忘れ物
掲載日:2026/04/30
過去に、僕は忘れ物をしてきたのかもしれない。
過去は、確かに今に比べれば、すべてが未熟で、すべてが、疎ましい。
よくバカなことばかりしたと、思うのだが、僕は、過去で好きな人にひどいことをしたことを今でも悔いている。
Zさん、どうしていますか?僕はまだ生きていますよ。
確かに、すごく長く生きている僕でも、思い出をリセットすると、すごいバカになってしまうのだ。
「Zさん······」雨の中、その名を呼ぶ。
けれども雨はしずしずと降っている。誰も聞くものもいない懺悔。雨音ばかりの中、家に帰る。
「お父さんとは、暮らせないか?」
「僕は一人でいたいよ。」そう父に言う。
色々思い出が降ってきて、僕は夢でも見ているかのようだ。
「どこへ行くと言うのかね、旅人よ。」
僕は何も言わない。
「何もかも捨てるつもりかね?」
「いえ、ぼくには故郷がありますから。」
「そうか、一つだけ忠告しよう。女には気をつけなされ。」
「ありがとうございます。」
どこへ行こうと、何をしようと、僕は僕だ。
きっと旅にはまた道連れも道草もあるはずだから。
ああ、またかあ。疲れた。




