末弟皇子の恋 #04
「フィアはやっぱり体力無いね。私が鍛えてあげよっか」
「………僕は運動しないって決めてんの」
「わー、お姉ちゃんみたい。いざと言う時に困るよ?」
「いざと言う時って何?」
「例えばモンスターに襲われた、とか?」
シエルはくすくすと笑った。どき、と胸が高鳴る。髪をかきあげる横顔が水面と相まってきらきらしていて……口が、勝手に動いた。
「…………その時は、シエルが僕を守ってよ」
「___!」
僕がそう言うと、シエルは目を見開いて顔を真っ赤にした。……僕、やっぱり変な事言った?男なのに、女の子に守って、なんて…………。
そう思って、口を開く。
「やっぱり、冗談」
「……………フィア」
「?なん__っん」
柔らかいものが、唇に触れた。長いまつ毛、甘い匂い。………眼前に広がるシエルの顔。
僕は……シエルとキスを、していた。
それを理解して、頭が真っ白になる。
けど、振り解けなかった。優しい時間は、長くて、でも短くて。
シエルがゆっくり離れていく。少し赤い頬を携え、目を細めて笑った。
「____ずーーーっと守ってあげるよ、フィア。
約束」
「~~~ッ!」
フィアラセルは過去最大と言わんばかりに顔を真っ赤にした。
_____冬の寒い空の下、神聖な山の上。何の変哲もないその場所が、その日大切な場所に変わった。
_____11歳の甘酸っぱい恋物語、開幕です。
* * *
おまけ - サシャ & アルティア + 末カプ
「「………………はい?」」
サシャとアルティアは真顔を決めた。
その目の前には____ニコニコしたシエルと顔を真っ赤にしたフィアラセル。
シエルは変わらずにこにこしながら八重歯を見せて大きな口で言った。
「だから!私達結婚する!」
「い、いやいやいやいや、貴方達、11歳よ?」
「う、うんうんうんうん、まだまだ子供よ」
「……今すぐじゃない。だから婚約するくらい、いいでしょ?」
そうボソボソというフィアラセルに、アルティアとサシャは同時に「タイム!」と言った。
「…………どうする?」
「私は大歓迎、孫が増える」
「私も大賛成、けど私の娘が流石に殺しにくるんだけど」
「ならしばらく隠しましょう。ド派手に発表するために。今はアドラオテルくんとチェルのことを最優先にして、2人は裏で手引きしましょ」
「いいね。………ふふふふふふ、家族の輪が広がるわ……………」
2人は顔を合わせてにやり、と笑ったのだった。
* * *
おまけ - 龍神兄弟
「お兄様、お姉様」
「んー?なーにー」
「なんですか?フィア」
アドラオテルの部屋__大抵兄弟はアドラオテルの部屋に集まる___にて、本を読んでいたフィアラセルがぽつり、兄と姉を呼んだ。チェスをしていた2人はフィアラセルを見る。
「______お先に、ごめんね」
「……?おお?」
「???」
フィアラセルは今までに見たことがないほどのドヤ顔をして部屋を出ていった。残されたセラフィールとアドラオテルは顔を見合わせて首を傾げた。




