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9  それでも


『任務完了です。

 お疲れ様でした。』


「全機、RTBにゃ。」


『『『了解。』』』


 …………………。


 …………。


 …。



 あの事故から数日。

 我ら試用特務は1名の欠員が有りながら、粛々と任務を行っていた。

 隊に欠員が出るのは前線では当たり前の事。

 前線に含まれるこの基地に属する試用特務隊だけ活動を休止するわけにはいかない。


「隊長、いつもお疲れ様だねぇ?」


 ミケコ姐さんが話しかけて来る。


「副長もにゃ。

 …いや、皆もにゃ。」


 欠員が出た事により、任務中はこれまでより更に緊張感漂うものとなっている。

 互いに気を張り過ぎているのだ。

 

「特にトーマス隊員がしんどそうにゃ…。」


 ディックと仲の良く、ピコを含む機動組としても、ランナー機の抜けた穴をフォローしようと必死になっているように見受けられる。


「こればっかりはねぇ…。

 カウンセラーに任せるしかないだろう?」


「そうにゃ。」


 欠員が頻繁な前線とは言え、やはり顔見知りが突然居なくなる事に耐えられる者は全員ではない。

 特に新兵が心的外傷(トラウマ)を負うケースが多い。

 その為、前線の基地には専門のカウンセラーが常駐している。

 (勿論、カウンセラーも兵士である)


「フローレンス准尉。

 ランナー機の事故原因が判明しました。

 みなをミーティングルームに集めて下さい。」


 バリキリー曹長から要請だ。


「わかったにゃ。」


 ………………………。


 ………………。


 ………。


「では、この度のランナー機暴走分解事故について

 解析の結果から原因として高い可能性がある要因

 の説明を行います。

 まず、事故の起きた経緯の確認から………………」


 説明の内容を要約するとこうだ。

 ・ディック隊員の要望を受け、ランナー機にブース

  ターを追加

 ・実動前のシミュレートでは機体耐久値に問題は無

  し

 ・実験開始

 ・機体の速度がキャトラス軍主力戦闘機の最高速度

  の1.6倍に達する

 ・その時点で機体ハードラックとブースター接続部

  に過負荷が発生

 ・過負荷により回路が破損

 ・ブースターが制御不能になる

 ・更に接続部の破損は進行し、機体バランスが大き

  く乱れる

 ・バランスの乱れにより、機体耐久値を越える負荷

  が発生

 ・機体が空中分解を起こした

 …事故の発生状況としては以上だ。

 そして、事故が発生した要因として、

 ・ハードラックの接続部の強度不足

 ・ブースターが戦闘機の使用想定で設計されていた

  事

 ・ポッドが高速移動を想定して設計されていなかっ

  た事

 ・ブースターに安全装置が組込まれていなかった事

 以上の4点が解析の結果、挙げられた。

 いずれの要因にしても作業用機を戦闘機のパーツを利用して改造・運用したことが起因している。

 さらに事故まで、実動実験結果が安全基準をクリアし、配備後、設計に起因する機体トラブルが発生していなかった事も今回の不幸な点だ。

 結果として、高速仕様機はブースター2基以上の搭載は禁止として処理される事となった。

 加えて、専用のパーツ等含む戦闘用ポッド開発が急がれる事にも繋がった。


 …………………。


 …………。


 …。


 説明会を解散後、トーマス隊員と共にある部屋へと足を運ぶ。


トントントン


「入るにゃ。」


 扉をノックし声をかけ、トーマス隊員と入室する。

 清潔に保たれた部屋にはベッドが一つ。

 そこにいる者に用があった。


「これは隊長。

 こんな格好で失礼しますっす!」


 左足に包帯を巻き、右腕を吊った若い雄が元気そうに話す。


 (調子は良さそうだにゃ。)


「トーマスもわざわざありがとうっす!」


「元気そうで安心したよ…。」


 彼こそ我が隊のスピード狂。

 ディック・ランナーである。

 怪我こそ負ったものの、事故の翌日には目を覚まし、現在療養中の身である。


「事故のことは聞いたかにゃ?」


「大体はっす。」


「なら、詳しい話は…。

 トーマス、頼んだにゃ。」


「はいっ。

 えっと…。

 まずは、………………………」


 先ほどの話をディックに話すトーマスを置いて退室する。

 上官が居ては気を使わせてしまう。

 積もる話もあるだろう。

 その場からそっと立ち去った。











~ドギヘルス軍 ボルト視点~


「こんな機体が新型!?

 そんな話は聞いていないっ!」


 新設された部隊の隊長に食ってかかる。

 新型として隊に配備された戦闘機は性能は確かに高いがパイロットへの配慮が欠けた機体だった。

 つい先日の任務でも、

 その凄まじいGに、戦闘中に気を失いそのまま機体がデブリに衝突、死亡する。

 という事故が起きた。


(軍では戦死で処理されている。

 つまり、事故は隠蔽された。)


「己の未熟を機体のせいにするな。

 …嫌なら尻尾を巻いて元の部隊に戻るといい。」


 そう冷淡に返す隊長に、殴りたくなる衝動に駆られる。


(「お前に託した。」)


「っ!

 …。」


 しかし、先輩の言葉が過り、きつく拳を握り込む事しか出来なかった。


「失礼します…。」



 ………。


 …。



 その次の任務では、キャトラス軍を恨むパイロット


(兄が戦死したと語っていた…。)


 が、撤退の命令を無視して撃墜された。

 自身もハウリング隊の時の隊長の敵を討つため志願した。


(自分の末路を見せられたみたいだ…。)


 少し揺らいだが、もう先に進むしかない。

 敵はわかっている。


「化け鯨。

 お前たちは必ず…!」





 

 


生きとったんかワレェ!

デ「オレは死にましぇ~んっす!」



ボルト君とスノウ君W主人公やらない?

ボ&ス「…。(考え中)」



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