2ヶ月後の私
「レイチェル様、満点でございます」
「あ、ありがとう…………」
私は答案用紙を受け取ってガロ様に頭を下げる。
___時間が経つのは早いもので。
私がサクリファイス皇城に来て2ヶ月が経った。このとおり、ぎこちないながらも貴族の真似事をしている。
最初こそ、勉強も礼儀作法もできるわけが無いと震えていたが、毎日6時間やり続けていたら、なんとか毛が生えたくらいにはできるようになった。いいや、出来なければならないのだ。
何故なら、私は_____「レイチェル様!」…………あ。
そこまで考えたところで、名前を呼ばれた。講義室の入口には………セラフィール様が立っていて。セラフィール様はパタパタと小走りをして近づいてきては私の手を握った。
「講義は終わりましたか?」
「え、ええ。終わりました」
「なれば、共に部屋でテレビを見ましょう!今日は"あれ"があります!」
「わわっ、せ、セラフィール様!私なんて引っ張らずとも………」
「なんて、は禁止です!行きますよ!」
セラフィール様はぐいぐいと私を引っ張った。私と違ってか弱いセラフィール様が私を引っ張れるわけないけど、一生懸命なセラフィール様の前で私なんて無力だ。ぐいぐいと引っ張られながら考える。
セラフィール様と私は、友達っぽくなっていた。庭園に行ったあの日からセラフィール様は幾度となく私の元に訪れて、他愛のない話をする。今まで同い年の女子と話せたことがない私は最初こそ戸惑ったけど、セラフィール様のおかげで普通の会話くらいはできるようになったのだ。
そして、セラフィール様の言う『あれ』とは_____………
* * *
【「ナナコくんを離せ!消しゴム怪人め!
サンダーーーーービーーーーム!」】
テレビの中で、龍の被り物を被った男が手から雷を出している。それを見たセラフィール様は目をきらきらさせて指さした。
「今日もアドは絶好調ですわ!見ましたか、レイチェル様!」
「は、はい…………」
私は苦笑いをしながら返事をする。
テレビに映っているのは子供に大人気なユートピアの特撮ヒーロー『ドラゴン仮面』。そしてその主役が___なんとなんと、私の婚約者(仮)のアドラオテル様なのだ。
アドラオテル様が『ドラゴン仮面』の主役をやっている、ということは学園でも有名で知っていた。けど、見たのはこの城に来て、セラフィール様と仲良くなってからだ。『アドの勇姿を見てくださいまし!』とまるで自分のことのように自慢してくるセラフィール様が可愛かった、ってのももちろんあるけれど、こうして見ると特撮ヒーローも侮れないくらい面白い。
なにより____たまに映るアドラオテル様の顔つき演技が尊い…………顔面国宝………。
「レイチェル様、どうなさいました?」
「あっ、な、なんでも………」
「ならいいですけれど………なにかございましたら言ってくださいね?わたくし、治癒魔法を使いますので!」
そう言ってにっこり笑うセラフィール様に、私はほっこりしながら「はい」と返事をした。




