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25 求めた未来を

最終話となります。

 単純に考えれば理解できる(分かる)ことであった。

 戦争はスポーツでは無い。

 先ほどまで殺し合いをしていて、決着がついたから即和解とはならない。

 互いに所持している銃が怖いのだ。

 ならば恐怖を取り除けば一旦冷静になれる筈。


ヒュインッ…


『!?、武器がっ!』


 向かって来ていた敵機を撃墜し、逃げ惑うドギヘルス軍機に照準を合わせようとしていたキャトラス軍機のパルスガンを斬り離す。


『なんだっ!?』


『何処からだ!?』


『今はいい、チャンスだ!』


 だがその行為(武装の解除)はどちらかに偏ってはならない。

 

ヒュヒュイッ…


『ウソだろ!?』


『味方じゃないのか!?』


 逃げの姿勢から一転したドギヘルス軍機のマシンガンも同様に。


ヒュイィンッ…


 それを成した銀の羽根は消失することなく、むしろ増殖し飛び交う範囲を拡げて行く。


『なんだコレは!?』


『どっちの秘密兵器だ!?』


『どちらでも無い、あれを見ろ。』


『……っ!?』


 いつしか羽根の舞う範囲は戦域を包み、後に公開された写真では、まるで宇宙に巨大な銀の翼が現れたかのようであった。


『『『『『……………。』』』』』


 戦う術を失い理外の現象に遭遇したことで、両軍間の戦闘行為はほぼ停止していた。


『こけ脅しだっ!』


『武器が無くたって!』


 そんな状況においてすら戦闘を止めようとしない一部には仕方ない。

 武器の破壊は粗方済んだので次の段階に移る。


スッ


『あ、…?』


『ぐぅ……』


 そう認識したと同時に挙動の変化した銀羽根が、不穏の芽を摘む。

 多少強引ではあるが、こうでもしないと終わるものも終わらないのだ。


『おい、どうした?

 ……応答しろ、おい!』


 銀羽根がコックピットを通過して沈黙した機体は誰が呼び掛けようが、この場で再び動き出すことはない。


(あれは…)


 戦域全体を認識していると、「ゲート」の要塞砲建設現場付近に墜落した艦の残骸に意識が向く。


ヒュヒュッ…


 特に意図したわけでも無しに、銀羽根はその残骸のとある部分を刻んだ。


ガラッ…


((「……伍長、無事っすか?」))

 

((「はい。

   でもコレは隊長の…?」))


 刻まれた残骸を押し退けて出てきたのは、機獣(マルコシアス)よりも細身のシルエットの三体目の獣。

 何故か把握出来た会話によると、あの機獣の主はディックのようだ。


(「成る程、「ランナー(走る者)」にゃ。」)


 おそらく妖精猫族が反旗を翻す以前に滅亡したとされる支配種族、その体躯とディックの体質から閃猫((チーター))族の末裔。


 ……zzz……んにゅ?zz……………。


 …………………………………。


 …………………。


 ……。


 そんな古代血統の判明ということがありながらも、銀翼に包まれた戦場はいつしか静まりかえっていた。


『ザザッ…。』


 広域チャンネルによる無線が入る。


『ドギヘルス臨時政府代表、シズカ・ウルフェン・シ

 バーズです。

 我々は搾取を是とし、民を虐げるガウルフ王家打倒

 を大義として蜂起しました。

 多くの協力により、我々は義を成すことが出来まし

 た。

 旧ガウルフ王家の作戦命令下にあるドギヘルス軍に

 告ぎます。

 我々ドギヘルス臨時政府はキャトラスとの融和を次

 なる目標とします。

 旧ドギヘルス軍の命令は失効しています。

 我々臨時政府があなた方に望むのは、あなた方が無

 事に帰還することです。

 そのために自主的な武装解除を求めます。

 キャトラス軍の皆さま方。

 いきなりのことで戸惑いがあるかも知れません。

 どうか彼らの投降を受け入れていただけないでしょ

 うか?

 我々(臨時政府)に戦争継続の意識はありまん。

 この放送を聞く全ての方。

 ドギヘルス臨時政府下における全ては、キャトラス

 政府との講和を求めます。

 我々、ドギヘルス臨時政府はこのたびの戦争におい

 て、無条件での降伏を宣言致します。』


















「キャトラス宇宙暦3023年8月15日。

 旧ガウルフ王家を下したドギヘルス臨時政府により

 降伏宣言。

 これを受領したキャトラス政府に代わりタシロ前将

 軍が終戦を宣言。

 以降軍としての戦闘行為は完全に停止される。

 その後、同年9月。

 キャトラス政府代表を乗せた高速シャトルがドギヘ

 ルス首都の宇宙港に到着。

 2日にドギヘルス降伏の調印が行われ、正式な終戦

 となった。」


『キンコーン♪』


 男性教師の話が纏まったタイミングで終業のチャイムが鳴る。


「よし、丁度良かった。

 このままホームルームに移るぞ。」


 このクラスの担任でもある男性教師は読み上げていた歴史の教科書を閉じ、教卓から紙束を取り出した。


「お前達も来年は最終学年だ。

 そこで恒例の進路希望調査を行う。

 来週末までの提出だ。

 面談もするから忘れないように。」


 それからいつものようにホームルームは進行され終了する。


『キンコーン♪』


「今日も終わりだな。

 お前達、気をつけて帰れよ。」


 男性教師の言葉に教室から退出する者、友達と遊びの相談を始める者。

 各々が放課後を過ごし始めた教室の一角。


「ト~ラちゃんっ♪

 トラちゃんは進路決めてる?」


 茶と黒の耳と尻尾のケットシーの少女に、少女のクラスメイトの懐っこい性格のクーシーの少女が訪ねる。


「虎じゃないにゃ!

 …わたしは探索者になるにゃ。」


 定番となったやり取りを行いながらも質問に答えるケットシーの少女。

 彼女らだけで無く、多様な種族が混ざり合い過ごす光景。

 それは遥か昔に二人の少女が求め、数十年前に二柱の神と一人の英雄と呼ばれるパイロットが成したことの結果であった。

ということで本編完結となりました!


深夜テンションで見切り発進した本作品ですが、当初の予測以上の長さになりました。


また、思ったより多くのPVやブクマをいただき、おかげ様で完結まで書き切ることが出来ました。


とは言え、まだ回収していない伏線やエピソードがあったりするので執筆自体は継続です。


構想としては最後に出てきた“探索者”についての作品と、本作のアフターエピソードを纏めた作品を考えております。


また本作登場キャラクターの過去話もあったりしますが、流石にやることが多くなるので無しの予定で。

(リクエストがあれば検討かも…。)


是非次作も読んでいただけたら嬉しいです。


by FURU


最後にテンプレートを。


最終話まで読んでいただきありがとうございます。


ブックマーク、☆評価、いいね等、

よろしくお願いします。


感想、レビュー等もお待ちしています!


他作品も宜しくお願いします。

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