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二話

悠斗はタカエから色々と話を聞いた。

タカエからもらった『火』の能力というのは、金銭の値段によって変わってくるようで、価格がひと桁上がると反映される効力も変わってくるようだ。

そして発動条件は右手でお金に触り念じること。これだけだった。

最初はイメージしやすいようにと握らせたようだったが、実際は触れながら念じるだけで『火』の能力を使うことができるとのこと。

また触れてから3秒以内ならば、好きなタイミングで発動できる。

そしてさらに『両替』も出来るらしい。

これは左手でお金を叩くとその一桁下の札なり硬貨なりに変わるものだった。

試しに100円玉を左手で叩いてみると、一瞬で10円玉が10枚に変わっていた。

『両替』をする際には、念じることも必要ではあるが、袋などに入れたままでも『両替』をすることが出来る。つまり万札を袋に入れたまま、100円玉を100枚にしようと念じて何回も叩くと袋の中身を全部100円玉にすることもできる。

そしてこの能力を使って出したものはお金に戻すことは出来ないというのが発動する条件でもあった。


「つまりお金を払って能力を使う、って感じ?」

「そういうことです」


カップラーメンを食べながらタカエの話を聞いていた悠斗。

食べながらではあるが、ちゃんと能力の把握はしていた。

自分の今後の生活に関わることなのだから聞いていて当然である。


「で、なんでこんな力を俺にくれたんだ?」

「あなたにご相談があるのです」

「相談?」

「よろしければお金稼ぎをしませんか?」

「金稼ぎ?」

「そうです」

「どんな?」

「これを聞いていただけると言うことは、受けていただけると言うことになりますが」

「ちょっと横暴じゃね?」

「結構な大金になるはずですよ?」

「・・・どのくらい?」

「それはあなた次第です」


悠斗は考えた。

確かに今自分にはお金が無い。

次のバイト代が入るまで1ヶ月ある。

それまでならいいのか?


「金がもらえるまではどのくらいかかるんだ?」

「そうですねぇ・・・そこもあなた次第ですが、普通は一日で受け取れます」

「日給か・・・」

「どうです?」

「・・・とりあえずやってみる」

「わかりました。では説明に移りますね。あなたにこれからしていただくのは、能力者同士のバトルです」

「いやいやいやいや。ちょっと待ってくれ。能力者同士のバトル? そんなの聞いてないぞ」

「だって聞かれてないですもん」


悠斗は心の中で思った。

『聞いた=参加する』って言ったじゃん。

しかしタカエは何も気にせずに話を進める。


「それでですね。戦いを行う際にまず最初に10万円が渡されます」

「10万!?」

「お金を使う戦いですからね。そのへんは我々の上の人間が用意してますのでご安心を」

「金使って能力者バトルって・・・その上の人らっていうのは、なんかの研究機関なのか?」

「どうですかねぇ。少なくとも人間では無いでしょう」

「人間じゃない? ならなんだよ」

「神様という存在ですね」

「神様か」

「あっさり信じるんですね」

「なんかもう気にし始めたらキリないしさ。で、その能力者バトルってのは?」

「簡単に言うと能力を使った戦いです。お互いに能力を使って戦い、勝った方は相手の残金と自分の残金を総取りできます。しかし負け、もしくは引き分けになった場合は、残金は没収となり報酬はゼロです」

「引き分けってどういう時になるんだ? 時間制限でもあるのか?」

「時間制限はありません。引き分けの代表例は、互いが話し合いなどで引き分けにしようと同意しあった場合のみが引き分けとなります。あるいはダブルノックダウンというのもありますが、そんなことは滅多に起こらないのでご安心を」

「ふーん。じゃあ勝ちの条件は相手に負けを認めさせるか、KOでもすればいいのか?」

「そのとおりです。また負けの条件には、手持ちの所持金が1万円以下になった場合というのも含まれていますのでお気を付けください」


つまり実際に使えるのは9万で、相手をKOするか負けを認めさせると勝利となる能力者バトルである。


「他の能力者ってどこにいんの?」

「さぁ? でもこのレーダーをお貸ししますので方向と距離ぐらいはわかるでしょう」

「相手はどんな能力があんの?」

「それは色々です。我々の人数だけ能力はあります」

「我々ってことは他にもあんた達みたいのがいるのか?」

「そうです。我々は能力者となる人間を選出し、能力を与えるのが使命です」

「なんか目的でもあるのか?」

「目的ですか。うーん・・・しいていうなれば生活のためですかね」

「生活?」


悠斗は首を傾げた。


「はい。我々にも生活があります。そしてあなた方能力者が一度勝てば、我々はその分だけ報酬が与えられます。さらにその能力者が優勝すれば名声や上層階級の地位も与えられます」

「あんたらにも事情があるんだな」

「まぁ私は楽しそうだから参加したんですけどね」

「軽いなぁ」

「本気で参加するならあなたのような人間ではなくて、もっと強そうな人間を選びますよ」

「じゃあなんで俺を選んだんだよ」

「それはですね。あなたが面白そうだったからです」

「面白そう?」


タカエは悠斗の目をまっすぐと見つめてニコリと笑った。

悠斗が選ばれたのはタカエの気まぐれだったのかもしれない。

しかし悠斗はそうは思わなかった。タカエは何かまだ本当のことを隠しているような気がしていた。

しかしそれを話してくれないということは話したくないということなのだろう。

それまでは自分の生活のため、そしてタカエの何かの目的のために頑張ってみようと心に決めた。


「何か事情があるみたいだけどとりあえずはいいや」

「それは助かります」

「とりあえずはよろしくな。タカエ」

「こちらこそよろしくお願いします。綾瀬さん」


二人はこれからに向けての第一歩となる握手を交わした。


「さてとじゃあ今日はもう寝るか」

「ちょっと待ってください。レーダーに反応がありますね」

「レーダー?」


そう言って悠斗は先ほどタカエから受け取ったレーダーを見てみた。

すると四角い画面の真ん中に白い丸があって、そこから2時の方向にある小さな丸が点滅していた。


「どうやって見るんだ?」

「真ん中の白い丸が綾瀬さんです。そしてもう一つの点滅している丸が他の能力者です」

「ってことは・・・」

「この近くに別の能力者がいますね」


二人は辺りを見回した。

しかし他に人影は見当たらない。


「みぃーつけたぁー」


二人は突然上から聞こえてきた声の方を向いた。

その声の主は、後ろにある校舎の屋上に立っていて、こちらをのぞき込むように見ていた。


「そのレーダー反対向きですよ」

「先に言えよ! こういう時にそういう冗談はいらねぇんだよ!」

「綾瀬さんが聞かないからいけないんですよ」

「ホントに勝つ気あるのかよ!」

「もういいかーい?」


二人のやりとりに痺れを切らした屋上の主は大きな声で言った。


「俺の名前は水谷潤(みずたに じゅん)! 19歳!」

「俺は綾瀬悠斗! 21歳だ!」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけるとモチベーションが果てしなく上がります。


色々と説明回でした。

次回から戦いが始まります。


次回もお楽しみに!

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