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誕生日プレゼントは #01

 








 「ヨウちゃ~ん、行くぞ~」



 「は。アドラオテル様」





 俺はヨウちゃんを連れて廊下を歩いていた。今日の予定はやっぱり執務だ。『ドラゴン仮面』の仕事の方が好きだけど、仕方ないこと。セラフィールに丸投げをしたいけど、あの泣き虫臆病者に武術や戦略、反乱鎮圧、麻薬取締なんてできないもんな。仕方がない。





 「ヨウちゃん、今日の予定___「レイチェル様、美しいよな」………?」




 ふと、レイチェルの名前が聞こえて足を止める。兵士が屯する休憩所だ。そこから、沢山の兵士達の声がした。



 「わかるわかる!レイチェル様、黒髪だから最初怖かったけどさ、この前警備で行ったら"いつもありがとうございます"って言ってくれたんだよ!声すげー綺麗なんだよ!」



 「うんうん、あと小さくて、守ってやりたくなる。それなのに胸は大きいし、腰は細いし、お尻も中々………ソソるんだよなぁ」



 「そーだよなぁぁぁあ!わかる!性格もお淑やかだしぽやぽやしてて、それがまたいいんだよ…………流石アドラオテル様、いい妾を囲っていらっしゃる」



 「あの溺愛ぶりだぞ?流石セオドア様の息子だよなあ。本妻にしたりして」




 「でも身分がなあ…………」





 「……………」




 レイチェルが褒められている。………嬉しいのに、それ以上に腹が立った。レイチェルが妾?本妻は無理?ソソる?巫山戯るな。



 レイチェルは控えめに言っても美しい。

 漆黒の綺麗な黒髪に純度の高い青い瞳。身長は小さいけど、艶やかな身体をしている。"歌姫"と言われるほどの美声。性格もお淑やかだけど芯が強い。何かと自分を卑下してるけど、レイチェルは美しいんだ。



 でも。




 ___お前らの女じゃない、俺の女だ!




 「アドラオテル!」



 「わっ」




 大きな声で名前を呼ばれて、我に返る。

 俺は……ダーインスレイヴを持って扉に手をかけていた。ヨウちゃんは俺の肩を掴んで小声で言う。



 「お前はなにをするつもりだったんだ!?」



 「…………なにしようとしてた?俺」




 「ふざけるな!レイチェル様が好きなのはわかるが、それだけで人を傷つけようとするな!


 ほら、行くぞ!」




 「…………おー」





 俺はヨウちゃんに引っ張られながらぼんやり考える。………レイチェルは俺のこと、好きなんだよな?好きって言ってくれたし。でも、こんなに狙われてる。



 ____守るんだ、俺が。



 そう決意したアドラオテルは、その日の兵士教育で兵士たちを合法的にボコボコにしたのだった。







 * * *






 「と、このような感じでチョコブラウニーは完成です!」



 「わぁ………っ!」




 私はトレイに載せられた大きなチョコブラウニーを見ながら目を輝かせた。セラフィール様とセオドア様はエプロンをつけてニコニコしている。今日は3人でお菓子作りです。



 きっかけは、セオドア様の言葉だった。

 春になった、ということでセオドア様とセラフィール様と庭園の土いじりをしていたら、「そろそろみんなの誕生日だねえ」なんてのんびりした口調で言ってて、そういえばアドラオテル様の誕生日知らない!ってなって聞いたらセオドア様とフィアラセル様以外は皆春の月の18が誕生日らしい。



 もうあと3日もなくて、お金もなくて、泣きそうになった私に、「お菓子なんてどう?」とセラフィール様が仰ってくださったのだ。それでお言葉に甘えて教えて貰った。




 下界ではカフェで軽食を作ってたけど、お菓子作りはしたことなくて、覚束無い手つきだったけど無事にチョコブラウニーを作れた。感動でじーんとしてしまう。




 「………ふふっ、レイチェル様、とても嬉しそうです」



 「そうだね。恋する乙女は凄いんだぞ?セラ」



 そう言って笑みをこぼす美しすぎる親子。お菓子まで不格好な私と違ってお店で出してもバカ売れするだろうってくらい綺麗なお菓子を持っている。



 セラフィール様はともかく、セオドア様までお菓子を作れるなんて…………なんというか、凄い。語彙力が無さすぎる感想だけど、それしか言えない。










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