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13 仕込みが9割

視点がバラけます

~ドギヘルス貴族私兵艦隊~


 ドギヘルスの最終要塞「ゲート」。

 その一つ前の大規模拠点付近。

 王家の勅命を受けた各貴族家はそれぞれ、私兵団艦隊を展開していた。


「伯爵様、ご報告が…。」


 とある私兵艦隊旗艦にて、自ら己の艦隊指揮を執る伯爵階級の貴族家当主に副艦長が報告する。


「ほう…。

 キャトラスも一枚岩ではないということか。」


 副艦長から伯爵にもたらされた報告は、王家の勅命で最優先標的とされているキャトラス軍の精鋭部隊の位置情報が漏出(リーク)されたということであった。

 

「ブルック子爵とチーワ男爵に連絡を入れろ。

 「手柄を分けてやる」とな。」


 伯爵は展開している艦隊の同派閥の当主との連携を打診(というには強制力が強いが…)する。


(侯爵以上の奴らは馬鹿だ。)


 伯爵がそう思うように、侯爵以上の貴族家私兵艦隊は他家との連携など必要ないという態度であった。


(王家が態々「最優先」というのだ。

 手柄が分かれたところで多少の違いにしかならん。)


 伯爵は分かれた手柄を子爵らからどれ程毟り取るかの皮算用を始めていた。

















~マルコシアス隊~


 迎撃地点に定めた漂流物(デブリ)帯近くの宙域。


『ピンッ!』


 中間地点通過の報告から一時間足らずでレーダーが反応を示した。


「レーダーに敵艦反応、駆逐艦級。

 およそ二時から三時方向の中間。

 数は1です。」


 ビルフィッシュ時代から分析官を務める中尉が、薄青の試作パイロットスーツを着用し艦長席に座るタマに報告する。

 現在「アンカーヘッド」は前進しつつデブリ帯に寄って行っている。


「敵艦反応をマーク。

 レーダーフィルターを解除にゃ。」


 宇宙に数多存在する漂流物(デブリ)

 レーダー上で邪魔になるそれらを除外する機能が解除されると、レーダーには多数の光点が一斉に表示される。


「………。

 リニアキャノンを右方向に50°旋回。

 仰角18°に上げ。

 出力は75%にゃ。」


 タマはしばしレーダーを見つめ、ミケコに指示を出す。


「…了解。

 ………。

 装填完了、いつでも撃てるよ。」


 ミケコは一瞬聞き間違いかと思ったものの、返事が遅れただけで手は指示通りの操作を行っていた。

 弾の装填に伴いガンカメラが作動。

 しかし艦砲射撃モニターには、当然敵艦は見当たらない。

 艦の習熟訓練では、タマの突然の「発砲」の指示にどれ程振り回されたことか…。


「……………、()っ!」


バシュンッ!


 タマの合図と同時、リニアキャノンからミサイルの弾頭のような金属塊が射出された。



















~ドギヘルス某侯爵家私兵団所属駆逐艦~


(ついて無い…。)


 栄えある侯爵家の私兵団に入隊し、昨年やっと自らの(しろ)を得た駆逐艦長は思う。

 強制徴用されまともに訓練を受けずに前線に送られる正規兵を憐れんでいたのが悪かったのか?

 艦長としては下端の彼の艦は広域警戒のため、単艦でほぼ休みなく活動していた。

 

(さて、どう生き残るべきか…。)


 航行距離を延ばすため、船倉(ハンガー)に艦載機は無い。

(代わりに燃料と弾薬、糧食が満載されている)

 そのため侵攻してくるキャトラス軍艦に遭遇すれば無事ではいられない。

 だというのに上は敵艦がいるであろう場所に向かえと命令する。

 ただ「最も近いから」というだけで。

 

(無理だよなぁ…。)


 加えてその敵艦はかの「青鮫」だという。

 遭遇すれば大隊を擁していても“喰われる”のだ。

 

(いっそ寝返るか?)


 自分たちを犠牲に、侯爵や私兵団の他の奴らは褒賞を得る。

 そんな理不尽など誰だって受け入れ難い。


(…ノーサイドで用心棒でもしよう。)


 一番いいのは勝ち馬に便乗することだが、現実的にはそれが一番しっくりくる。


「なあ、相談なんだが…」


 クルーの意見を聞く前に副艦長に相談する彼はドギヘルスでは良心的な上官なのであろう。

 ただ彼らには運が無かっただけなのだ。


「飛翔物接近!」


ドッ!


 悪魔を仕留めるべく生け贄に差し出されたその艦は、役目を果たすどころか敵と合間見えること無く艦橋(ブリッジ)を吹き飛ばされたのであった。
















~マルコシアス隊 ピコ視点~


『こちら2班、準備完了だ。』


 ガイウスから仕込みが終わったとの連絡を受ける。

 現在「アンカーヘッド」の格納庫(ハンガー)内には対軍装備のキマイラが4機。

 編成は少し変わり、ピコ、シン、ディック、メグの4名が待機している。

 2班は既に出撃しており、迎撃予定地点でデブリに擬態している。(擬態といっても金属性デブリに張り付いているだけだが)

 作戦としては、最初は1班を含む本隊が敵を迎撃。

 ある程度集まったら逃走を装いデブリ帯に誘導。

 待ち伏せる2班に後方から攻撃を加えさせ、混乱をきたしたところに本隊が反転(つまり挟撃)する。

 というのが大体の方針だろうか。

 続いて装備。

 待ち伏せをする2班は全体的に射撃寄りになっている。

 というのも、ドギヘルス側に把握されているマルコシアス隊の艦載戦力は最大で5機。

 態々正確な戦力を晒す利点は無いため、弾道の見えやすい連射系の火器やミサイルを除外する徹底ぶりだ。

 対する1班の装備はブースターにミサイル、ビッグネイルガン等の何でもありな装備となっている。

 しかし選択の意図としては、出てくるであろうバリアを搭載した敵艦対策が大きい。

 艦載機は携行武器で相手することになるため、ピコは斬艦ブレード、シン、メグはパルスAR、ディックは超硬突撃槍を装備している。





は?

 

 

 

 


 

 






 

久々のタマの勘撃ちでした。

何か知らん武器の説明は次回に。


いつも読んでいただきありがとうございます。


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よろしくお願いします。


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