おばちゃん特有のマシンガントーク
アドラオテル様の言葉なんて頭に入らない。帰りたい!けどここで帰るのは感じ悪い!せめて記憶に残らない位地味に食べて帰ろう…………「チェル!アドくんと知り合いなの!?」「おいチェル!説明しなさい!」「アド?恋人?」「アドに恋人だと………!?」
___無理かも!!!!
私はそう確信する。だってうちのばあちゃんじいちゃんだけでなくアドラオテル様の祖父母様出てきてるもん!つーか!アドラオテル様の祖父母ってことは前皇帝!?特徴的な紅銀の髪と紅い瞳の美丈夫!ラフェエル前皇帝じゃん何してるの!?
頭が混乱する。私は慌てて口を開いた。
「友達なんて大それた__「やーねー、この子照れてるのよ~、一年前まで男の子どころか友達いなかったから!」ひいっ!」
「チェルとはクラスメイトなの?もう働いてて偉いわねえ。サクリファイスの皇子でしょ?いいの?」
「うん、でも楽しそうだから執務の合間を見てやってる」
「楽しい?」
「うん、すげー楽しい」
「ねえねえ!貴方なんて名前!?」
「と、トラファルド・T・エード・レイチェルです……」
「サシャの子ってことは人外よね!貴方は何ができるの!?」
「あ、えと、………」
いやぁぁぁぁぁァァ出たぁぁぁぁぁおばちゃん特有の無遠慮マシンガントーク!!!私が被爆するのはいいけど!アドラオテル様を巻き込まないでえええええええええええ!!!!
こ、このまま喋らせたら迷惑だ………!
そう思うのと同時に、クラウド大おじいちゃんが口を開いた。
「サシャ。そろそろ注文しないと迷惑だろう」
ナイスアシスト!帰ったら肩をもんであげよう!
「チェルはシーフード大盛りだよな」
「ヒュッ」
「シーフード大盛り~!」
「ち、違うんです!!!!」
思わず大きな声が出た。大盛り、恥ずかしい!!!!アドラオテル様の前で大盛りなんて食べられない!!!
私はメニューを手に取ってすぐ様違うメニューを指さした。
「あの、それ注文ミスで……本来はこっちのヘルシーベジタブルのミニサイズをですね………!」
「ヘルシーベジタブル~」
「あら何言ってるのチェル。あんたお好み焼きはシーフードの大盛りじゃない。イケメンの前だからって無理しないの。メニュー変更なしで大丈夫よ!」
大おばあちゃんんんんんんん!!!!
心の中でそう突っ込んでまたまた大声を出した。
「いやもう本当に!ヘルシーベジタブルでお願いします!」
「……ははっ、わかったよ」
アドラオテル様はくつくつ、喉を鳴らして笑った。わ、笑われた………呆れられたかこれは………滑稽すぎる………!
「んじゃ、今持ってくるから待っててね~」
アドラオテル様はそう言って席を立った。キッチンの方から「アド!彼女!?彼女なの!?」という声が聞こえてくる。あっちも大変そうだ………人のこと言えないけど。
「チェル!男友達は早いんじゃないか!?」
「チェル!やるじゃない!イケメン皇子を口説くなんて!」
「…………」
私は言葉を失う。大おばあちゃんと大おじいちゃんが前のめりになってる。恥ずかしい。コホン、と咳をしてから説明する。
「ち、違………あ、アドラオテル様はただのクラスメイトで………」
「その割には親しげじゃない?」
「アドラオテル様が気さくなだ______」
そこまで言って、また言葉を失った。何故なら………隣に、アドラオテル様の従者のヨウ様が居たから。
お、落ち着け!落ち着くんだ!いくら席が近いとはいえ!私はモブ!大人しくしていれば気づくはずは___「おや、レイチェル様ではないですか」___速攻でバレた!!!!




