ミントの香り
「ふー…………」
アドラオテル様が隣で汗を拭ってる。私の胸はドキドキだ。持ってるスコップも落としてしまいそうになる。
…………なんか、アドラオテル様がモテる理由がわかる気がする………こんなぼっちにも優しい…………。
「なあ、レイチェル。苗の間隔、これでいいのか?」
「あ、はい。それくらいで大丈夫です………!」
「了解~」
喋りながら、ふわりとミントの香りがした。言わずもがなアドラオテル様の匂いだ。………すごくいい匂い………なんて言うか爽やか!イケメンの匂いは爽やかだ!
「俺、この花知ってる。なんて花だっけ?」
「サルビアでー…………ハッ!」
そこで気づいた。
___私今物凄く汗臭い!?手伝わせた上に臭い思いまでさせるのは申し訳ない!それとなく移動…………………。
そう思いすすす、と移動するも、ひゅううう、と風が吹いた。か、風上………。
「風出てきたなー。すずしー」
そうのほほんと言ってるアドラオテル様を他所に、私は顔を熱くしたのだった。
* * *
1時間後。
「明るいうちに終わってよかったぞ。お疲れ、レイチェル」
「お、お疲れ様です………」
やっと終わった…………。恥ばっかりかいた気がする………ありがたいのに!ありがたいのにありがとうと言える立場じゃない気がする!何か奢って、やっぱりお金を支払うべき___「………終わりましたか?アドラオテル様」はうっ!
びく、と体が揺れる。振り返ると___黒髪のヨウくんが居た。アドラオテル様の鞄を持っている。アドラオテル様は呆れた、と言わんばかりに口を開いた。
「ヨウちゃん居たの?なら手伝ってくれてもよかったんじゃない?」
「………いえ、その…………それより、行きましょう。アミィール皇帝様がお怒りです」
「!?あ、あの!予定があったんですか!?」
「ヨウちゃん。余計なこと言わないで。
………気にしないで。レイチェル」
そう言って微笑むアドラオテル様。
___いやいやいやいや!そういう訳にはいかない!皇帝とか言ってたよ!?皇帝を無下にして私の手伝いをしてたの!?うわぁぁぁ申し訳ない!!!
「あ、あの、ご、ごめんなさい!」
「いいよ。本当に気にしないで。んじゃあね。また明日。
ヨウちゃん、行くぞ」
そう言ってアドラオテル様は颯爽と行ってしまった。取り残された私は呆然と立ち尽くしていた。
* * *
おまけ - ヨウ × アドラオテル
「アドラオテル様!待ってください!」
「………敬語外さないともっと不機嫌になるぞ」
颯爽と歩くアドラオテルはぽつり、そう言う。ヨウは顔を顰めてから周りを見てはあ、とため息をついた。
「…………アドラオテル、僕は従者だぞ。いい加減その命令やめろ」
「五月蝿い。…………レイチェルが気を使ったじゃないか」
「それは…………しかし、学校の花壇の手入れは夫婦でしか行ってはならないだろ」
「なんでだよ」
「セオドア様とアミィール様がしてたからだよ」
「…………ハンッ」
アドラオテルは鼻で笑って歩くスピードを早めた。
…………トラファルド・T・エード・レイチェル。アドラオテルが最近何かと関わっている女性。
これは本格的に見極めなければならないかもな…………。
ヨウはアドラオテルを追いかけながらそんなことを考えた。




