忌まわしき歴史
今回は、人族と暗黒種族の対立歴史を語ります。
当然、まだ亜空間連邦議会も暗黒武装鉄道結社シュバルツァークロイツも登場しません。
よく描かれるファンタジーの世界では魔族は悪役で人間側に常に正義があります。
しかし、私はそういった押し付けがましい正義が大嫌いな臍曲がりなので、どちらも正義であり悪である作品を描き、正義って何だろうと考えさせるような作品にできたら良いなと考えています。
7の座標情報を持った空間の中に、4の座標情報を持った無数の空間が存在する世界……
4の座標情報を持った空間はブレーン又は並行世界と呼ばれ、世界毎に人族、魔族、亜人族、水人族等、個別の種族や文化が存在する。
それらは、亜空間と呼ばれる7つの座標情報を持つ空間が仕切りとなり、お互いがその存在を認知しあう事は不可能だった。
あるブレーンで亜空間を航行する亜空間シップが開発されるまでは……
亜空間シップの登場により世界は、亜空間の壁を越えブレーン同士の異なる種族、文化が交わる時代となったが、同時に異なる種族、文化が原因の戦争を繰り返す時代の幕開けでもあった。幾多の大規模な戦争を経て、世界は連邦議会の統治による共存の時代を迎えた。
1000年後、世界に再び争いの影か忍び寄る。
この時代、最も力を持っていた人族の間で絶対神と呼ばれ神を信仰する十字教という宗教が広まっていた。
十字教は人族は絶対神により創られた存在でそれ以外の宗教は悪しき神々の手により創られた邪悪な存在であると提唱し、十字教会という巨大な宗教組織を作り上げる。
この動きに対し、魔族の一人であるバフメド・ラッテは、暗黒種族連合を立ち上げ、十字教会に対抗する。
しかし、十字教会は連邦議会選挙で多数の議席を確保し議会を支配、種族選別法、異端討伐法などを成立させ、異なる種族や文化、宗教に対する弾圧を連邦議会の名のもとに執行する。
この十字教会の横暴に対し暗黒種族連合は各地で武装決起し十字教会の軍隊、十字軍の拠点を強襲した。
基本的な身体能力で勝り、特殊な能力を有する暗黒種族連合に組する種族(暗黒種族)は十字軍を圧倒更に討伐に派遣された連邦軍も壊滅させる。
暗黒種族連合の指導者バフメド・ラッテは魔王を名乗り力による暗黒種族至上主義を掲げ各地の侵略を続け、人族を恐怖のどん底に叩き落とした。
恐怖に駆られた人族は絶対神に祈り、救いを求め、その祈りが絶対神に届き絶対神の守護を司る天使達の軍団が降り立ち、暗黒種族連合の侵略を食い止める。
更に天使達は高い信仰心と純粋な心を持つ者を選別し、特殊な力を与えた。
彼等は聖者又は勇者と呼ばれ、暗黒種族と互角に戦える力を得、勇敢に戦い、暗黒種族連合を壊滅させ、魔王バフメド・ラッテを打ち倒した。
それが正義であると信じて……
人族目線で見るなら、よくある勇者が魔王を倒し世界を平和にするお話…
しかし、暗黒種族の目線で見ると最初に争いをしかけたのは人族であり、最後の敗北は理不尽極まりない結果です。
そしてこの後、暗黒種族の地獄のような時代が始まります。