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旅行はクルーズ船 #01

 






 「わーっ、すごーーーーーーーいっ!」

 「ユーリ兄、うるさい」



 11歳になったユーリは大声を上げながら外を見ていた。ルークは青い顔をしながら突っ込む。外は大きく青い海が広がっている。俺達は毎年恒例の家族旅行に来ていた。


 今回の家族旅行は1泊2日の豪華客船の旅。もしかしてもなくお金を沢山使う為に決めた旅先だ。船だと言うのに異常に広いスイートルームを取った。



 それはともかく、俺も初めての船だ。ユーリと一緒に年甲斐もなくウキウキしている。でも、楽しめていないのが一人いる。



 「………ママ、気持ち悪い………うぷ」

 「船酔いですね、酔い止めを飲みましょう」

 「ルークは大丈夫か?」

 「ルーク、大丈夫ー?」

 「大丈夫だから放っておいて………」


 どうやらルークは船に弱いらしい。確か、車に乗っててもこういう顔をするから乗り物がダメなのかもしれない。レイチェルは困った顔をしながら俺達を見た。



 「ルークは私が見ています。落ち着いたら行きますので、外で遊んできてもいいですよ?お庭にはプールもありますし」

 「そうだな。ユーリ、プール入ろっか」

 「うんっ!」



 俺達は水着を着て、外に出た。

 スイートルームというだけあって個人スペースが広い。部屋に通じる外には大きめのプールがあった。ユーリはシロと一緒にはしゃいでいる。俺も一緒に遊んでいたら、落ち着いたらしいルークとクロ、レイチェルも来て、家族で海を見ながらプールを楽しんだ。



 * * *



 「わぁ、綺麗だね~」

 「悪くないかな」

 「ルーク、もっと楽しそうにしてくれよ~」

 「ちゃんと楽しんでますよ。ねえ、シロ、クロ」

 「わん!」

 「わふん!」



 夕方、俺達は甲板で夕日を見ながらディナーをしていた。このタイタニック・フォンという次元では動物と人間が共存している世界で、今もくじらが歌っている。意外と綺麗な声で、夕日といい塩梅でロマンチックだ。食事も美味い。でも、城で出るような食事で、庶民として生きてきたユーリとルークはちょっと物足りなさそうにしていた。



 * * *




 「ストレートフラッシュ」



 ルークの言葉に、周りがシン、とした。私達はこの上なく居心地が悪い。食事が終わり、船を散策していたらカジノを見つけたのだ。騒音とお酒の匂いが酷いから戻ろうとしたら、ルークがやりたいと駄々を捏ねた。珍しいことで、戸惑っていたらあっという間に台に行ってやり始めてしまった。


 幸か不幸かこの旅行は大量にお金を使うのも目的だ。だから許可を出したんだけど………ルークにはギャンブラーの才能があるのか、滅茶苦茶勝っている。元金は払ったけど、もうそれが何百倍も膨れ上がっている。ついでに、ルークの鼻も膨れ上がっている。ユーリはやらなかったけど、ルークの活躍を見て拍手をしてて………頭が痛くなった。



 「る、ルーク、もういいんじゃないか?そのうち負けるぞ?」


 流石のアドラオテル様もこれはいけないと思ったのか声をかけるも、ルークは鼻で笑った。


 「負けないよ。次はボードゲームだからやっぱり確率の問題だし、そもそもヒーローになる為には貯蓄しなきゃだし。………コール」


 「………」

 「………」

 「ルークすごーーーいっ!」



 ユーリだけが興奮して、黙る大人達。カジノオーナーが勘弁してください、と泣きながら頭を下げた頃には、ルークのお金が私とアドラオテル様、ユーリの貯金を上回る額になっていた。





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