近未来デート! #02
『運命はすぐそこに』は私の好きな少女漫画。長年愛し続けた作品、映画化が決定してからずっと行きたかった映画だったけど。
「……………」
「…………ッ」
私はスクリーンよりも、アドラオテル様の横顔を見てた。光に照らされたアドラオテル様の横顔はきらきらしていて。
好きな人と映画館で恋愛ものの映画を見る…………恋愛漫画よりも、恋愛漫画っぽい。でも、映画よりもコロコロ表情が変わるアドラオテル様を見ている方が楽しかった。
* * *
「っあ~、面白かったな!レイチェル!」
「は、はい」
映画が終わり、廊下を歩く。
アドラオテル様は貰ったパンフレットを片手に目をきらきらさせていた。
「でかいテレビがバーッと広がってて、椅子は勝手に倒れるし揺れるしいい匂いするし!これがえいが、って奴なのか!?」
「ええ。4DXと言って、立体感があるのです」
「なんか、なんか凄かった!もっかいやりたい!」
アドラオテル様はずっと目をきらきらさせている。………来てよかった。映画は見てないけど、アドラオテル様が楽しんで下さっていたから。あとはなんでも良かった。
「アドラオテル様はどのシーンが好きでしたか?」
「やっぱり、告白するシーン…………あ」
「?」
そこまで言って、アドラオテル様は顔を赤らめた。何かを思い出したようにバッ、と顔を逸らしてモゴモゴと口を動かしている。私は小首を傾げた。
「どうなさいましたか?アドラオテル様………」
「や、えと、………その、返事、貰ってないよな、俺…………」
「………………ッ!」
返事、という言葉で思い出した。………私、告白されてたのすっかり忘れてた!うわぁぁぁぁぁアドラオテル様のことを考えているように見えて何も考えてない。
「…………」
「…………」
振り出しに戻った私たち。人が行き交う入口で、向かい合う。………ロマンチックではないけど、「運命すぐそこ」のお陰で何となくイケる気がしてる。アドラオテル様も恋愛に触発されてるし…………ち、ちゃんとお答えしなければ………。
「わ、私____「あん?………って、化け物!」____!」
『化け物』、という言葉に私は口を動かすのをやめて、固まった。
* * *
「……………?」
レイチェルが何かを言いかけた時、金髪の男がレイチェルを指さして叫んだ。その顔は………なんとなく、いやらしい顔に見えた。
「おいおいおいおい、なんで化け物がここに居るんだよ。なあ?おい、化け物」
「____ッ」
レイチェルはさっきの赤い顔はどこへやら、今にも泣きそうな顔をして青くなっている。男はそれを見ても言葉を紡いだ。
「お前、コルーンに居ちゃならねえんじゃねえのか?あ"ぁ?英雄達の子供なら化け物でも許されるんだもんなぁ!」
「おい、アンタ」
「………なんだよ」
「お前、コルーンの奴じゃないな。顔立ち見りゃわかる。………お前は知らないだろ?この化け物のこと。攫われたのか?」
「攫われた………?俺はレイチェルに会いたくて」
「化け物に名前なんてねえよ!てめえ騙されてるぞ!そいつは"化け物"だ!」
男達はそう言って笑う。それだけじゃない。周りの親らしき人間は子供を抱き締め、武器を構えている人間もいる。
「化け物が何故ここに………?」
「サシャ様は何をやっているんだ!」
「子供たちを近づけるな!殺されるぞ!」
「…………」
…………すごく不快だ。レイチェルを見る目が、全部。しかし、レイチェルは何も言い返さずに震えている。
「レイチェル、行こう。離れよう」
「………お前、本気で何も知らないのか?この化け物を」
「知らねえよ。道開けろ。……レイチェル、行こう」
「………」
「レイチェル………?」




