鑑賞会=コンサート!? #02
アドラオテルはそう言って俺の腕を掴むと転移魔法を唱えた。視界が変わって、俺達は雨に打たれる。俺はアドラオテルを怒鳴った。
「アド!お前は一体何を___「いーからあれみて!」なっ___!」
アドラオテルは俺の頭を掴むと、無理やり横を向かせた。
そこには______白と青の着物を着たレイチェルちゃんがこの雨の中杖を持って、蛍のような七耀の光を纏って歌い、踊っていた。
「~♪」
雨音の中でも透き通る声、舞い踊る七耀の光は歌声に合わせて空に昇っていく。
それは、とても幻想的で_____。
「……………綺麗だ」
ぽつり、言葉が零れた。アドラオテルはそれを聞くとドヤ顔をする。
「だろ?レイチェルは綺麗なんだ。雨季限定だぞ!」
「なんでこんなことをしてるんだ?これはなんなんだ?」
「俺も詳しく知らない!魂を導く~とか言ってたけど、わからないもん」
「………そうか………」
やっぱりよくわからないけど、これを見たら子供達はきっと喜ぶ。それくらいレベルが高いんだから。
そんなことを思っているうちに、レイチェルちゃんは杖を眼前に持っていき、祈りを捧げた。
* * *
雨季の時期に行う私の責務、……ちゃんと果たせたかな?
やっぱり流れる涙を放って、祈る。
今日もたくさんの命を送った。今年は多分、これで終わりかな?これで城に帰れる…………って!
そこまで考えて、思い出した。"いつもの場所"を見ると___やっぱりアドラオテル様がいて。しかも、なんとなんとセオドア様までが居た。
「アドラオテル様!何故また来たのですか!それに、セオドア様まで__「レイチェルちゃん!」きゃっ!?」
「今の『鑑賞会』でしてくれッ!」
「…………は、はい?」
セオドア様は目をきらきらさせて、私の手を掴みながらそう言った。雨脚が強くなる中、私はよくわからないお願いに首を傾げた。
* * *
「………ってことなんだ」
「………えっと………」
セオドア様は大おじいちゃんの服を着て、すっかり冷めたコーヒーの前で肩を落とした。
……話を要約すると、孤児院で『魂送り』をして欲しい、ということだった。なんでも、この時期の子供達の為に催しをしているけれど、キャンセルになってしまい困っているらしくて………孤児院のこともよく知らない私はそれしか言えなかった。
でも、そんな私をフォローするように、同じく大おじいちゃんの服を着たアドラオテル様が口を開いた。
「無理にしなくてもいいよ。ただ、レイチェルの歌と踊りは綺麗だし、俺は恥ずかしくないと思う。なんだったら俺が"ドラゴン仮面"やるし」
「お、お褒めに預かり光栄ですし、………けれど………「だめよ」………大おばあちゃん」
私が答える前に、コルーンの煎餅を持ってきた大おばあちゃんが口を挟んだ。
「"魂送り"は魂をあるべき場所に導く儀式。子供の魂は未成熟だから、その場にいたら全員が導かれちゃう」
「………そうなのですか?」
セオドア様は目をぱちぱちさせながら聞き返す。
………そうなのだ。『魂送り』はあくまで『強いエネルギーで魂を輪廻転生の輪に送る』行為。"歌姫"を名乗る者ならば全員が知っている常識で、大きな禁忌としての扱いを受けている。
でも、私としてはなにか力になりたい。アドラオテル様はもちろん、セオドア様にいつも私は励まされてきた。私に何が出来るかわからないけど、力になりたい。
そんな私の思考を読み取ったように、大おばあちゃんは「そ、こ、で!」と明るい声を出した。
「"魂送り"ではなく"コンサート"をしましょう!」
「え」
「?」
「…………はい?」




