コスタ・デル・ソル
全員の動きが止まる
一方レイチェルは「あ」と声を漏らして説明した。
「私の叔父さんは科学者で…………私達家族はよく別次元に行くので、必需品なのです」
「………レイチェルんちって、凄いな」
「流石ですわ………」
「う、うん………」
「……?それより、行きましょう。
えっと、どこでもいいので、私に触れてください」
レイチェルの言葉にアドラオテルは肩を抱き、セラフィールは手を繋ぎ、フィアラセルは服を掴んだ。
レイチェルは顔を赤らめながらぽち、とボタンを押すとその場から消えた。
残ったアミィールは心配げに言う。
「せ、セオ………子供達は大丈夫でしょうか……」
「大丈夫だよ………あのレイチェルちゃんがそれで行けるって言ったんだから」
アミィールとセオドアは心配げに消えた3人を想った。
* * *
「お~!」
「わあっ……!」
「………凄い」
3人はすぐにコスタ・デル・ソル、レイチェルの家に来た。見たことの無い物が沢山置かれた部屋に、冬だと言うのに暑い気温。それには、全員のテンションが上がった。
「ここがレイチェルの実家か!?」
「凄いです!凄いです!」
「………驚いた、本当に夏なんだ」
「あ、あはは………」
私は全員が色んなものを触るのを見て苦笑いする。ドレスと私の家、合わない…………とにかく着替えてもらおう。コスタ・デル・ソルは暑いし__「お姉ちゃん!」
「おぐぅっ!」
「レイチェル!?」
そんなことを考えていると股関節に固いものが直撃。思わず変な声を出す私にアドラオテル様は近づいてくれた。
* * *
初めて聞いた鈴のような声。わたくしは部屋を見るのをやめてレイチェル様の方を見ると___聖女のフラン様と同じ黒と白のごまプリン頭、紫瞳の少女がにこにこしながらレイチェル様に抱きついてた。
「おかえりなさい!お姉ちゃん!」
「シエル………お願いだから突進はやめて………」
「諦めろよ、チェル姉」
「!」
次は違う声。少し低い声のした方を見ると………白っぽいベージュ頭のしっぽの様な長髪、赤と青の瞳の小さい男子が立っていた。しかし、レイチェル様は驚くことなく言う。
「ロルフ………お母さん達は?」
「もう行った。………それより、誰だよその3人」
「………ッ」
ギロリ、と睨まれる。思わず萎縮してしまうわたくしを庇うようにレイチェル様は立ってくださった。
「え、ええっと、その、………」
「婚約者とその兄弟だぞ!」
「アドラオテル様!?」
言い淀んでいたレイチェル様の代わりにアドが答えた。レイチェル様は顔が真っ赤だ。可愛い。
「………ふーん、つまり、親がいないのを見計らって彼氏と兄弟連れてきたんだ、チェル姉の癖にやるじゃん」
「やるじゃん!チェルお姉ちゃん!」
「そ、そういう訳ではなく!ふ、不可抗力というもので………!」
「なんでもいいけど、その格好、ここでは熱中症になりかねないよ。
服は持ってる?」
ロルフ、と呼ばれた男子はわたくし達を見た。答えるのはやっぱりアドラオテルだ。
「水着と夜着しか持ってきてない!」
「そ。なら水着着なよ」
「水着、家で着るの?」
フィアラセルはこてん、と首を傾げた。その疑問に答えてくれたのはレイチェル様だった。
「コスタ・デル・ソルでは、水着が私服な方が多いのです。服を着ている人の方が少ないので、着替えましょう」
「私も水着だよー!」
シエル、と呼ばれた少女はお祖母様がよく着ているビキニ、というものにスカートを合わせた格好をしている。どうやら本当らしい。
こうして、わたくし達は着替えることになった。




