合いの富豪と結婚すれば借金を代わりに立て替えてくれるとのことだが……。
「ふっざけんじゃないわよ!!」
私は逃げることにする。
「よ、アリアナ」
「あ、グレイン」
彼は幼馴染だ。こんなときに会うなんて幸か不幸か。
私は借金のことを話した。
「んな借金、俺ん家の組織に入ればチャラになるって!」
「組織……」
彼はヤクゥザのドンの息子だ。カタギとして丁重にお断りする。
「あーどうしよう」
「どうしたんだい、お嬢さん」
「いえなんでも」
柔らかな雰囲気の美形が声をかけてきた。
怪しいので近づかないようにしよう。
「ね、お金に困っている知り合いとか、いないかな?」
彼は金貸し屋なのかな。
「……知り合いというより私が困っているんですけど」
「そっか、ならついてきて」
「……なんですかここ」
「ギロウ館」
いかがわしい店で働けと?
「さよなら」
私は逃走した。
「ホラーハウス……」
借金から身を隠すならここが一番よさそう。
いかがわしい店やヤクゥザの女になるくらいなら飢え死にしたほうがマシだ。
「よし、入ろう」
―――――――――――
「うわ!」
ガタりという物音がした。
「あ……」
「うわああああ!…なんだ人か…」
「悪い。驚かせるつもりはなかったんだ」
「いえ、こっちこそ勘違いしてすみません」
「「どうしてここに…」」
「あ、お先にどうぞ」
「実は両親が決めた結婚が嫌でな……」
「そうなんですか…私は借金で……」
「まあ。しばらくはここにいれば誰もこないだろう」
「そうですね」
「何か食えるものでも探すか」
こうして私は彼とホラーハウスを探検することになった。