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一話

この作品はオリジナルのオメガバース設定があります。なんでも許せる方のみ、本文へお進みください。

 オメガバースという言葉を聞いたことがあるだろうか。


 アルファはエリートで、将来はどんな仕事も選び放題。顔が整ってる人が多く、アルファの数はかなり少ない。アルファになれた者は勝ち組で、学校でも一目置かれ、人気者。


 ベータは数が多く、一般人の半分以上はベータに分類される。


 そして、オメガは下位である。定期的にある発情期というものが起こり、その度に抑制剤を飲み、発情期をやり過ごしている。それ故に差別され、イジメに遭う。学校では一人で過ごすのは当たり前。


 社会に出ればオメガというだけで普通の会社には就職することは難しい。オメガが発情期を抑えるには世界のどこかにいる番と出会うことが出来れば、幸せを手に入れることが出来るとか。


 アルファオメガの検査を受けるのは基本的に十三歳から十五歳。遅いと思われるかもしれないが、あまりに早い段階で検査を行うとバグが起こり、正確な診断結果が出ないらしい。なので、高校はアルファオメガの話題で持ちきり。


 世界中の人間はこの三種類で分けられていた。が、最近になってアルファにも二種類のタイプがあるということがわかった。


 アルファS。これは以前から存在するアルファだ。エリートで人生勝ち組。こちらは何も問題はない。が、問題があるとするなら、もう一つのほうだ。


「残念ですが、夜闇さんはアルファEですね」

「アルファE? 聞いたことないな……」


「夜闇さんが知らないのも無理はないでしょうね。アルファが二種類だとわかったのも、最近になってようやくわかりましたから」

「……に、二種類?」

 

 主治医の話いわく、アルファEは一時的にアルファになった者をいうらしい。オメガのように不定期に発情期があったり、努力をしなければ勉強の成績も平均くらい。頭の回転もベータと変わらない。


 アルファEが本物のアルファになるには条件がある。それは十八歳までに運命の相手を見つけて、結ばれること。そうしなければアルファEは十八歳の誕生日を迎えると同時にオメガに堕ちてしまう。


 俺、夜闇(よるやみ)月夜(つきや)はアルファEと診断された一人だった……。


 それから、あっという間に一年が過ぎた。俺は高校二年に進級した。俺がオメガに堕ちるまであと一年……。


「おはよう」

「おー、おはよう!」


「夜闇、昨日も告白されたんだって?」

「ま、まぁ一応」


「一応ってなんだよー」

「モテる奴は違うねぇ〜」


「オレらはベータだけど夜闇はアルファだもんな。やっぱエリートは勝ち組だな!」

「俺もお前たちと変わらないさ」


「イケメンエリートは言うことが違うなぁ〜!」

「ちょ……痛いって」


 教室。俺がスクール鞄を自分の机に置くと同時にクラスメイトから挨拶をされた。クラスメイトとの交友関係は至って良好。それはクラスメイトが俺を普通のアルファだと思っているから。


『先生。アルファが二種類あるって他の人は知ってるんですか?』

『まだ知らないことが多いので全国的なニュースにもなっていませんね。基本的には伏せるようにしています』


『そうですか……』

『こんなのが公になれば第二のオメガじゃないですけど、アルファEも差別の対象になりますからね』


『……』

『まっ、アルファEは番さえ見つかればオメガになることはないんですから、そのへんは安心していいですよ』


 ポンっと励まされるように肩を叩かれた。


 それを聞かされた俺は自身がアルファEであることを隠している。不定期に起こる発情期は薬でなんとか抑えられてるし、誰かに襲われる心配はない。


 それは発情期の期間に甘い匂いに惹かれ、男女構わずフェロモンを撒き散らすのが原因なのだが、アルファEにはそれがない。アルファEから発せられる甘い匂いは番にしか反応しないのだ。ようは番を見つけやすくするためだろうと俺は思う。


 俺がアルファだからなのか、周りからはもてはやされ、女子にも毎日のように告白を受けるのが少し心苦しい。が、差別をされてイジメられるのは嫌だ。


 去年、オメガだとわかった奴らは冷遇され、学校を自ら去る生徒もいた。そのイジメは見るに堪えないものだった。あれが自分だったと思うと、とてもじゃないが自身がアルファEだとは話せない。


「そんだけ毎日告白されて断るとか勿体ねー」

「気になる奴でもいるの?」

「他校か? 他校の女子か!?」


「気になる奴はいないし、他校にも女子の知り合いはいない」

「なんだよー、つまんねぇ〜」

「これだけイケメンなのに彼女いないとか勿体なー」


「夜闇のルックスがあればハーレムだって夢じゃねぇのに!」

「俺はお前たちとこうやって雑談してるのが楽しいんだよ」

「夜闇〜、オマエって奴はなんていい男なんだ!!」


「オレ、お前が女子だったら絶対付き合う!」

「はいはい」


 そんな気持ち悪い冗談を言われ、俺は軽く受け流した。気持ち悪いとは言っても、引くほどじゃない。これは男子高校生のノリってやつだ。冗談を言い合ったり、たわいもない雑談をしてみたり。まさに青春ってやつを俺は体験している。


 こんな生活を終わらせたくない。だから俺がアルファEだということも墓場まで持っていくつもりだ。っていっても、来年の今頃には今のように楽しい高校生活は送れてないかもしれないけど。

 

 番っていったって、どうやって見つければいいんだ? それこそ砂漠から一粒のダイアモンドを見つけるようなものだろ?


 彼女が欲しくないわけじゃない。けれど、恋人を作ったとしても番と結ばれなきゃ俺はオメガになる。そうなれば今のような充実した日常は送れない。


 毎日必死に生きるのが辛いくらい……いや、自らの命を自分の手で終わらせようと思うくらい、オメガになった者の末路は残酷だ。故に番がどうかわからない恋人を作る余裕は俺にはない。


 番、か。綺麗系のお姉さんだったら良いな……なんて考えていると、


「この前、アルファがオメガの番と結ばれたらしいんだけどさぁ。男同士だったらしいぜ」


 俺にはタイムリーな話題が飛んできた。


 同性愛を差別するつもりはない。好きな奴同士が結ばれるのは良いことだと思う。が、俺は普通に女子のほうが好みだから番は女子がいい。


「その話ホントかよ。正直、運命の相手は美少女がいいよなー」

「わかる! 特に巨乳だったら最高!」

「まっ、俺たちベータには関係ねぇけどー」


「夜闇は番見つかった?」

「いや……」


「だよなぁ〜。世界のどこにいるかわかんない番なんて、正直いるようでいないみたいなもんじゃん?」

「別に番なんて居なくても生きていけるしー」


「……」


 俺は番がいなきゃ死も同然なんだけどな。


 アルファとオメガには基本的に番が存在する。というよりオメガの抑制剤となるのがアルファの役目なのだが……。俺はアルファEという異例な存在なわけだが、この場合の番はアルファとオメガのどっちなんだ? 

 そこらへんの事情は主治医も詳しくないので、俺は知らされていなかった。まぁ、所詮は他人なわけだから最終的には俺自身が頑張るしかないのだが。


 世界のどこにいるかわからない運命の相手。そんな相手をどうやって捜せと? ヒントがあるとすれば俺の発情期に反応してくる奴。今までそんな相手は現れていない。


 そもそも発情期の期間は家に引きこもっているからな。これってよく考えたらマズイよな。番を捜す絶好のチャンスを逃してるわけだし……。だが、あんな姿、番だろうかなんだろうが誰にも見せたくないし。俺も男だ。情けない姿を誰かに晒すなどプライドが傷つく。


「やべぇ……。部室に一限目に使う教科書置いてきた。取ってくるから教師には適当に言っといてくれ」

「わかった!」


「夜闇くんが忘れ物とか可愛すぎる!」

「ちょっと抜けてる夜闇くん好き〜!!」


「……」


 教室から出ていく中、聞こえるのは女子の声。また勘違いされてる気がする。俺は可愛くないぞ。現に身長はもうすぐ百八十センチいくし。成績は努力でカバーして学年二十位以内を維持している。


 そのお陰か、高身長でエリートだから……などというウワサが一人歩きして、まわりは俺がアルファだと信じている。俺だって普通のアルファでいたかった。アルファSに直接の恨みはねぇが、アルファS野郎に自然と怒りが込み上げてきた。俺はそんなイライラを隠しつつ、部室へと足を運ぶのだった。

読んでいただき、ありがとうございます。

面白い!と思った方は星をマックスで評価してくれると嬉しいです。今後の作者のモチベにも繋がります。よろしくお願いします。

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