第3話
ソレは目を丸くする。
「あら、いい忘れていたわね。コレを使うと、変身できるのよ。」
「変身・・・?」
驚きを隠せない篠宮の反応を見て、ソレはとても楽しそうに答える。
「えぇ、変身よ。ヒーローとか、魔法少女とか。そう言ったものに変身できるのよ。」
「・・・変身をすれば、魔力とやらを纏えて、先ほどのやつらを討伐できる、ってことかい?」
「その通り!貴方、理解力はちゃんとあるみたいね。なおさら気に入ったわ。ちょっと待ってて頂戴?」
「あ、あぁ」
ソレは困惑する篠宮を放置し、テーブルの下を、そこにある割れ目を覗き込む。
「へい本体!チョーっとばかりそのうにょうにょこっちに出せない?」
「・・・うにょうにょ?本当に大丈夫なのか?いや、本体と言うことは、コレの大本と言うことだから大丈夫だろうが・・・」
テーブルの下の割れ目から、ニョロっと黒いモノが這い出て来る。
「え?観察用の分霊如きが何してる、って・・・そりゃ、ちょっと干渉したくなったのよ。」
そんな会話をしている目の前のソレを見、篠宮は怪訝そうな表情になる。
「なんか不穏だなぁ・・・というか、こんなにのんびりしている暇があるんだろうか。自衛隊が壊滅していたりするんじゃ・・・」
その言葉がきっかけとなったのだろうか?小さな妖精のようなソレは、しびれを切らしたようだ。
「あー!もう!仕方ないわね!えりゃ!」
ソレは腕を割れ目に突っ込む。
「ふぬぬぬぬ!えぇい!少し、くらい、いい、じゃない!!」
無理やり内部のナニカを引っ張り出そうとしているソレは、キッと篠宮を睨む。
「あんた!ぼーっとしてないで早く引っ張りなさいよ!自衛隊は死者は出てないわ!まだね!」
「お、おぁ、わかったよ。」
そういって篠宮はソレの身体を掴む。
「ふんぬぬぬぬぬぬ!」
「ぬえりゃぁぁー!」
勢いよく引く力でも、びくともしない。
「はぁ、はぁ・・・本当にこれ、引っ張り出せるのかい?」
「出さなきゃ負けよ!」
「はは・・・じゃんけんじゃないんだから・・・」
「えぇ、そうね!じゃんけんより相当重要よ!あのね!ブランクカードは、空っぽのカードなの!」
「ふむ・・・つまり、力を入れて、それを使って変身するってことかい?」
「えぇそうよ!一回入れれば、消費はしないからここで本体の力を一欠けらでも得ておけば、竜くらいまでなら勝てるようになるわよ!」
「ほう、そりゃ凄いね。・・・引っ張り出すことは、難しそうだけど。手を引き抜いたら、ダメなのかい?」
そう言う篠宮は、人類存亡に今この瞬間が大きな影響を与えると理解したのだろう。
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