表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/420

皇子は目撃する






 「来週は暑くなりそうだから薄着のドレスをと思ってましたが……それでは体型が………」



 「別に言うほど太ってないだろ。ていうか細すぎ」


 「気休めはやめてくださいまし!わたくしは本気なのです!………あと3キロは痩せたい………」



 「ガリガリになるつもり?骨と皮ってミイラじゃん」



 「少しでも綺麗に見られたいから妥協は出来ないのです!」



 「ふーん。大変だなぁ」



 そう他人行儀に言うと、セラフィールはへにゃりと笑った。



 「好きな殿方の為にやっている事だから、苦痛ばっかりじゃないんです」



 「………へえー。じゃあ、このお菓子全部貰っていい?」



 「う"…………ビスケットだけは残してください…………」


 「…………」



 涙目のセラフィールの言葉にアドラオテルは呆れる。泣き虫セラは健在だな。……でも、好きな人の為のことはそういうものなのか。



 そんなことを思いながら、アドラオテルは立ち上がる。




 「んじゃー俺、残りの休憩時間は息抜きしてくるから。なんかあったら『狼の丘』な」



 「ええ、わかりました。今日は暑いので水筒は持っていってくださいまし」



 「ほーい」



 アドラオテルは間の抜けた返事をして水筒片手に消えた。





 * * *




 「よっ、と」



 アドラオテルは『狼の丘』に着くとふう、とため息を着いた。



 「外あっついな~……プールの方がよかったかな?」




 アドラオテルはそんなことを言いながら大きく伸びをする。そして、ふと気づく。だだっ広い草原の真ん中で、見たことの無い服を着て縄跳びやってる。………でもここってガロの場所だよな。いや、ガロなら怒らないだろうけど____って!


 「レイチェルじゃん!?」


 「!?」




 思わず大きな声を出したら、黒髪を1本に纏めたレイチェルが、青い瞳を見開いて俺を見た。




 * * *





 アドラオテル様ーーーーーーー!?

 私は思わず心の中で叫ぶ。え!?ここから城って結構距離あるよね!?私の足でも30分はかかるのに!?ていうかなんで居るの!?そ、そんなことより………1番見られたくない人に見られたーーーーー!!!




 心も体も滝汗を流す私に、アドラオテル様は近づいてきた。



 「な、なにしてんの、こんな所で縄跳びなんか………」



 「えっと、……」





 私は言いよどむ。

 ………ただのダイエットなんだけど、デブの悪あがきを知られるのは恥ずかしい………。




 「えっ、と、心身ともに鍛えようとお、思いまして………」




 「縄跳びで鍛えるのか?……うーん、女子がどうやって鍛えるか知らなかったな………それはともかく、此処は『狼の丘』って言ってガロの敷地だぞ」



 「ええっ!?」




 ガロ、というのは長年この城………というか、アルティア様に仕えている執事の事だ。そ、それっていけないんじゃ………「なあ、レイチェル」………?お、怒られるのかな!?謝らないと!



 「ご、ごめんなさ___「顔色、悪い」………えっ」



 アドラオテル様はそう言って真剣な顔をして私の頬に触れる。大きな手がひんやりしてる。



 「ちゃんと水分とった?」



 「えっと、その、1時間前に紅茶を……」



 「確実に足りてないじゃん!これ飲んで!」



 そう言ってアドラオテル様は青い水筒を差し出してきた。も、申し訳ないしこれ間接キスじゃ………!




 「だ、大丈夫です!今から戻れば___っう」



 「レイチェル!」




 ふら、と身体が揺れて、倒れると思った所をアドラオテル様に支えてもらった。



 「……とにかく、部屋に戻るよ」



 「あ、え、きゃっ!」




 アドラオテル様の言葉に、私の視界は草原から見慣れた自分の部屋に変わった。アドラオテル様はテキパキと私をベッドに寝かせて、氷魔法と風魔法を私にかけた。そよそよと気持ちいい……。




 「レイチェル、鍛えるなら鍛錬場にしてくれよ?鍛錬場なら誰かしら居るし、必要なら俺から兵士達に聞くから」



 そう言ってアドラオテル様が眉を下げる。………親切だ………アドラオテル様にかっこ悪いところを見せた上嘘まで………これじゃ人間みがきの目標から遠ざかってる………それは、嫌だ。



 私はぎゅ、と目を閉じて口を開いた。



  「………本当は、違うんです」




 「?」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ