第2話
そう聞いた篠宮は、テレビを指さして、問う。
「じゃあ、さっきテレビでやってたのもお前の仕業か?」
「いいえ?ああいう割れ目が自然にいくつかできていたので、この世界が不安定になってることに気付き、様子を見に来たんですから。」
篠宮は、不穏な単語を聞き取り、眉を顰める。
「世界が不安定?」
「えぇ。あれって、他の世界の一部がくっついてるんですよ。」
それを聞き、篠宮はテーブルの下の割れ目を指さす。
「ほう。じゃあ、この小さな割れ目も?」
「いいえ?コレはトンネルです。あれらとは違い、元の世界は壊れてませんから。」
「うん?でかい割れ目は壊れてるのか?」
「えぇ、一部と言ったでしょう?壊れたファンタジー溢れる世界の一部が、流れ着いてぶつかってああなったんじゃないかなーって。」
流れ着く、ぶつかると言った危険そうな単語に、篠宮は不安そうに尋ねる。
「あれを放っておいたら、世界が滅びたりは?」
「しませんよ?世界の崩壊なんて、そう簡単にできることじゃありませんし。まぁ、私にはこの世界程度なら容易く壊せますが。」
その言葉に、篠宮はホッと息を吐く。
「じゃあ、俺らはこれからも日常を謳歌できるってーわけだ。」
ソレは怪訝そうな表情をする。
「はぁ?世界が滅びることと、人類が滅びることは別ですケド?世界は頑丈で、人間は脆い。こんなことも言われないとわかんないんですかぁ?さっきの映像で繋がってたのはゴブリンの巣だから・・・まぁ、対処できなくはないだろうケド、ドラゴンとか巨人とかが出てきたら人類はほとんど滅びて、微かに生き残るだけじゃない?一つ二つどころじゃない数あるし。」
篠宮は絶句した。
「なっ・・・どうにかならないのか!?」
「えー?私ってぇ、本体じゃないんでぇ。」
「本体じゃない?どういうことだ?」
「うーん・・・説明難しいんだけど・・・あぁ、やっぱりあった。」
ソレはいつの間にか篠宮の手から抜け出し、テーブルの上に置いてあった白いカードを手に取る。
「コレは貴方の?」
篠宮は首を横に振る。
「いや、知らないな。お前が持ってきたんじゃないのか?」
ソレは、目の前にあったモノがいつ生じたかすら気が付いていない篠宮に、呆れの表情を隠せない。
「はぁ・・・コレはね、ブランクカードっていう物よ。」
「ほう。それが何か役に立つのか?」
篠宮の疑問に、ソレは堂々と答える。
「さっき見てたでしょう?ゴブリン程度ですら、銃弾を弾く程度の魔力を纏ってるわけ。まぁ、魔力を纏わせれば貫通できると思うケド、そんな技術ないでしょう?」
「あ、あぁ。魔力なんてものが存在するだなんて話は・・・胡散臭い宗教じみたやつらの話でしか聞いたことが無いな。」
ソレは頷き、無知な存在に知識を伝えることに快感を覚えているのか、自慢げに話す。
「ま、ここは地球系列の一つだし、一切魔力に関する技術が発展してない世界なんでしょうね。だからこそ、コレよ。」
「さっきからそのカードをいじっているが、何をしてるんだ?」
「うーんとね。コレは、私ではない私が、滅びゆく人類に与える慈悲そのもの。コレを使って打開できなければ、人類が絶滅するわ?」
「そんな、すごいものなのか。」
「えぇ。私は本体が暇つぶしに他の世界を見るために流してる分霊だけど、気が変わったわ。協力してあげる。この世界の人類は、滅びさせないわ。」
「・・・で、結局ソレは何ができるんだ?」
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