幼馴染とファーストキス―私の場合―
最近の私の不満は彼がキスをしてくれないこと。付き合ってもう3ヶ月。そろそろキスをしてくれてもいいんじゃないかとは思っているんだけど、彼が手を出してくる気配は微塵もない。私、魅力ないのかな？
そんな不満を抱きながらも彼とのデート中、前の方に物凄くイチャイチャしているカップルを目撃した。
あ！道の真ん中なのにキスをした！！……いいなあ。常にあんな風にしろとは言わないけど、たまには強引にキスをしてくれないかなあ？
そう思って彼の方をチラリと見ると、彼はカップルの方を呆れたように見て
「すごいな～」
と呟いていた。
その声が関心しているように聞こえて、何だか凄くイラッとしてしまった。
「確かにあそこまでイチャイチャするのは周囲の人間にとっては迷惑だと思うわ。でも、少しだけ君にはあの2人を見習って欲しいな」
だからついつい責めるようなことを言ってしまった。
「どうしてそんなことを言うの？」
心底不思議そうに聞き返す彼にまたイライラしてしまって、また彼を責めることを言ってしまう。
「だってそうでしょ？私達が付き合い始めてもう3ヶ月になるのよ。それなのに君は体を求めるどころか、キスも求めてこない」
私がこれだけ不満をはっきりと言っても彼は何も言ってこない。その態度に私の口は止まらない。
「君には強引さが足りないのよ。あの人達みたいになれとは言わないけど、もう少し積極性が欲しいわ。あ、ゴメンね？ヘタレな君には無理な注文だったね。そんなんだから私に隠し事が出来ないんだよ」
私がそう言うと彼がムッとしたのがわかった。ヘタレは言い過ぎたかもしれない。自分でもそう思ったけど、ついつい引っ込みがつかなくてそっぽを向いてしまう。
……やっぱり言いすぎたよね？どうやって謝ろうかしら。
怒っていますという雰囲気を出しながら、内心はどうしようかと悩んでいると彼の声が聞こえた。
「こっち向いて！！」
「え？」
振り向くと強引にキスをされた。一瞬何が起きたのか分からなくて思わず体が固まってしまう。
「これでヘタレって言葉は取り消してもらえないかな？それと君に隠し事をすることは現在僕の最大の目的だから。いつか君に隠し事をして見せるよ」
顔を真っ赤にしながら宣言する彼の言葉でようやくキスをされた事実が認識できて。言葉では言い表せないほどの幸せな気持ちが心にあふれる。さっきまでのことが私の頭から吹き飛んでしまった。
「君の目的はもう達成しているよ。君にこんな強引なところがあったなんて私は知らなかった。これも立派な隠し事だと思うわ」
だから私はもう一度彼にキスを求めた。彼と私の唇が重なる。今日は人生で一番素敵な日かもしれない。
ああ、幸せだなあ。君の彼女になれて本当に良かった。
彼が何でか不思議そうに首をかしげていたけど、ファーストキスをして浮かれた私は全然気にならなかった。
ファーストキスの話はクリスマスに投稿したかった……
一応完結させておきますけど、これからも思いついたら載せるつもりです。
