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4  第十四臨補の任務

ウウィ--ン…

『オーライ!オーライ!にゃ。』


 貨物を指定の場所に、慎重に降ろす。


……ガ、コン。

『よーし、OKにゃ!

 それにしても、上手いものだにゃ。』


「ふふんっ♪

 このくらい、慣れたものにゃ。」


無線から聞こえた言葉に、少し得意に返す。


『今回の資材はそれで最後ですかにゃ?』


「これで最後になりますにゃ。」

 


『了解しましたにゃ。

 お疲れさまでしたにゃ。

 クラフト1アウトにゃ。』


「お疲れさまでしたにゃ。」


『プツン…』

 

 無線が切られる。




 着任から早いものでもう3ヶ月も経った。

 この3ヶ月の間に行った臨補としての仕事は、ついさっき完了したような細かな開発拠点の設営資材の輸送。

 大型艦を動かすまでもない少量の定期補給。

 急ぎの物資輸送等、予想していたより遥かに多くの任務をこなしてきた。


「ふぅ…。このオペレータースーツももう少し締め付

 けがどうにかならんものかにゃ…。」


 ヘルメットを外しながらぼやく。


「ピコちゃん、お疲れ様にゃ。

 スポドリもってきたにゃ。」


 ミーコから飲み物を受け取り、作業員休憩室へと向かう。


「いつもありがとにゃ。

 ミーコも忙しいんじゃないかにゃ?」


 ミーコはピコの体にいくつかの機器を取り付けながら答える。


「そうだにゃ。

 船医というより、基地付きの衛生官っぽいにゃ。」


 苦笑し、話し続ける。


「でも、所属は十四臨補だから、ピコちゃんは最優先

 にゃ♪」


 花の咲いたような笑顔を向けられ少したじろぐ。

 3ヶ月前の「再会泥酔事件」からミーコのピコに対する好感が上がっているような気がする。

 先程の言葉しかり、呼び捨ての要求しかり。

 あの時は迷惑しかかけていなかった気しかしないがどういうわけだろう?


「にゃはは~♪

 それはとっても安心にゃ。」


 嫌われるよりは比べるまでもなく、良い事だ。

 実際ここには勿体無いレベルに腕が良い。

 だからこそ、基地の衛生官の仕事もこなせてしまうのだが…。


『ピピッ ピピッ』


「バイタルチェック…。

 オールグリーン。

 異常なしにゃ!

 今日のお仕事終了にゃ!」


 ミーコのいう通り今回の任務は終了し、後は基地に帰還するだけである。


「ところで、このチェックホントにいるにゃ?」


 何となく気になって聞く。


「あ~…。

 オペスーの締め付けで血圧上がって脱いだとたん

 倒れる人員が多いとかで、対策に必要らしいんだ

 にゃ…。」


 うん。スーツどうにかしよう!?










~5日後 基地内 ミーティングルーム~


「ーーーーーーというわけで、第108領域警備隊に臨

 時補給・補修を行うことになる。

 各員、準備を怠らないように。

 では、解散!」


 各々準備の為に慌ただしく退室して行く。

 配属から初の艦隊補給・補修任務である。


「今回の任務は少し危険そうにゃ。

 医療品も余分にもって行かないとにゃ。」


 ミーコが不安気に言う。


「一応、

 護衛が3機つくらしいから、

 大丈夫だと思うにゃ。」


 そう。

 今回の任務は領域の警備巡回を行っていた艦が所属不明の艦隊に遭遇、戦闘となり破損した武器、装甲、消耗した弾薬等の補給要請から発生した。

 所属不明の艦隊は第六宙域で活動していたスカベンジャー、要は盗賊と断定されている。

 このことから、自衛用のオートバルカンでは対処不可能と判断され、護衛機がつくこととなった。


「一応、射撃シミュレーションしておくにゃ。

 バルカンをマニュアル操作することになるかもしれ

 ないからにゃ」







~ビルフィッシュ 艦内~


「補給物資の最終チェック完了しましたにゃ!」


 ブリッジでフリッター艦長に報告する。


「了解した。

 では予定通り2時間後に出航する。

 それまで待機だ。」


「了解しましたにゃ!」


『ブーー  

 各員に告ぐ。

 本艦は予定通り二時間後に任務の開始とする。

 乗員は速やかに搭乗するように。

 繰り返す。

 各員に告ぐ。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

 ーーーーーーーーーーーーーー。』


 艦内放送を聞きながら食堂に入るとミーコがパイロットスーツを着た3人に囲まれていた。


「やめてください。

 困ります。」


「ちょっとだけだって。

 この任務の後一緒に飲みに行こうって。」


「俺たち、いい店知ってるんだぜ?」


 どうやら、今回の任務の護衛機のパイロットがミーコをナンパしているらしい。

 ミーコが困っているので助けに入る。


「ちょっといいかにゃ?

 うちの船医に用があるんだけどにゃ?」


 半分ホントの、半分ウソである。

 ミーコに用があるのである。


「あん?

 何だおm……。」


「おっほ!

 キミもかわいいねぇ!」


「君も任務が終わったら飲みに行こうよ!」


 どうやら自分も巻き込むつもりらしい。

 ミーコが申し訳なさそうにこちらを見る。


「さっきの放送聞こえてたかにゃ?

 自分の機体に戻って乗り込んだ方がいいんじゃない

 かにゃ?」


 遠巻きに「任務違反するきか?」と問う。


「おっと。

 まずいまずい。」


「それじゃ、ちゃんと守るから。

 ごほうび期待してるよ。」


「チッ。

 しゃあねぇ、行くか。」


 三者三様に退散して行く。


「ピコちゃん、助かったにゃ。」


「ううん。

 気にしないでにゃ。」


 色々と不安を感じる任務が始まろうとしていた。


 

読んでいただきありがとうございます

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