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3  着任からのサプライズ



「ピコ・フローレンス、本日着任しましたにゃ!」

  

 卒業から3日後の今日、ピコは下士官となり第七宙域調査・開発基地本部へと訪れていた。


「ようこそ、フローレンス伍長。

 第七開発基地へ。

 私が貴官の配属される第十四臨補の最高長官兼、輸

 送艦ビルフィッシュの艦長のジョージ・フリッター

 中尉だ。」


 まさかの最高長官自らの出迎えに少々面食らう。


「最高長官殿自ら出迎えいただきありがとうございま

 すにゃ!」


「ははっ、そう固くならなくて良い。

 これからは同じ艦に乗る戦友だ。

 顔合わせは大事だ。

 まあ、この後は貴官の直属の上司についてもらう事

 になる。」


 コンコン  コンコン


 4回のノックの後、若い雄の声が入室の許可を求めてきた。


「マックス・ザトー、参りました!」


 入室して来たのは、真面目そうな黒ケットシーだ。

 そのゴールドの瞳がピコをとらえる。


「ザトー曹長、よく来てくれた。

 彼女は本日付けで我が隊に着任したフローレンス伍

 長だ。

 フローレンス伍長、彼が君の直属の上司になる。

 ザトー曹長だ。

 この後から彼に、詳しく説明を受けてもらう。

 ザトー曹長頼んだぞ。

 以上だ。」


 ザトー曹長に続いてミーティングルームから退室する。

 彼が詳しい説明をしてくれるらしいが、何処に向かっているのだろう?


~移動中~


 数分歩き、到着したのは整備ドックだった。

 目の前には青い船体に白のラインが入った輸送艦が鎮座していた。

 おそらくこの艦が、


「この艦が第十四臨補の家兼職場の、高速輸送艦『ビ

 ルフィッシュ』にゃ。

 ピコ伍長はこの艦のスペースポッドのオペレーター

 を勤めて貰うにゃ。」


 スペースポッドとは、球形の頑丈なボディに二本の作業アーム、四本の接地脚のついた一人乗りの作業用機械だ。


「ビルフィッシュにはポッドが全部で6機搭載され

 てるにゃ。

 伍長にはこのポッド部隊の作業指揮を行ってもら

 うにゃ。

 と、言っても作業前のミーティングで事足りるか

 ら、精々、大物作業位しか現場指揮する事は無い

 にゃ。」


 いきなり、「指揮を取れ」と言われ驚いたピコだったが、実態を聞き、それならば何とかこなせそうだと、かいてもいない冷や汗を拭った。


「それじゃ、次はチームメンバーと顔合わせにゃ。

 ビルフィッシュのミーティングルームに集まって

 いるはずだから今から向かうにゃ。」


 

 ミーティングルームにつくと、そこには8人の雄雌がいた。


(何か少し多くないかにゃ?あっ!あの娘はっ!)


「よし、皆集まっているにゃ。今日ここに集まっても

 らったのは新しいメンバーの紹介の為にゃ。

 ポッド隊の現場指揮を取ってもらうフローレンス伍

 長にゃ。」


「……。

 (ハッ!)本日付けで着任したピコ・フローレンス

 にゃ。

 よろしくたのみますにゃ。」


 それから、8人の紹介があった。

 ピコの直属の部下にあたるオペレーター5人は雄4人、雌1人であり、それまで唯一の雌であったミケコ一等兵には熱烈に歓迎された。

 残る3人、少し年を召した雄と若い雄は整備班、そして、ピコと同じ年頃の雌ケットシーは、


「船医のミーコ・マスハッター伍長ですにゃ。

 久しぶりだにゃ。ピコちゃん。」


 そう言って柔らかな笑顔を向ける、三年前に出会い、すぐに別れることになった親友だった。

 





~業務終了時間後 基地内食堂にて~


「いや~、それにしてもびっくりしたにゃ。

 まさかここで、しかも同じ職場でミーコちゃんに

 会えるとは思っていなかったにゃ~。 

 あ、改めて三年間手紙ありがとにゃ。

 おかげで無事卒業できたにゃ。」


「ふふっ♪

 相変わらずピコちゃんは元気だにゃ。

 手紙でここに配属されたって知ってわたしもびっ

 くりして、何度手紙を読み返した事かにゃ。」


(手紙を読んで、転属願を出したのは秘密にしないと。

 ここが不人気の任地で良かったかも♪)


「それじゃ、再会を祝して今日はマタタビールで

 乾杯にゃ~♪」


「船医としても、親友としても飲み過ぎには注意

 するにゃ。」


「それじゃ~、『かんぱ~いにゃ♪』」











~基地内食堂 深夜~


「にゃぁ~……。

 もう飲めないにゃぁ~…。

 世界がまーわるーにゃ~♪

 にゃは、にゃははは~♪」


「ふぅ、にゃ…。

 ピコちゃんザルだったにゃ…。

 もう深夜だし寝ないとにゃ~…。

 ピコちゃんは…1人で戻れなさそうにゃ~…

 ……………。

 にゃはっ♪」














 翌朝ピコはミーコの部屋で目を覚まし大いに混乱。二日酔いも相まって非常に混沌とした状態になったそうな。







~ある二等兵の話~


 俺は夜中に便所に起きたんだが、雌の怪しい笑い声が聞こえてきたんだ。

 気になっちまって声のする方を角から覗いて見たんだ。

 するとそこには、ぐったりと動かない人影をかかえた何者かが歩いていたんだ。

 夜衛に報告しようか迷っていると、いつの間にかその雌がこっちを見ていたんだ。

 俺にははっきり聞こえたね、

「報告したらコ・ロ・ス」

 って。

 

 


 

 

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