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ぼくのひっこし  作者: 玲於奈
2/7

シャーロックH

なし

きらきらひかる

しろいゆきのはら

それがずっとつづく

そのうえをずっととんで

ぼくがめをさましたら


飛行機が

どんどん高度を下げていた

まどからは

れんがいろの

うすけた街が見えた


8月なのに

なぜか

なんだか街は薄曇りで

とっても

くすんでみえた。


くうこうに着いたら

黒い大きな箱の

タクシーに乗って

ハイウエイを走った。


天気のせいなのか

街はやっぱり

くもっていて

ぼくの心のようだった


どれも

同じに見える街並み

それがずっとつづいている

おおきなタクシーは

ふるぼけたかべのような

そのひとつにとまった


アパートに着いてから

ぼくは

たおれるように眠った


はじめての飛行機で

つかれちゃったかもしれない


寝ないで

飛行機の

廊下の通路から

ずっと

ゆきのはらみてたのが

悪かったかな


次の日

出発前に送った段ボールが

山になってるのかなあと思ったら

どの部屋にも

にもつの箱はなかった


ママが

こないことになって


あわてて作った

段ボールたちは

船便であとでくることになって

しばらく

にもつはとどかないらしい。


こんなことなら

ポケモン変身図鑑

そこに

いれるんじゃなかったし

なんだか

ショックだった。


しばらくしたら

チャイムが鳴って

お客さんが来た。


小柄なおばあちゃんが

はいってきた。

ママ実家の

丹波おばちゃんの感じ


「ハドソン婦人だよ」


パパはそういいながら

クスクスって笑った。


なんで笑ったのかあと思って

あとでパパに


「なんでわらったの?」


って聞いたら


シャーロックHっていう

お話に出てくる人そっくりで


パパ、笑っちゃったんだって


でも

これからは

ハドソンさんが

ぼくたちに

ママの代わりに毎日

夕ご飯を作ってくれる

そして

パパがおそくなる時も

一緒に待ってくれる

ぼくが

それを聞いて

ちょっとがっかりしたら


パパがあわてて


「ハドソンさんは、

 前に日本のかいしゃの

 ひとのいえでハウスキーピングを

 していて少しだけ

 日本語が話せるよ」


ってあわてたえがおで

教えてくれた。


そんなこんなで、

しばらくは

まあ、いっか

おやすみってことで

パパと大きな博物館や

女王様の家

ロンドンの観光名所を

あちこち見てまわった

公園は広くて

街はセールでにぎわっていて

たくさんの観光客がいた


そして、

いつもの休暇のように

車にのせられ、

降りたところで手を引かれ

女王様の家のような

黒い柵に囲まれた場所にはいった。


そこは小学校で、

なんの前触れもなく

ぼくは、

その日から

イギリスの小学校に通うことになった


聞けば、

その日パパも大学に行くという。


パパは

ぼくが学校にいく日を

1日まちがえていたし

自分も大学にいく日をまちがえていて


そして、

それが今日だった

かなしかった。

夏休みの最後の日がおわり

次の日は、もう始業式で学校に登校する感覚。


でも、ここは異国で。


なにがなんだかわからなくて

涙はでなかった

小さいころのように

幼稚園でママと

さよならする時みたいにせつなかった


担任はハドソンさんより

若い女の先生だった

というか

ママと同じくらいの年?

外国のひとだから、

年齢がまったくわからないて

きょとんとしてしまった


そして

きがついたら

なんだかわからないまま

お昼になっていた。


みんなが、ホールで

おもいおもいにべんとうをひろげてる

でも学級の子じゃない。

上の学年の子もいた。

教室にいた時より

すごく人がすくなくなったのは、

ホールの広さの

せいだけじゃないと思った。


そして、ぼくがわかったのは、

がっこうには給食がないことだった。



なし

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