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ハイエンドアクション  作者: ナレコ
3/8

3話 ギルドホーム

七夕ですねぇ。

ところで、町に帰るわけなのだが、一つ問題がある。

それは、ここにいた嫌な支配貴族NPCのせいで、ギルドを目立つところに置けないということだ。

はっきり言うが、もし、作ろうとすると、莫大な土地料を取られる上に、毎月の半端じゃない税金払わされたりする。


しかも、法外な金額だ。だから、分かりやすいところにギルドなんて置いてない。

では、どこに作るのが一番いいのか?

例えば俺の入っているギルドなら、そうだな…。


…………。

というかさっきから、びくびく震えながら俺の背中に隠れていている奴は誰だ?

さっきまで俺を睨んでいた気勢はどうしたんだ?

鬼人は、確かに恥ずかしがりやな奴が多いとは聞くけど………。

一体どんだけだよ…………。

というか、俺の時と全くちがうじゃねーか。

なめらてんのか?だとしたら、本当にプレイヤーって弱いんだなぁ…。

情けなくてやれん。


「…………歩きにくいんだが」

一応そう声をかけてみる。


「……………………!」

何も言わずにひしっと、背中に顔を埋める気配がした。

あー、歩きにくッ!

あと、頭突きしてくんな!レベル差を考えてくれよ。こっちは地味にいてぇんだよ!


ぎゅう…………。しがみついてくるような気配がする。

だから、鬼人の怪力痛いんだってば!

「おい…もうちょっと手加減してくれ…………」


すると、その言葉が聞こえたのかどうか知らないが、少し緩めてくれた。

「…ごめん…………」

小さい声が後ろから聞こえた気がしたが、町の喧騒にそれは飲み込まれて何を言ったのかわからなかった。


というかだ。これ………なんか目立つんだが…。


「あのさ………、前に来てくれないか?」


「いや……」

くぐもった小さな声が即答してきた。


「嫌じゃなくてだな」


「このままにさせて………」


俺に………この地味に視線の痛いこの体勢を維持しろと言うのか?

しかも、歩きにくくてやれんこれを?

ご冗談を。


「いいから、前に来い!」


ぎゅう…………。思いっきり抱き締めて抵抗しやがった。

くっ、離れない!どこの子供だよこいつは!

しかも、さっきより強くしがみついてやがる。


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」


必死に剥がそうとするが鬼人特有の怪力に俺なんかが勝てるわけがなく、俺は甚だ遺憾ながら、説得するのを断念せざる負えなかった。

まじで痛いしな。



「着いたぞ」

俺は立ち止まり、ギルドホームのある場所を見た。

が、地味に体重をかけて背中に張り付いているこいつが俺を押したので、ちょっとつんのめりかけた。


「えと…………ここが、ギルドホームなの?」


「ああ、そうだ」


「へ?な、なんで…………」


彼女がそう言うのも無理はないだろう。

何故なら目の前にあったのは、本来ならあり得ないはずの大きな屋敷があったのだから。



「じゃ、入るか」


首を捻りながらも俺と同じく入る鬼人の少女。

疑問に思うのも仕方ないことだ。

本来であればギルドホームというのは、ここまで分かりやすく作っては駄目なのだ。もし、そんなことをすればとんでもない額の税金取られるだけで、ギルドホームを去らなければならないからだ。


まあ、俺達にはそれは当てはまらないから関係なのだが。


廊下を歩いていくと、食堂がある。そこに見覚えのある後ろ姿がいたので、声をかけてみた。


「ーーよーっす。ただいま」


「おう、おかえり」


メンバーの1人、トリスタが昼飯を食べていたので俺も隣に座り、一緒にいた彼女も座らせた。


「調子どうだ?屋敷の拡張の方は順調か?」


「一応元気だ。屋敷も順調。腕のいいメンバーがいるからな。……いい感じに広くなってる。だが、金が足りんし、素材もまだまだ足りない」


「そうか。いつも通りだな」


「ああ、いつも通りだ」

ズズーと、うどんをすすっている音がする。


「うどん……うまそうだな。俺もうどんにしようかな」


「勝手に頼め。…………時にハガネ。隣にいる可愛い女の子は誰だ?」

びくっ!といきなり話題が自分になったせいか、震え始めた。


「ファンプだ。飯食ったらギルドマスターに報告しようと思ってな」


「ふーん、そうか。ま、気を付けてな。ごちそうさん」

トリスタはそう言って、食堂を出た。


「で、なに食べる?」


「ふぇ!?」


「ふぇ!?じゃなくてだな。なに食べるんだ?」


わたわたしてる。落ち着かずに色々なところに目を向けている。

なにをしているのやら。


「適当に頼むぞ?いいのか?」


「あ、う、うん」


混乱してるみたいだな。まあ、人の家にいて落ち着かないのは当たり前か。

俺はうどんを二人前頼み、水を取りに行った。





コップを持って戻ってくるとファンプが恥ずかしそうに縮こまっていた。

俺はその様子に笑った。

あんな扱いを受けていたというのに、感情が既に戻っていたからだ。

びっくりである。

俺が彼女の席に戻ってくると、彼女が恨みがましそうな目でこっちを睨み付けていた。


「…なんだ?」


「…………あなた、なんで地下にいたの?」


なぜ?それはだな…………。


「…暇潰しかな」


きじん の しょうじょ は あきれためで こっちを みている!


「…………あなたは、バカなの?」

あげくのはて には そんなことを はなしている!

NA ZE DA!


「ここの人達は、みんなレベル1だって聞こえたわ。あなたもなんでしょう?」


ああ、そういうことか。納得。


「どうして助けたの?」

少女は、不安そうな瞳でこちらを見ている。

フッ、そんな顔されては、あのセリフを言いたくなるではないか。

いいだろう。言ってやる。












「……何となく、かな」

決まった!


しかし、少女はため息を付いた。なぜだ。

「あんたねぇ…………」

しょうじょ は あきれためで こっちを みている!

NA ZE DA!


そのあと、彼女はしばらく俺の顔を見詰めていた。

それから何となく居心地が悪くなってきたところで、うどんが出来上がった。


「…………まあいいわ。なんか疲れたし。このうどんとやらでも食べましょう」


そして、そんなことをのたまわったのであった。

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