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恋愛のお話






 「アドラオテル!次はウォータースライダーやろうぜー!」



 「おー。……レイチェル!お前はここにいろよ!」



 「は、はい………」




 私はアドラオテル様に言われてみんなが遊んでいるのを眺めていた。プールの端っこで、足を入れて涼んでいる。勿論ウォータースライダーなるものをやってみたいけど、この水着じゃ無理。紐パンだから脱げたら漫画みたいなことになる……………!



 ………アドラオテル様、目を合わせてくれるようになったけど、すぐに顔を赤くしちゃうし………暑いのかな………いやいや、もしかして見苦しすぎて………?うう、コミュ障には難解すぎて「レイチェル様?」はうっ!



 急に呼ばれてびく、と体を揺らす。

 見ると___いつの間にかエリザベス様が。私は聞いた。




 「あ、あの、ウォータースライダー、楽しそうですよ?行かないんですか?」


 「わたくしは、レイチェル様とお話してた方が楽しいと思うので残ったのです」



 「え」




 真顔、2回目。

 私と話とな……?話題なんてない。貴族の流行りも知らない。女子がどんな話をするのかも知らない私がエリザベス様とお話!?



 頭に血が上る。分からなすぎてだ。落ち着けと心の中で唱えるけど全然効かない。………いや!セラフィール様とのお話を思い出してみよう!きっとできる!



 「さ、最近暑いですね、作物が育つか心配です。平民にとっては厳しい夏です。食べるものが………」



 「え?なければお菓子を食べれば宜しいのでは?」



 「…………」




 会話、終了。

 本当にお姫様ってこんなこと言うのか………いやでもうん、私も何喋ってるのか分からなくなるし、うん。な、何を話せばいいのだろうか………。




 うーん、と唸り声をあげてしまう私に、エリザベス様が問うてきた。



 「あのっ、………レイチェル様、その、………恋愛の相談に乗ってくださいませんか!」



 「え?」



 恋愛?


 レンアイ?


 renai…………?




 私、フリーズ。セミの鳴き声と人々の楽しげな声が響く中、エリザベス様は再び口を開いた。



 「えっと、その、わたくしの友人のお話なんですけど………みんなに人気者な殿方を好きになってしまったそうで……その御方は誰にでも優しく、……本当に好きかどうか、わからなくて………」




 話が続いていることはさておいて。恋愛とかもわかんないことはさておいて。色んなものを「さておいて」してから、思った。



 なんだか、アドラオテル様みたい、って。

 人気者で、誰にでも優しくて。



 「………自分が特別じゃないってわかってても、好きになるって気持ちは………わかります」



 「………え?」



 「あっ」




 思わず、言葉を紡いでしまっていた。私は絵に書いたようにパニックになる。




 「こ、答えになってません!ごめんなさい!」



 「い、いいえ、それは全然___「お?ちょー可愛いじゃん」………?」




 「………?」



 ふと、私たちの周りが暗くなった。

 見上げると___男が立っていて。男はニタニタと笑いながら私とエリザベス様の腕を掴んだ。






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