5.戻ってきた……
「ははっ……」
どこからどう見ても見事な日本家屋天井の、年代を感じる染みとその年輪。肌にまとわりつく湿気を含んだ息苦しい温度に、けたたましい蝉の声が今居る場所を確信させてくれる。ここは日本だ。間違いなく自分の住んでいる家だ。
「戻ってきた……」
幼馴染みの呟きに睦が思わず頷いた。
「ま、そういうことだ。俺をただの猫扱いしやがったら承知しねーからよ、覚えておきな」
吐き捨てるように言ってから、リヒャは部屋の隅で丸まってしまう。ここへ戻ってきたら今までの野良生活をするべく外へと飛び出すものだと思っていた睦にとって、その行動は意外だった。それもこれも『自由気ままな性格』というのが為せることだろうか。
それに結局あの猫は質問とやらを何も投げかけてこなかった。
「てか」
むしろ自分が疑問に思っていることを、呟く。
「あいつ、ここに住み着く気じゃないだろうな」
猫こそ沢山居る家だが、喋る猫はさすがに初めてだった。
前回、この分まで追記すれば良かったなぁと今更ながらに後悔……さすがにこれだけだと寂しいので本日はもう一話分載せます。21:30に掲載予約入れます!