お好み焼きとバイト #01
『はふはふ、あっつい!けど美味い!お好み焼きは関西じゃ~~~………』
「……………」
ユーリは目をきらきらさせながらグルメ番組を見ていた。それを傍で見ていたレイチェルはユーリから発せられるであろう言葉に苦笑いを浮かべる。
案の定、CMになるとパタパタとユーリはこちらに走ってきて私の膝に手を置いた。
「母さん!俺、お好み焼き食べたいっ!」
「ふふっ、はいはい。今日の夜ご飯はお好み焼きね」
「………母さんのも好きだけど、お店のが食べたいなぁって、ルークが言ってるよ?」
「は?俺何も言ってないんだけど」
「しーっ!ルーク、後でおやつ半分あげるからっ!」
ユーリは小声………と言っても私に聞こえるくらいの大きさでルークを口止めしている。成長してる、いけない方向に………でも、お好み焼き屋さんか。確かに久しぶりに食べたいかも。行くならやっぱり………よし。
「ユーリ、ルーク、お好み焼き屋さんは次のパパの休みでもいい?ママ、美味しいお店を知ってるから、パパとも行きたいの」
「うんっ、食べられるならなんでもいいっ!ねえ、ルーク!」
「だから、俺は食べたいとは……「ルーーークーーーーー 」はぁ……」
ルークは重々しい溜息を着いた。
* * *
次の休み。俺はレイチェルに言われて転移魔法を使った。行先はもちろん『あっぱれ!平民!』だ。最初に行きたいとユーリに言われた時はビックリしたけど、お好み焼きといえばここだよなぁ。随分くたびれた見た目の店に入る。
「はーいらっしゃ……って、アドじゃない。レイチェルちゃんこんにちわー、それと……えっと、ユーリとルークよね?大きくなったわねえ」
店に入るとばあちゃんがひょっこり顔を出した。サシャ同様歳を聞くのが怖いくらい若い見た目の大おばあちゃんにユーリとルークが目をぱちぱちさせた。
「こんにちわ、なんで俺の名前を知ってるの?」
「パパとママの知り合い……?」
「なっ………」
「え………」
「ぶふっ」
思わず吹き出してしまう。ばあちゃん忘れられてやんの。確かに、ユーリもルークも本当に数える程しか会ってないもんな、わかるわけないか。
「ちょっとアド!笑ってないで私を教えこみなさいよ!」
「わりーわりー、ユーリ、ルーク、ひいおばあちゃんだぞ、このおばちゃん」
「ええええっ!?ママと同じ歳なのに!?」
「嘘でしょ。なんで皺ないの?化け物じゃん」
「ぶふーーーーーーーっ!」
「アド、あんたは後で覚えておきなさい。ユーリはお上手ね~!ルーク、ひいおばあちゃんは魔性のオンナなのよ~。
それより座って座って、この時間は空いてるから」
俺達はばあちゃんに案内されて席に着く。俺はユーリと座って、レイチェルはルークと座った。メニューを取り、全員で見る。
「ユーリ、何が食いたい?」
「なにがおいしいのー?」
「なんでも美味しいぞ~?豚さんのお肉も美味しいし、お魚さんも美味しいし、お野菜も美味しいぞ~」
「んー、じゃあお野菜にするっ!」
動物大好きなユーリは肉や魚をあまり食べない。可哀想なんだと。10歳でこれでいいのかって思わない訳では無いけど、ユーリらしいなとも思っている。
「ルークは何がいいですか?」
「お肉。たくさんお肉入ってるのが食べたい」
「ふふっ、ルークはお肉が大好きですね」
レイチェルはくすくすと笑う。ユーリと正反対のルークは肉食だ。好きというより鍛える為らしく、筋肉の為に食べてる。……ひょろひょろだけど。
「ちょっとパパ、今失礼なこと考えたでしょ」
「エスパー?」
「……本当に考えてたんだ……サイテー」
「はいはい。チェルはシーフードな」
「はい、アドは豚玉ですか?」
「うん。よし、決まったし注文するぞー」
「はーいっ、ユーリがやるー」
ユーリは近くに置いてあった呼び出しボタンを押した。するとばあちゃんが来て注文を受ける。そのあと少しおしゃべりをして去っていった。




