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8  ファイナルラウンド Destroy

ピコ、ぶちギレる


皆さん的な処刑bgmは何ですか?

作者的にはGN合唱団ですかね。


チカ…チカ…チカ…


 コックピットのモニターに機獣の全体図が表示され、ダメージを受けた箇所が赤く点滅している。

 点滅しているのはほぼ全体。

 駆動系にダメージは無いが、外装は酷く損傷しているように見えるだろう。


「はぁ~…。」


 つい、溜め息が出てしまう。

 思えば、これまで機獣がダメージを受けたことはなかったのではないだろうか。

 初めて受けるダメージが味方から与えられるとは…。

 

(「あーやだやだ…。

 本気で殺しに来てるにゃ。」)


 元々の、ポッド形態でほどほどに相手してから機獣形態で小突いて終わりにする計画がパァだ。

 そもそも、どうしてこうも絡んで来る輩が多いのか。

 自分の求める平穏を破壊しようとするならば…


(「もういいにゃ。

 『()ってやるにゃ。』」)


キイィィ…ッ!


 機獣のメタモメタルの薄青のボディが、漆黒に染まっていく。


『お、なんだ?

 まだ隠し玉を持っていたのか?』


 ここまでしておいて何も感じていなさそうな奴の言葉が、精神を逆撫でする。


ヒュルッ、ガチン!


 斬艦ブレードを横に咥える。


『取る気だな、だがやらせないぜ?』


バシュバシュバシュバシュッ


 先ほどより多くのプラズマ弾を発射する機獅子。

 これを食らえば流石に動けなくなるだろう。

 プラズマ弾が迫るが機獣は動かない。


『トドメだっ!』


フッ…ボボンッ


 全てのプラズマ弾が機獣に殺到し、爆発を起こす。


『…呆気ない、っ!』


バキイィッ!


 機獅子の厚い前肢の、左腕の装甲が砕ける。


『くはっ…!

 (はえ)ぇじゃねえかっ!』


 シンは見た、宇宙の黒い背景に走る赤い一筋の光を。

 それが変色した機獣の目から発せられる光の残像だと判ったのは、咄嗟に防御に用いた前肢の装甲が砕けてからであった。


ヒュッ


 神の力で高められたシンの動体視力が、宇宙を駆ける黒い影を認識する。


『そこだぁっ!』


バシュバシュバシュッ


 放ったプラズマ弾は影を追うが、影の速度に追いつくことなくやがてエネルギーを霧散させる。


フッ


『やろっ!』


 目に捉えていた影が消え、防御態勢を取るシン。


バキャアァッ!


 左腕同様に、右腕の装甲も砕け散る。

 これで次は腕を犠牲に防げるかといったところになった。


とっ


 両前肢が細くなった機獅子の前方に機獣が降り立つ。


『何だ、終わりか?』


 姿を表した機獣に、シンはそんなことないと分かっていながら問う。


ヒュン、ガチッ!


 機獣から返答は無く…否、機獣はブレードを縦に咥え直し返答とした。


『はっ!

 そういう事かよ。』


 機獣のその構えは、かつての要塞「マズル」攻略戦で見られたものであった。

 その構えから繰り出された突撃(チャージ)は、戦艦の主砲が通用しなかった敵巨大兵器を穿った。

 つまり機獣は最大威力の攻撃を持って、機獅子を討ち取ろうというのだ。


カチカチカチ


 機獅子の前肢に鬣となっていたパーツが集まる。


カチン


『いいぜ、来いよぉ!』


 再び太くなった前肢を両方用いて防御態勢を取る機獅子。


バサァ


 準備が整ったと見た機獣は、背の翼を展開する。


イィィ…


 翼のスラスターが稼働を始める。


ィィイッ、ドッ!


 全てのスラスターが最大稼働し、機獣は飛び出す。


ォォォオッ…!


 大剣を構え突撃する機獣と防御を固める機獅子が衝突する刹那、


ズドォッ!


バキャアッ!


 背後からの射撃に、機獅子の背骨(フレーム)が砕かれる。


『んなぁっ!?』


 不意の一撃に驚愕するシン、そして…


メキメギバキッ


 機獅子の前肢の装甲がひしゃげ、前肢のフレームが折れる。

 しかし勢いは殺せなかった。


ブチィッ!


 防御を突破したブレードの切っ先は太いフレームをものともせずに、機獅子の首を引きちぎったのであった。


ガッ、ドゴオォンッ!


 そして前半身のみとなった機獅子は勢いのまま機獣に、後方の岩塊(デブリ)に叩きつけられたのであった。

 

バチチッ…


 そして機獅子の胴体と岩塊の間には、火花を散らすリニアガンが挟まっていたのであった。


ヒュッ、キィンッ


 そして機獣はブレードを岩塊から引き抜くと、機獅子の胴体に突きつけた。


『…………。』


キイィィンッ


 シンが黙っていると起動されるブレード。

 このまま押し込まれれば、容易く切り裂かれるであろうことは明白であった。


『分かったって、俺の負けだ。

 だからブレード(それ)下げてくれよ。』


『言ったにゃ?

 二言はナシにゃ。』


イィィ…、スッ


 ブレードが停止し、切っ先が下げられる。


『…キングハート大尉の投降を受領。

 フローレンス中佐の勝利です。』


 当人同士のやり取りから遅れてのバリキリー大尉の宣言。

 終始一進一退を繰り返した決闘は、最終的にはピコがシンを圧倒するという形で幕を閉じたのであった。

 

 …………………………………。


 …………………………。


 …………………。


 …………。


 …。


 そしてこの決闘は記録映像と共に軍内に拡散。

 以降、反マルコシアス隊の者たちは鳴りを潜め、ピコには新たに「悪魔猫」という呼び名がついたのであった。



 



活躍すると主人公ムーブから遠ざかるピコ…。



いつも読んでいただきありがとうございます。


ブックマーク、☆評価、いいね等、

よろしくお願いします。


感想、レビュー等もお待ちしています。



本作更新を楽しみにしている方へ


申し訳ございませんが、作者年末休暇につき一週間程不定期更新になります。

ご理解と、更新を楽しみに待って下さると幸いです。


それでは良いお年を。   FURU



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