第10話
その直後、屋敷の地下室、篠宮の血を持つ者しか入ることができない部屋から、圧倒的な魔力を感じた。
「・・・カードだけが帰ってきた?どういうことだ。」
勇治は起き上がり、よろよろと地下室に向かって歩き出す。
そして、扉を開き、目を見開いた。
「あぁ、やっぱりあれは親父だったんだな。」
つつぅーと涙を流し、そうつぶやいた。
予想はしていたが、信じたくなかったのだろう。
だが、目の前に在る、Ravenの右手に付いていた機器を見て、否定することはできなかった。
『やぁ、篠宮、の、息子・・・ああ、貴方、も、篠宮、で、し、た、ね。』
「だ、誰だ!?」
『目の前の、物に、入って、いる、者で、す。進士、の、子よ。』
「っ・・・親父の相棒、ってことか?」
『相棒・・・まぁ、そう、と、も、言え、ます、ね。』
「そんなしゃべり方なのは、仕様か?」
『いい、え、損、傷し、て、い、る、だけ、で、す。それ、より』
「なんだ?」
『わ、たし、はね、む、ります。』
「・・・なるほど。わかった。ここには誰も入れず、守り続けよう。」
『5、以下の、カード、は、持って、いき、なさ、い。そし、て』
「まだあるのか?」
ガショッと言う音と共に、機器が開く。
そして漆黒のカードが射出され、力が溢れ出し、人型を取る。
その翼は黒く・・・そして崩壊しそうになり、はらはらと羽が舞い落ちる。
その髪は紫で、髪先の紅が少しずつ燃え尽きたような灰色に染まる。
右目はピンクで、その虹彩は大きくなったり小さくなったりと、視点が合わないようだ。
しかし、左目の水色の瞳はしっかりと力強く勇治を見つめていた。
「変身後の姿は、エルピス。この悪夢のような世界に残った希望の象徴です。私と進士が造った、変身器具、パンドラを用い、人類の灯を、絶やさないでください。そして、力の使い方を、間違えないように。」
その言葉と共に、再び黒く・・・しかしその端が少し白くなっているカードに戻り、4枚の10星以上のカードが四つ角に、8つ星、9つ星のカードがばらばらと宙を舞い、その周囲を円を描くように配置される。
そしてその陣がカッと光ると、完全に黒い・・・でかでかとAと描かれたカードが、リーのカードの上に配置されている。
「よくわからんが、親父・・・親父達が集めたカードを使って、戦い、世界を守れば良いんだろう?・・・そうだな。ギルドでも作ろうか。パンドラを作り、配布し、エルピス達を管理し、災害そのものであるディザスターを狩り、魔王すらも狩ることを目指した集団を。」
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