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7  なし崩しで始まるDAY2

主人公不在


~要塞「ゲート」周辺宙域~


『そろそろ勇者隊が帰ってくるらしいぜ?』


 昨日の立て直しもそこそこに「ゲートキーパー」周辺に滞留するキャトラス軍に奇襲を仕掛けた航空機部隊。

 否定的な意見を押しやり決行されたこの作戦は、


[襲撃成功、敵軍本隊に損害を与えた。]


 との報告により評価が一転。

 作戦に参加した航空機部隊は纏めて「勇者隊」として讃えられ始めた。

 明るく言う徴用組の彼も手のひらを返したくちだ。


『喜ぶのは早いんじゃないかなぁ。』


『こういうのは素直に喜んだ方が良いぜ?』


 反応の悪い青年に、「ま、その内分かるさ。」と青年より二歳年上なだけの彼は言った。


『敵軍の艦隊を感知、総員戦闘配置につけ!』


(ああ、やっぱり…。)


 指令本部からの全体通信に、青年は内心で頭を抱え自機のF C S(火器管制装置)を作動させた。

















~第6駆逐艦大隊~


「友軍はついて来ているか?」


 一辺が6隻の菱形密集陣形を組む第6駆逐艦大隊の指揮官はレーダーの観測官に問う。


「第5と第7が我々に並走、その他駆逐艦大隊も追従しています。」


「そうか、分かった。」


 独断で追撃を敢行した指揮官は、己の判断が間違いではないことを確認した。

 防衛側であるドギヘルス軍による急襲。

 事前に察知できたことで被害は少なかったようであるが後手に回ったことは変わらず、ドギヘルス側はこれを勝利として士気を上げようとするだろう。

 戦力に大きく差がある以上、それ以外の要素が重要だ。

 先日の大勝で下げた士気を上げさせないようにするには、急襲してきた航空部隊を壊滅させるのも手段である。

 そうで無くとも即時に追撃を行うことで勝敗を濁すだけでも効果はあるのだ。

 第6駆大隊指揮官と同様の判断を行った他二大隊の3つの楔は、こうしている間にも敵航空機を撃墜していく。


「敵航空機部隊、5割を撃滅。」


(頃合いだな。)


 敵の半数を撃破したとあれば十分な成果だと言える。


「第5と第7駆逐大隊指揮艦に通信、」


 共同したわけではないが、ここで連絡無しに第6が離脱するわけにも行かず、それぞれの指揮官に連絡を入れさせる第6駆逐艦大隊指揮官。

 しかし繋げた通信は、その意図に反する内容となった。


「新たに敵部隊を探知。

 「ゲート」からの増援のようです!」


「こちら第6駆逐艦大隊指揮官。

 我々第6駆逐艦大隊は戦闘を継続する。

 付近の部隊は共闘願う。」


『こちら第5駆逐艦大隊。

 第6駆逐艦大隊、我々も戦おう。』


『こちら第7駆逐艦大隊。

 同じく。』


 キャトラス宇宙暦3023年8月12日。

 ドギヘルス要塞「ゲート」攻略の二日目。

 この日の開戦の火蓋は初戦と異なり、約100隻の駆逐艦部隊の襲来という緩やかなものとなった。

 

 
















~要塞「ゲート」攻防戦~


ドゴオォッ


 砲火を受け、ダメージの許容を超えたキャトラス軍の駆逐艦が大爆発を起こす。


オォォ…


 爆発により幾つかに解れた駆逐艦だったものは、搭乗していた兵士達の無念を抱き燃え続ける。


『よし次だ。

 我らの実力を見せつけてやれ!』


『おお!』


『所詮はこんなものか。』


 キャトラス軍駆逐艦の撃沈を確認したドギヘルス軍の駆逐艦小隊は、次の標的を求め再び移動を開始する。

 11日の戦いで甚大な被害を被ったドギヘルス軍だが、本国より宇宙に上がってきた補充により兵力を回復していた。

 元々の兵力差が三倍である上に、キャトラス軍にも損耗は発生している。

 そのため場所によっては、キャトラス軍艦一隻に対し、ドギヘルス軍は艦一個小隊であたることが可能となっていた。

 またキャトラス軍は未明の急襲から攻防戦に移行したこともあり、各部隊の連携がうまく取れていないことも被害の拡大に拍車を掛けていた。


ドオォッ


 しかし戦闘はドギヘルス側が優位という訳でも無かった。


『三番艦大破、乗員の脱出が開始されました。』


『四番艦は脱出した乗員の収容にあたれ!

 二番艦は敵艦に制圧射撃、当艦が四番艦の盾にな

 る。』


 ある艦小隊の一隻が攻撃を受け機能を停止する。

 脱出艇を収容するためにもう一隻が攻撃の手を緩め、その隙のカバーに障壁持ちである指揮艦が前に出る。


ズガンッ!


『なんっ!?』


『一番艦が!』


 戦艦の主砲すら防いだという障壁を貫き、キャトラス側から放たれた攻撃が指揮艦のブリッジを破壊する。


『調子に乗るなよ犬頭。』


ガチャン


 パイルランチャー装備(キット)のポッドのパイロットはそう言い捨て、


バシュンッ!


 装填の完了した次弾を放つ。


ズガガッ!


 音速近い速度で放たれた(パイル)は二番艦の船首からエンジン区画(ブロック)まで貫通。


ドッ、ドオッ


 破壊されたエンジンの爆発は更なる爆発を誘発し、二番艦は乗員の脱出の時間さえ無く轟沈した。


『収容作業中止、離脱するぞ!』


 残された三番艦は脱出した兵員のほとんどを回収すること無く戦闘から離脱した。

















~キャトラス軍バレット隊~


 また別の戦場。

 とあるキャトラスの部隊が敵中で孤立していた。


タタタタタッ!


『畜生!

 右も左も敵ばっかりだ!』 


 ポッドに備え付けられたパルスガンが休み無く稼働する。


ゴォッ、ゴオォォ…


『しまった、(母艦)にっ!』


 部隊の網を抜けたドギヘルス軍機が駆逐艦に迫る。


ヴンッ


『いつの間に!?』


 しかしそのドギヘルス軍ポッドの正面に、レーザーブレードを構えたキャトラス軍機が立ち塞がる。


ズバァッ!


 態々付け替えられた近接戦用武器を振るい、キャトラス軍機はドギヘルス軍ポッドを両断した。


『助かった、流石はチェンバー隊長だ。』


 



まさかの再登場!?

(112部 24話がフラグだったり?)


いつも読んでいただきありがとうございます。


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