鑑賞会=コンサート!? #03
私を含む3人の声が揃う。大おばあちゃんはニコニコしながらテレビを付けた。大きなモニターを弄って、………懐かしい映像を流した。
ピンク髪に青と翠の瞳___もう1人のおばあちゃん、ヒマワリおばあちゃんのライブ映像だった。マイクを持って、沢山の脚光を浴びて、気持ちよさそうに歌って観客が盛り上がっている映像。
私は昔から見てたから慣れているけど、セオドア様とアドラオテル様は口をぽかーんと開けて魅入っていた。
「………父ちゃん、凄いぞ。楽しそう」
「綺麗な声だな……歌も美しい。サシャ様、これは?」
「私の娘で、この子のおばあちゃんよ!」
「わっ」
「ええ!?」
「!?」
大おばあちゃんはニコニコしながら自慢げに言う。
「可愛いでしょ?レイチェルもおばあちゃんに憧れて"歌姫"になったのよ。………それはともかく、こうやってライブみたいな感じでいいならレイチェルは歌えるし踊れるわ。
どう?セオドアくん」
「………レイチェルちゃんは、この歌を歌える?踊れる?」
「は、はい。小さい頃から私はこれを見て育ったので………あ、もちろん、ヒマワリおばあちゃん程ちゃんと歌えるかは分かりませんが………」
「全然いい!改めてお願いだレイチェルちゃん!
『鑑賞会』に出てくれ!」
そう言ってセオドア様は必死に頭を下げた。隣に座っていたアドラオテル様も一緒に頭を下げる。
………人前で歌ったり踊ったりしたことない、怖い。黒髪で平民で陰キャな私には荷が重い………けど。
力になりたい、変わりたい。
____そう、思うから。
私は住まいを正して、大きく深呼吸をした。
「_____はい、謹んでやらせていただきます」
そう、言い放った。
* * *
「…………………」
「お~!」
夜、アドラオテル様と共に過ごしながら、大おばあちゃんから借りたヒマワリおばあちゃんのライブ映像を記録したビデオもといスフィアを見ていた。
アドラオテル様は目をきらきらさせながらも、私に気を使ってか話しかけることなく映像を見てる。すごくありがたかった。
…………残り10………いや、9日。この短期間でどうにか孤児院の子供達を楽しませるライブにしなければならない。まずは楽曲選びだ。話では、今回『鑑賞会』に参加する子供のほとんどは10歳以上らしい。
ならば子供すぎる楽曲よりも、少し大人っぽくて、詩的で、情熱的なものがいいと思う。色んな子がいると思うから偏りすぎないように、バラードとポップ、そして明るい曲がベター。幸い、ヒマワリおばあちゃんは5歳から15歳まで"歌姫"だったから、楽曲は山ほどある。
………まあ、そのせいで全部の曲をもう1回聞かなきゃなんだけど。
そんなことを思っていると、久方ぶりにアドラオテル様が私を見た。
「なあ、レイチェル!俺この曲好きだ!」
「わかります!この曲はリアルエモーションと言ってヒマワリおばあちゃんの15歳の時の曲です!最後の楽曲で、歌姫をやめると決意した時の歌なんですよ!」
「そうなのか!どうりで決意が感じられる曲だな!あとさっきのアトリョ~シカ♪のやつも好き!」
「あ~!アトリョシカですね、楽しい楽曲です。当時幼稚園で歌われてたらしいんです!」
「………へへ」
「?」
不意に、アドラオテル様は嬉しそうに笑った。そして、私の肩に頭を乗せて寄りかかった。
「………レイチェル、沢山話してくれる。初めて沢山話してない?俺達。
すげー楽しい」
「____ッ」
耳元で囁かれて、考えていたことが全部飛ぶ。そして、今の状況を把握して、思った。
___これ、お家デートじゃない?
2人でソファーに座って、映画じゃないけどライブみて、わーきゃー騒いで………き、気づいたら恥ずかしくなってきた………!
熱くなった私の頬にアドラオテルは優しく唇を落として、また映像を見始めた。




