お好み焼きとバイト #02
「よっ、と」
「わー、すごーいっ!」
「……なかなかやるじゃん」
注文したものが来て、焼いていると2人が身を乗り出してお好み焼きをひっくり返すのを見ていた。昔取った杵柄というもので、お好み焼きを焼くのが得意な俺は少し照れくさくなる。バイトしててよかった。グッジョブ、俺。
「俺もやりたいなぁ~、父さん」
「おお、やってみろ、ユーリ」
「俺もやる」
「ルークはまだ小さいから……」
「やる」
「………火傷には気をつけてくださいね」
ユーリとルークは俺とレイチェルのを焼いてくれるみたいで、鉄板の上に生地を流し入れた。じゅうううう、と焼く音を聞いてはヨダレを垂らしている。
「ね、もうひっくり返していい?」
「まだ早いぞ。こういうのは忍耐なんだ」
「にんたいってなーに?ルーク」
「耐え忍ぶ………我慢するってことだよ」
ユーリに説明するルークを見てぶふ、と吹き出す。どっちがお兄ちゃんなのか分からないな、なんて思った。
* * *
「おいしーっ!」
「はぐはぐ、……」
焼きあがったお好み焼きを子供達が食べている。ちなみにさっきやったのは見事に失敗。俺とレイチェルのはグチャグチャだ。でも、2人の初めてを貰えたのは嬉しい。レイチェルもそうらしく、嬉しそうにお好み焼きを食べている。
「ねえ父さん。なんで父さんはお好み焼きを焼くのが上手いの?」
「父ちゃんはなー、ここでバイトをしてたんだ」
「ばいと?ばいとってなーに?」
「んー、お店のお手伝いってことだ。ここはひいおばあちゃんのお店だろ?だから手伝ってたんだぞー」
「すごーいっ!」
「ふふっ、それだけじゃありませんよ。此処でパパとママは婚約して、プロポーズをしてもらったのです」
「!?チェル!?」
レイチェルの爆弾発言で思わず俺は立ち上がった。かっこ悪い記憶を思い出して顔が熱い。しかし、意地の悪いルークはにやにやと笑っている。
「ふ~~~~ん、パパ、こんな所でそんな大事なことしたんだ?シュチュエーションとか考えなかったわけ?」
「なっ、ばっ、違うって!ほんと、それは全部偶然というかひいおばあちゃんのせいっていうか………」
「父さん、顔真っ赤ー」
「ふふっ、可愛いでしょう?」
「っ、チェ~~~~ル~~~~!」
俺がそう言うと家族全員が笑った。それだけじゃなく、ばあちゃんもじいちゃんも出てきて笑ってやがった。
お好み焼きは美味しいけど、もう来ないぞと心に誓った。
* * *
おまけ - 祖父母 × ユーリ
「はいっ!パウンドケーキっ!」
ユーリは満面の笑みで焼きあがったパウンドケーキを差し出す。差し出されたタツキは黙ってそれを手で持って食べた。
「ああ。この味なら店に出してもいいだろう。ついでにベリーのソースもあると更に美味くなるぞ」
「本当っ!?じゃあさっき作ったチーズケーキの奴と一緒でいいねっ!
おばあちゃん!」
「はいはい、買っときますよ。………にしても、なんで急にバイトがしたくなったの?」
イチカはため息混じりにユーリに聞く。
2ヶ月前からユーリは軽食作りをし始めた。そして、1か月前に『バイトがしたい!』と言い始めて、今に至る。
ユーリはイチカの言葉を聞いてにっこり笑った。
「だってだって、父さんみたいにバイトしたいんだもんっ!」
「あんのバカ皇子………余計なことをいいやがって………はぁ。まあ、クソアマはコーヒーしかできねえからいいんだろうけどよ」
「コーヒーしかできなくて悪かったわね。でも、この前ユーリの作ったバウムクーヘンを出したら美味しいってみんな喜んでたのよ。私も助かるなぁって」
「へへへっ、俺、もっと作るからねっ!あとねあとね、せっきゃくもする!」
「接客、な。それは父親に教えて貰え」
「うんっ!」
ユーリは満面の笑みで頷いたのだった。




