末弟皇子の恋 #01
セラフィールとアドラオテルは、ある部屋を覗きながら話していた。
「……………なあ、セラ」
「…………なあに、アド」
「俺が最近気になっていることを聞いていいか?」
「仰ってみてください」
セラフィールの言葉に、アドラオテルは部屋の中を覗きながら………小さな声で言った。
「____フィア、最近おかしくね?」
「…………」
そう言ったアドラオテルの視線の先には___今まで見たことがないくらいニコニコしているフィアラセルの姿があった。フィアラセルは紙を持ってくすくすと笑っている。それを同じく見ていたセラフィールは頷く。
「ええ。………ぽーっとしてたり、手紙を読んでは笑っていたり……何があったのでしょう?」
「悪いことじゃないけど………気になるよな。
ってことで、聞いてきてくれよ、セラ」
「嫌よ。わたくしはフィアに嫌われたくありません」
セラフィールはツン、とそう言う。カチンと来たアドラオテルは小声でセラフィールに詰め寄る。
「いいから行けよ!」
「アドが行けばいいじゃない!」
「俺だってフィアに嫌われたくないし!」
「でも聞かないとわからないじゃない!」
「………なにしているの?2人とも」
「!」
「!」
そんなことを言い合っていると、聞き慣れた声が下からした。見ると、フィアラセルが怪訝そうな顔をしている。
「人の部屋の前で屯しないでよ。みっともない」
「………」
「………」
バレた2人は意思疎通する。………この2人、実はお互いの考えていることをお互いに伝えることができるのだ。
『どうするのよアド!フィアに気づかれちゃったじゃない!』
『もう逃げ場はないだろ!?………ちっ、しかたないな、俺が聞くよ!』
アドラオテルはそう意思疎通をしてから、フィアラセルと視線を合わせる。
「……フィア、その手に持っている紙、俺にも見せて」
「………なんで」
「お前、それ見てニコニコしてるじゃん?エッチな紙かな~って」
「お兄様と一緒にしないでよ」
ツン、と姉譲りの頑固さで突っぱねるフィアラセルに『プツン』とアドラオテルの何かが切れた。
「みーせーろー!」
「わっ、だ、だめ!これは見せない!離れて!」
「離れねー!絶対離れねー!」
アドラオテルはがっちりフィアラセルをホールドする。フィアラセルは突然のことに驚きながらも抵抗する。その拍子に、ひらり、と紙が落ちた。
「あっ!」
「セラ!拾え!」
「は、はい!」
セラフィールはその紙を拾って、かさりと中を開けた。どうやら手紙らしく、少し大きく不格好な文字が記されていた。
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フィアへ。
元気?私は元気!今日も暑いよ!
あのねあのね、今日は綺麗な貝殻を見つけたの!一緒にいれとくね!
来週も遊びに行くからね!次はなわとびしようよ!
フィア、だーいすき!またね!
シエルより
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「これは………………恋文?」
「っ、返して!」
「きゃっ!」
やっとアドラオテルから離れられたフィアラセルは、手紙を奪う。その顔は真っ赤だった。
「出ていって!お兄様もお姉様もだいっきらい!」
フィアラセルはそう言って魔法でアドラオテルとセラフィールをぽい、と廊下に捨てて部屋の扉を思いっきり閉めた。アドラオテルとセラフィールは__いつも仏のように大人しい弟の変化に、しばらく顔を見合わせてた。




