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ダイエット宣言!




 よく考えたら、食事は抜けない。

 だってアドラオテル様と常に一緒に食べてるのよ?無理無理、ダイエットなんてバレた日には死にたくなる。私は死にたくはない。



 他のところで抜けばいいのよ。流石にティータイムは抜けるはず。お腹すいてないって言えば___「レイチェル様?」…………う。




 名前を呼ばれて、思考を止める。目の前には緑と黄金の瞳をキラキラさせたセラフィール様と…………マカロンやらガトーショコラやらフルーツタルトやらが並べられたお盆。思わず顔が引き攣る。




 「レイチェル様、大丈夫ですか?」



 「だ、大丈夫です。ごめんなさい、ぼうっとしてました……」



 「いいえ、何事もなくよかったです。今日はレイチェル様が好物だと言っていたフロランタンを作ってみましたの。


 ぜひ食べてくださいまし」




 セラフィール様はにこにこしながら私にそう言う。

 ………このふわふわ天使様はとても優しく慈悲深い。私がお菓子を好きだと言ったばかりにいつも忙しい執務をこなしつつ私の好きなお菓子を山のように作ってくださる。……そう、山のように………。




 「今日はなんのお話をしましょう。久しぶりにチェスをしてもいいですね。あっ、そう言えば………」




 セラフィール様は話の合間にパクパクとお菓子を食べている。………その細い体にどれだけはいるんだろう………というか太ってないの凄い…………。



 ………………うん、私にこの天使の笑顔は壊せない。運動しよう。




 そう思いながら、フロランタンを口に含んだ。



 * * *




 「よーし!やるぞ!」



 私はジャージを纏い、縄跳びを両手に持って意気込む。

 昨日、仮初の婚約を結んでから定期的に城に来る大おばあちゃんにお願いしたのだ。「縄跳びとジャージをください」って。食べることをやめられないなら運動するしかない!ってことで。



 外でやるのは恥ずかしいけど、庭園やテラスでやったらアドラオテル様にバレるかもしれない。バレたらなにか言われるかもしれない。……そう思って、城の敷地の中であまり人気のないとライラが言っていたここに来た。詳しくは知らないけど、人影は見えない。空気もなんか美味しい気がする。



 ………確か、有酸素運動は20分が目安。ひとまず、目標は20分で。




 「ふっ、ふっ………」


 さっそく縄跳びをやってみる。ダスダスとかっこ悪い足音を聞きながら、思った。




 こ、これは…………たったの30秒で物凄く息が苦しい………!ひとまず20分とか無謀すぎた!



 私は人外の力があるから!って過信してたけど、それらは全く役が立たない。当たり前だ、学校を辞めてから………というかこの城に来てから殆ど動いてないんだもん!だって、ドレスだし!



 ………ああ………上着くらい脱ぐべき……?いや!汗をかいた方が痩せるだろうし!こうなったら、無!心を無にすればいける!




 そう思いながら、ひたすら飛んだ。






 * * *





 「はぁ…………」




 執務室にて。セラフィールが大きく溜息を着いた。近くでケーキを食べていたアドラオテルは首を傾げる。



 「どうしたんだよ、セラ」



 「………なんで、アドは太らないのですか?」



 「急になんだよ」



 「………アダム様に、"セラ少し太った?"と聞かれました」



 「あー……」



 アドラオテルはそれを聞いてフォークを咥えた。アダム、というのはセラフィールの逢瀬相手だ。小さな頃から秘密の逢瀬を重ねて、もう8年は経っている。いつも笑顔なセラフィールが悩むのは大抵アダムだ。



 セラフィールは頭を抱えながら言葉を紡ぐ。



 「"セラは痩せすぎだからもっと太れ"と言って下さりますが、わたくしは太りたくありません。お菓子の量も減らしているというのに………」



 「あれで減らしてる、ねえ………感覚バグってるよ、お前」




 アドラオテルはちらり、と机に乗ったお菓子の山を見てげんなりする。今だってセラフィールと父親が作ったお菓子を消費する事で必死だと言うのに。





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