キマイラⅡ~白髪の少女 共通①
あたしの家は霊の類いを払う謎の一族の家系で、双子の弟には霊が見える。
でも、あたしはそういうものが全然黙視出来ない。
あたしだけ何も見えないなんて、そんなのおかしい。
そんなことを毎日考えている。
「雪比萠姉さんおはよう」
「おはよう虚躯羽」
弟があたしを起こしに来た。
いつものように気に入らない白髪が視界に入らないようにサイドカールにして、登校した。
「おっはよユキヒメ」
「おはよう」
「今日も縦ロールがキマッてるねー」
私は雪比萠、ただの女子高校生ではない、と思いたい。
いえ、こんな髪型の女子高校生が普通のはずがないか。
皆もどうしてあたしを平然と受け入れてるのかわからない。
嬉しいけど。
「生徒会長が学校休んでるらしいぜ」
生徒会長、といえばお金持ち気取りの奴等がいる特別等で由緒正しそうなサラサラの黒髪の和風お嬢様じゃないの。
「マジかよ」
男子達が心配そうに語る。
アノマさんとはクラスも違うし特に親しいわけではないので思うのは生徒会長さんに何かあったのか、くらいしか思えない。
誰もいないと思っていたらいつの間にやら女子生徒1と2がいた。
「さらさらの黒髪ストレートを風になびかせ、暗雲立ち込める屋上に、あたしはたたずむ」
ポエムを読んで普通の女子を印象づけなくては。
「ちょー晴れてるよ」
「あんたの髪縦巻きクロワッサンだよ」
食べ物の話をされたらお腹が好くじゃない。
「またねー」
「うん」
放課後、部活中の弟を待たずに帰っていると、悪魔が…。
「って悪魔!?」
何も見えない私に悪魔が見えている?
コスプレでなく本物がいる?
可愛いけど、怖い。
コスプレにしては人間ではないサイズだし、本物?
悪魔はこっちに気がついて追いかけて来た。
「きゃああああ!!」
槍のようなものが刺さりそうになる。
「消えろ!」
いきなり現れた金髪の男が悪魔を消し飛ばした。
「くそっオレの獲物を横取りしやがって!!」
赤髪の男に文句を言いながら去っていった。
「お礼言いそびれた…」
あたしのことは視界に入っていないようだから、いいか。
●
あの頃の僕は両親に認めてもらいたくて天使を召喚すべく、本を読み漁っていた。
『架消なんということを…』
しかし、天使が召喚出来ると思った魔道書は、悪魔の封印を解く呪文が載っており、結果的に全ての悪魔は解き放たれてしまった。
解放した全ての悪魔を再度封印しなければ、伝説の怪物キマイラは復活してしまう。
『ここが魑魅魍魎の巣窟か…』
遠い国に悪魔が集まるエリアがある。
海を渡りそこのエスカレーター式の学院に転入した。
道中で悪魔の気配が何者かに消された感覚や、悪魔に襲われている変な髪の女生徒がいたりと、ここはクレイジーな国だ。
祖父の母国ではあるが、まったく来たことがなかった為、落ち着かない。
悪魔に好かれる女に、悪魔を追いかける邪魔な
暑苦しい赤毛の男も現れた。
この先本当に大丈夫だろうか―――
◆
ふと私を助けた金髪の男を思い出す。―――嗚呼……戦いたい、私も敵を切りたい!天使の羽を生やして空を飛びたい!戦って争ってそして、あたしは神になる―――!!
「姉さんどうしたの?」
「がんばるぞー!」
「ちょ!いきなり叫んでどうしたの?」