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光の陰謀、闇の陰謀

政教分離派の連邦議会議員ジョージ・トルーマンに忍び寄る危機。


双子達はそれを防ぐ事ができるのか?

連邦政治の中心都市

[ジュリアス]



無機質な高層ビルが立ち並ぶ高層都市ジュリアス……


そのビルの合間を飛び交う2人の姿があった。

彼等は十字軍の特殊部隊シルバーナイツの聖者達である。


『くそっ!トルーマンの車を見失った』


18歳くらいの白い制服を着た少年が悔しそうに叫ぶ。

彼の名前はアベル、光を具現化した武器を操り戦う能力を持った光騎士である。


『恐らく空間遮蔽ね……相手に裏切り者が居るようね……』

同じく白い制服を着た18歳くらいの少女が車を探しながら言った。

彼女はノア、聖光を自在に操る能力を持つ聖術士である。


彼等の任務は十字教会の障害となる政教分離派の中心であるジョージ・トルーマン議員を亡き者にする事である。

手段は問わず、周囲への被害の考慮の必要無し、必ず議員を抹殺せよ……


任務の内容からも教会の焦りが分かる。


『何としても見つけるんだ!』

アベルがそう叫んだ瞬間、彼等に向かって闇の矢が放たれた。


『くっ、議員の犬か!』


攻撃を急旋回でかわしながらノアが矢が飛んできた方向を睨み言う。


そこには、ゴスロリ服を着た白い肌の少女が二人、ラズロットとリズロットである。


『犬はそっちなのです♪』


ラズロットは、両手を広げ、自分の周りにソフトボール程度の大きさの暗黒球体を無数に生み出した。


『何だとこのくそチビ!』


アベルが怒りに任せ突っ込んだ!

ラズロットの口元がニヤリと笑う。


『アベル!逃げて!!』

危険を感じ取ったノアが叫んだが、既に遅かった。

ラズロットの周囲の暗黒球体がとてつもない速さで撃ちだされた。

この暗黒球体は空気を極限まで圧縮した状態であり桁外れの質量を持っている。

更に命中すると圧縮する力が消滅し圧縮された空気が一気に膨張し目標を破壊する。


アベルの身体は巨大な質量の衝突と爆発で吹き飛ばされ、ビルの壁に叩きつけられた。

その瞬間に爆発の衝撃波がビルをえぐる!


『あ…アベル!!』

ノアが悲鳴のような叫びがこだまする。


『その程度で聖者は死なないのだ……下手な芝居はやめるのだ……』


リズロットがそう言うと、ガレキを押しのけ、アベルが姿を現す。


『見た目で油断したぜ……バケモノだこいつら…』


アベルが身構えた。

瞬間、リズロットが漆黒の大鎌で切り掛かった。


アベルはとっさに大鎌を剣で受け止めたが、リズロットのとてつもないパワーに弾き飛ばされ壁にめり込む。



双子の能力には大きな違いがある。

ラズロットは暗黒魔法を中心とした様々な魔法を使いこなす高い知能と魔力。

リズロットは闇を具現化き様々な武具を創りだし戦うパワーとスピード。



『な……なんてパワーだ…スピードも半端じゃない……』

壁から抜け出しながら、アベルは呟いた。

勝てる気がしない……


しかし、この後のリズロットの一言が更に彼を絶望の底に叩き落とす。


『ちょっとつついただけなのに吹っ飛んじゃダメなのだ!』

『真面目にやるのだ!』


ふざけるな!とアベルは本気で思った。

あの威力でつついただけ、なら本気の一撃を受けたらどうなってしまうのか……


『間違いなくバラバラになるですね♪』


彼の心を読むかのようにラズロットが答える。


心が読まれている……

アベルは身構えた。


ノアもその場に硬直する。

心が読まれているとしたら、迂闊に動けない。

しかし、このまま何もしなければ……


『殺す気は無いから安心するのだ♪』


『ラズ達は足止め役なのです♪』


二人の心を読み双子が答える。

どうやら、アベル達の足止めが目的らしい。


しかし、アベル達が失敗した時のための保険がある。


トルーマンの事務所の周囲には十字軍の狙撃部隊が潜み、目標を狙撃する予定になっている。


その時、ラズロットの携帯端末のアラームが鳴った。


『タイムオーバーなのです♪』


ラズロットはそう言いながら携帯端末を操作し、ニュース放送を表示させた。


『緊急ニュースです。先程、連邦議会議員のジョージ・トルーマン氏の事務所周辺で十字軍兵士数名が銃撃戦の末に逮捕されました。

該当地区は武器の使用が禁止されており、武器使用許可の確認を行おうとした連邦警察官を突然銃撃したとの事です。

この事件に対し、トルーマン議員は十字軍の行為は民主主義を脅かす許されざる行為であり議会で厳しく追求するとコメントしています。

なお、連邦警察は緊急記者会見で、武器使用禁止地区に置ける武器無断使用の疑いがあるとし、捜査を開始すると発表しました。』


これは十字教会のトルーマン暗殺計画を利用した罠だった。

双子が聖者の足止めをしたのは、連邦警察が確実に狙撃者を確保できるようにするためだったのだ。

更に、トルーマン議員は今回の十字教会のスキャンダルを最大限に利用し選挙で議席を増やし、十字軍の解体を始めるだろう。


『さてと、リズは戦闘終了を提案するのだ♪』


『ラズもこれ以上の戦闘は無意味だと思うのです……』


アベルとノアは何も言わなかった。

いや、言えなかった。

このまま戦えば間違いなく殺される。

仮に勝ったとしても、既に計画は破綻してしまった後で何の意味も無い。


『無言の肯定と受け取るです♪』


『また遊ぶのだ♪』


双子の姿が霧のように消える。


それを見て、アベル達は相手が人間ではなかった事を確信した。

そして、自分達は彼等の陰謀に躍らされていただけなのだと悟った。


次は容赦しない……

二人はそう心に誓うのだった。

少しづつ世界が暗黒種族の思い通りに回り始めました。


今回は十字教会と暗黒種族側の悪知恵比べになりました。

ちなみに今回の謀略のプロデュースもやっぱりフラウ総帥だったりします。

キングオブ謀略家のフラウ総帥は私のお気に入りキャラだったりします。


十字教会はこのまま失脚してしまうのか?


多分しないだろうね♪

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