レイヤー 共通①
「時代はコスプレだよね」
最近コスプレが流行っている。
町を歩けば老若男女、ほぼコスプレをして出歩いている。
…この前は家の母まで普段は着ない割烹着を着ていた。
それに触発されたわけじゃあないけど、私も取り残されないようにコスプレをしてみよう。
服を作るために針と糸を――――。
持っただけなのにブルブル震える。
あわや指に刺さるところだった。
いやいや針に糸を通すだけだ。
そう自分に言い聞かせるが、やはりダメだった。
「いだっ!」
一秒に指8本を刺してしまった。
昔から私は裁縫が苦手である。
女の子なんだから―――と裁縫が得意なクラスの上位カーストとかいうやつに、冷やかされてから更に裁縫が大嫌いになった。
なんて、他人のせいにしたが、単に向いていないだけである。
代わりに縫ってくれる人、いないかな。
「おっ!」
コスプレ衣装の新しいサイトが出来ていたみたい。
気に入ったデザインのものを買う。
サンタモチーフで、生地は白くて、別売りの靴は柔らかそうなぼんぼりの付いたロングブーツ。
「買いっと」
このときの私は、後に大変な事がおきるなんて知らなかった。
―――
「お醤油買ってきてー」
「はーい」
買い物のため外に出るが―――
「あれ…?」
突然周りの気温が下がり、この上ないほど寒気がした。
まだ9月で冬も始まっていないのに寒いなあ。
いや、単なる気温の低下ではない。
それは異質なものが近づいていることで起きるもの。
ぞわりとした不気味な気配をとらえた感覚だったのだ。
《ニンゲン…クラウ》
ピリピリするような、エコーのような声が耳に。
「…魂を感じる」
「え?」
「喰らう…」
にやり、獲物を視線の先に見据えた男には白く鋭い牙がそなわっていた。
私は生まれて初めて死へのを覚えた。
(誰か…助けて…!)




