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末弟皇子の恋 #02






 「……………女だったな」



 「……………女性でしたね」



 追い出されたアドラオテルとセラフィールはアドラオテルの部屋に集まっていた。アドラオテルは定位置のベッドに横になりながら大きく伸びをした。




 「とうとうフィアが恋をするか~!お兄ちゃんは寂しい!」



 「寂しいですけれど………フィアだって1人の人間です。恋くらいしますよ」



 「………それは経験談か?」



 「う、うるさいです!………あれ?」



 「ん?」




 セラフィールは真っ赤な顔のままぽつり、と言葉を漏らした。アドラオテルは首を傾げる。




 「どうしたんだよ、セラ」



 「………ねえ、アド。たしか……レイチェル様の妹様もシエル、と言いませんでしたか?」



 「………あ」




 2人はまた顔を見合わせた。

 ___フィアラセルの恋の相手ってレイチェル(様)の妹じゃない?




 その考えに至るアドラオテルは引き攣った笑みを浮かべる。



 「ま、まっさかぁ~………そんな偶然……」



 「ですが、フィアがあのように笑顔が増えたのは2ヶ月前___レイチェル様の実家に行ってからですよ?」



 「…………」



 「…………」





 二人の間に静寂が流れる。

 しかし、考えていることは一緒だった。




 _____レイチェル(様)にさりげなくシエル(様)のことを聞こう。




 フィアラセルのことになると年上センサーが働く弟大好き双子であった。





 * * *





 「今日はユートピアでの貴族階級の作法を学ぶのです。私、予習していたので頑張りたいと………」




 「…………」





 次の日の朝食時、アドラオテルは今日の予定を話すレイチェルを見ていた。




 ………なんて聞こう。フィアラセルのことは心配だけど、レイチェルに聞くのは違う気がする。とはいえ、フィアラセルがあんな顔して喜ぶことをするシエルのことが気になる。



 どうすればいいんだ………ぶっちゃけ考えるの面倒くさいし首を突っ込まない方が「アドラオテル様……?」………あ。




 ふと気づくと、レイチェルは青い瞳の上にある整った眉毛を下げて泣きそうな顔をしていた。



 「ご、ごめんなさい、私ばっかり話してしまい………つまらない思いを………」



 「つ、つまらなくないぞ!ちょっと、きになることがあって」



 「………?きになること?」



 「そうそう!それより、今日はレイチェルの兄弟のことが聞きたいな、特にシエルのこと!」



 「??」



 レイチェルが首をかしげている。泣きそうな顔ではないけど、不思議そうだ。もう言っちゃったものはしょうがない。突き進む!



 「ほら、俺達婚約者だろう?レイチェルの兄弟は俺の兄弟になるし、知りたいんだ」



 「こっ、………そ、そですか………。


 わかりました、お話します………えっと、弟のロルフは私の3歳下の13歳です。私の父が医者なので、医者になりたいロルフは学校に行かず、父の元で勉強をしています」




 「うんうん」




 レイチェルは顔を赤らめながらぽつりぽつりと言葉を零すように紡ぐ。赤い顔も可愛いし、兄弟のことが知りたいというか、レイチェルのことを知りたいから癒されながら頷く。



 「シエルは___あの子は結構、その、唯我独尊というか、猪突猛進というか………思ったことや感じたことを素直に口や行動に出します。でも………私同様、人間関係を築くのが苦手な子で、いつも1人ぼっちなのです。


 なので、フィアラセル様には感謝しているのです」



 「フィア?」



  「ええ。最近フィアラセル様が遊んでくれるんだ!と、嬉しそうに話すのです。………私もシエルも、アドラオテル様やフィアラセル様に手を引いてもらっていて………申し訳ないとは思いますが、嬉しいのです」



 「___ッ」




 レイチェルはそう言って本当に嬉しそうに笑った。


 ………やば、レイチェル可愛い。無理。フィアラセルのことを聞こうとしたのに俺が喜んじゃった………。



 「……アドラオテル様?」



 「ハッ、お、俺はもう行く!講義頑張れよ!」


 「あっ、アドラオテル様!」




 俺は急いで立ち上がって部屋を出た。

 もう俺の頭にフィアラセルはいなくて、一日中ずっとレイチェルのことを考えていた。







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