第8話
篠宮のその言葉に、リーは一瞬黙り・・・そして言うべき台詞を見つけれなかった。
『ふんっ・・・そろそろ核に到着するわ。世界に思い残すことは?』
「はは、そうだな・・・孫に、覚えておいてもらえると、うれしいかなぁ。まだ5歳だから、難しいと思うけど。」
『あら、人間の記憶力を舐めすぎじゃなくって?それに、ずっと見ていた私があの子と共にいるのだもの。忘れても思い出させてあげるわよ。』
「そりゃ助かる。・・・人生80年、傘寿をどうにか迎えた儂が、最後にできる子達への贈り物。さぁ、喰らうがいい、負担なんて気にしない、最高火力を!」
そう言って核に右手の機器を向ける。
『はぁ・・・人の気も知らないで。私のカードには、数字が描かれていないわ。なんせ偶発的に現れたカードではなく、自力で来たカードですもの。だから、ジョーカーみたいなものね。まぁ丁度いいから合わせてあげるわよ。・・・使い方はわかるでしょう?』
その言葉に、篠宮は頷く。
「あぁ。ロイヤル」
猪と龍の幻影が消え、2枚のカードが機器の前に展開され、Ravenの翼も消失、変身が解除される。
そして、機器から漆黒のカードと、天狗と10個の星が描かれたカード、ケルベロスの描かれたカードが射出される。
5枚のカードが展開され、手で持った時のように扇状に並ぶ。
『ストレート』
5枚のカードは光り輝き、背後から迫っていた触手を消し飛ばす。
篠宮はニッと笑みを浮かべた。
「『フラッシュ!』」
その言葉と共にカードから放出された光の柱は、核を貫くだけにとどまらず、黒いドロドロを全て蒸発させ、黒い雲すらも消し飛ばし、美しい星空が見える。
「はは、今夜は、新月、だった、か。」
篠宮は息も絶え絶えに、そう呟き、涙を流した。
『あら、意外と、耐えられたのね。』
「・・・君が、反動を、受け、持って、くれた、から、さ。」
ふっと笑みを浮かべた。
『死体、がない、と。子達が、困る、でしょうに。』
「ふ、それ、も、そうだ、ね。そう、いえば。」
『なん、です』
「なまえが、無かった、ね」
『・・・あぁ、変身後、の?』
「そ、れも、だ、が、機械、の名も、だな。機械、は。そう、だな。パンドラと、しよう。平和に、なった、ら。災い、を、産む、かも、しれ、ない、から、ね。そち、らは、君が、決めて、くれ。」
『ふっ・・・最後が、それ、です、か?』
「・・・いままで、ありが、と、う」
ガシャッという音と共に、右手に付いていた機器が開き、5枚のカードを吸引する。
『私は、少し、眠、ろう、かし、ら。』
バチン、という音と共に、その機器が腕から外れ、転がり、死体から距離をとる。
そして、ドン!と言う音と共に100mほど飛び上がり・・・屋敷の、カードを集めていた部屋に転移した。
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