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三話

「自己紹介はしなくてもいいんですよ?」

「えっ! そうなのかよ! あいつがするからてっきりしないといけないのかと思ったじゃん!」


自己紹介を終えた悠斗は、水谷から目線をそらさずにタカエに文句を言った。

一応は戦いだということを自覚しているようだ。


「気を付けてください。彼はすでに何度か戦っているようです」

「だな。こっちを探し出してきたってことはそういうことだろ」

「はい」


二人が話し終えたのを見計らってか、水谷が口を開いた。


「さて作戦会議は終わったか?」

「あぁ。バッチリだ」

「じゃあ始めようとするか。さぁ資金をくれ」


そう言って水谷は後ろにいるらしい人物に向かって手を出した。

悠斗達の位置からは見えないが、水谷が話しているのは水谷を能力者にした人物である。


「あれ、何してんだ?」

「戦いの前には資金をお渡しすると言ったじゃないですか。これは綾瀬さんの分です」

「えっ? あぁ、どうも・・・ってどこから出したんだ!?」


目の前に差し出された10万円。それの出どころに驚く悠斗。


「気がついたら内ポケットに入っていました」

「なんだよそれ・・・」

「私もこれが初戦なので、これからどんな戦いが行われるかはわからないんですよ」

「頼りねーな」

「私を頼りにしてもダメです。戦うのは綾瀬さんなんですから」

「わかってるよ」


そう言ってタカエから10万円を受け取ると1万円だけ手にとって、あとはポケットの中へと入れた。


「雑ですね」

「とりあえずだよ。とりあえず。あいつが何してくるかわかんねぇから、この1万円でとりあえず様子見だ」

「意外と慎重ですね」

「生活かかってるからな」


気合を入れ直すと同時に水谷が屋上から再度姿を現した。


「準備OKみたいだねぇ。じゃあ始めようか」

「どっからでもかかってこい!」

「じゃあ遠慮なくー」


そう言うと水谷は悠斗達に見えるように札を一枚握り込んだ。

そしてボールを投げるように振りかぶって投げると、手から直径1メートルほどの大きさの水の球がものすごいスピードで飛んできた。


「いぃっ!?」


悠斗は慌ててその場を離れて、なんとか水弾を避けた。

そのまま走って逃げて、近くにあった窓のガラスを割って、校内に侵入した。

そして一つの教室に隠れる。


「なんじゃありゃ!」

「『水』の能力ですね」

「そうじゃない! なんであんなのが飛んでくるんだよ!」

「言いませんでしたか? 値段によって威力や効力は違ってくるんです」

「そういうことか。俺が使ったのは10円だったからライターだったけど、あいつは札を使ったからあんなに強力なやつを使えたってことか」

「そういうことです」

「あんなので攻撃されたら一溜りもねぇって! 最初から逃げようと思ってなかったら避けられないって!」

「落ち着いてください。能力は人それぞれです。彼は『水』を得ましたが、綾瀬さんは『火』の能力を持っているんです」

「でも火に水って相性悪くね?」

「最悪ですね」

「マジかよ・・・初戦からこれってマズイだろ・・・俺の能力ってどんなのあるの?」

「どんなのとは?」

「ほら。10円だとライターだったじゃん? 1円とか100円とかいろいろあるじゃん」

「あー」


タカエは悠斗に説明した。

1円は蛍光灯レベルの光を1秒間。

10円は100円ライターの半分の大きさのライター。

100円は火炎放射。

1000円は先程の水弾のような火の弾

10000円は追尾ミサイル。

以上がタカエの説明の要約。

また5の倍数の硬貨や紙幣は、その効果の5倍の威力または量を1枚で発揮することが出来る。

つまり50円玉を使用した場合、ライターを5つまたは5倍の大きさのライターを出すことが出来るというわけだ。どちらを選ぶかは、念じる時に決めれるそうだ。


「100円から急に戦いっぽくなるな」

「そこを基準として戦いで使うような能力になっているんでしょう」

「そっか。じゃあ反撃と行くかな」


そう言って、一万円札を左手で叩くと、千円札10枚に両替をした。


「とりあえずはあいつを探さないとな」

「勝ち目はあるんですか?」

「正直言ってあんまし無い。でも戦わないと勝てないだろ。勝手明日の食費を稼がないと」

「フフフ」

「何笑ってるんだよ」

「いえいえ。綾瀬さんを選んで正解でした」

「ふん。これからもっと感謝させてやるよ」

「よろしくお願いしますね」


悠斗はレーダーを取り出して水谷がいる方角を確認した。

白い丸が8時の方角で点滅していた。


「これ高さとかわかんねぇの?」

「レーダーを縦に向けると高さがわかりますよ」


言われたとおりに縦にすると、レーダーの丸の位置が今度は10時の方角で点滅した。


「えーと・・・」

「さっき屋上に立っていた時よりも下にいるみたいなので、校舎の中に入っているんでしょう」

「あいつもレーダーで俺を探してるってことだよな?」

「はい。おそらく」

「よーし。じゃあ体育館で待つとするか」

「なんでです? 広すぎて逃げ場が無いですよ?」

「相手の方が戦いなれてるんだから、変に校舎の中で鉢合わせるよりも、広いところで待ってたほうが戦いやすいだろ」

「それも一理ありますね」

「そうと決まれば体育館に行くぞ!」


こうして悠斗とタカエは、水谷を迎え撃つために体育館へと向かった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


三話まで連続投稿となりました。

ここからはまた若干間が開くかもしれませんがよろしくお願いいたします。


次回もお楽しみに!

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