天・ケータイ・最悪の高校
ある日、ケータイをいじっていたら、とある掲示板を見つけた。その名も、“最悪の高校”。どうやら、自分が知っている中で最悪の高校を次々と挙げていき、批判したり誹謗中傷を浴びせる事が目的らしい。普段なら馬鹿馬鹿しいと違うサイトに移動する所だが、今日はなんとなく書き込む気分になった。というのも、私が今まさに通っている高校。それこそがこの掲示板のテーマにピッタリだと思ったからだ。
私の通う某私立高校は、この界隈でも有名な馬鹿高校だった。所謂、お金を出せば入れる高校である。校則違反は当り前。教師ももう指導するという事を諦めたのか、何をやっても原則無視。それにあぐらをかいた生徒は、更に横暴を繰り返す。その悪循環の結果、授業中にトランプは当り前、果ては麻雀をしだしたり、また奇声を上げて教室中を駆け回る奴もいる。そんな中、前に固められた数人の生徒だけが、真面目に授業を聞き、ノートを取るといったスタイルが出来上がった。全く、よくこれで高校と名乗れたものだ。
そんなわが校一番の特徴は、その立地にある。この地域のどこよりも高くにそびえ立つ校舎。ただ単に山奥に存在しているだけなのに、それをうちの初代馬鹿校長は“天に一番近い高校”などと抜かしやがったからさぁ大変。その日からうちは、それに一文字加えて、“天国に一番近い高校”と呼ばれるようになってしまった。生徒が自由奔放過ぎる校風を指したのかもしれないし、私みたいに間違えて入学してしまった生徒の自殺率が高い事を皮肉っているのかもしれない。その辺りの真偽は謎に包まれている。
まぁ、何故その高校に私が通わざるを得なかったかと言えば、受験で大失敗したからなのだが。噂には聞いていたが、ここまで酷いとは思わなかった。けれども世間の皆様にしてみれば、あの高校に通っている私も同類なのだから諦めざるを得ない。あと数年の我慢だし。
しかしたまには憂さを晴らしても良いだろうと、軽い気持ちで、パコパコと間抜けな音を立てながら、掲示板にこう書き込んだ。
「“天国に一番近い高校”。マジありえない。教師も生徒もカス」
送信して、少しだけ胸がすっとした。あとは暇人共が、適当にけなしてくれれば良い。その過程をある程度見守って、後は放置するつもりだった。ところが。
「そんなことない」
「確かに教師はクソだけど、生徒はまぢよい」
など、頭は悪そうだったが、反論の声が返ってきたのだ。これには私も驚き、しばらくコメントを傍観する事にする。すると、ペンネームや口調から、書き込んでいるのは知り合いである事が判明した。
一生懸命自分達の学校を守ろうとする彼らを見て、なかなか、うちも捨てたもんじゃないなと思った。
その日を境に、少しだけ、高校に行くのが楽しくなった。
僕自身は書き込んだ事はありませんが、そんなところではうちの母校の評判はすこぶる悪いとか。いや、当時だから今はどうなっているか分かりませんが。
でも僕は、なんだかんだ自分の学校が好きなのです。




