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4  シンの実力

もう一話投下!

 ピコとシンがそれぞれ相手に速攻をしたのには訳があった。

 技量の近い者同士の場合しかもそれが熟達者であれば、いかに初めて立ち会う相手であっても時間がたつ程慣れていき、最終的には地力の勝負となる。

 ピコは性差による体力的な懸念と、同格相手との戦闘経験の不足。

 シンは機体性能差と、機体経験の不足をそれぞれカバーするために早期決着を試みたのだ。

 しかしファーストコンタクトの失敗により決闘は膠着へと陥っていた。


パパパッ、パパパッ、パパパッ


 パルスARのバースト射撃がピコの機体を狙う。


ギュン、クルッ、ギュンッ


 ピコの機体は緩急をつけた機動で狙いをつけにくくしながら回避を行う。

 ファーストコンタクトから少しの間は、双方射撃の応酬を行っていた。

 速度でピコ機を襲おうとするシン機に対し、ピコ機は機動力でカウンターを行う。

 しかしそのカウンターもシン機のとる一撃離脱と厚い装甲に阻まれ効果が今一つ。

 逆にカウンターを優先すると、携行武器の強みである射線の自由さを見せつけられる。


パパパッ


 シン機の射撃を回避。

 なるほど、「天武」と言われるのも納得の技量だ。

 携行武器に射撃の切り替え機能は無い。

 携行武器は“基本”フルオート、三連バースト、単発のどれかでしか射撃を行うことができない。

 なぜ“基本”かというと、機械指(マニュピレーター)操作によっては出来なくも無いからだ。

 フルオート武器のトリガーを一瞬だけ引けばバースト射撃、単発武器のトリガーを連続して引けばフルオート射撃と似たようなことはできる。

 しかしシンのように安定した射撃は不可能に近い。

 マニュピレーターの操作はさほど繊細ではないのだ。


パパパッ


(「天才って奴にゃ?

 …あと1っ!」)


 決闘が決まってからタマが話していた話によると、シンは戦闘機でも何回か乗っただけで教導隊以上の技量になっていたという。

 故にシンについて行ける者が居らず、隊としての活動は行っていないとのことであった。


(『強者は孤独なのにゃ~♪』)


パパパッ


「危なっ!」


 “私”に茶化されて危うく被弾するところだった。


(『心外にゃ~、言い掛かりにゃ~。』)


(「少し黙ってにゃ!」)


 そんなこんなで、先ほどからのカウントは0。


ゴォッ!


 このカウントはパルスARのリロードまでの射撃回数だ。

 カウントが0ということはバッテリー()切れ、攻撃チャンスだ。

 当然向こうも距離を取ろうとするが、バック移動にブースターは利用出来ない。

 速度はこちらが圧倒的で、ショットガンの出番がようやくやって来た。


ババシュウッ


「ちぃっ!」


ドンッ!


ボボッ


 シンはこちらが撃つ一瞬前のタイミングでロケット弾で牽制、標的を逸らしつつ爆発で散弾の大部分を処理した。

 おかげで多少の被弾はあるものの、まんまと離脱された。


(機体が重いにゃ…。)


 今のところ出番の無い斬艦ブレードに、ダメージソースに残していたリニアガン(残弾1)。

 バッテリーはまだまだ十分ある。


パパパッ


 銃撃が再開される。


(またしばらく回避に専念にゃ?)


 フルオートで撃って来るならまだチャンスが多いが、こうも弾を節約されると厳しいものがある。

 断続的な射撃と連続した射撃では、前者の方が消耗してしまう。(射線の予想がしにくいのだ)

 事実、ヘルメットの中は汗でびっしょりだ。


(…捨てるにゃ?)


 機体を軽くして回避しやすくする選択が浮かぶ。

 火力としてはブレード類にパルスガンでも十分過ぎるくらいだ。

 リロード時の攻撃も若干有利になる。


パパパッ


バチンッ


 射撃回避ついでに残弾が一発のリニアガンを捨てる。


(これも要らんにゃ!)


 自棄を起こしたように二丁の携行ショットガンも放り捨てる。


カシャン


 空いたアームに斬艦ブレードを握らせる。


(『あんま変わらんにゃ。』)


 そんなことはわかっている、それに「全く」変わらないよりは良いだろう。


(『…好きにするにゃ。』)


パパパッ


 それにしてもシンは良く狙えるものだと思う。

 ブレードの腹を斜めにして前に掲げる。


チュチュィンッ!


 艦を斬る刃だ。

 パルス弾の数発を弾くことなど造作も無い。


(『とかいって、内心バクバクだったにゃ。』)


 …まあ、賭けの一つであったことは認める。

 しかし賭けに成功したことで、膠着した決闘にこちらに有利な変化が訪れたことは確かだ。

 

パパパッ、パパパッ、パパパッ


 これまでと同じように一方的に撃たれる戦いが続く。

 

(15、14、13、…)


 しかし軽量化したからか、回避動作が心なしか早くなっている気がする。

 精神的に僅かな余裕が生まれ、カウントの数は減って行く。


パパパッ、パパパッ、パパパッ、パパパッ


 向こうも違いを感じ焦っているのか、射撃の間隔が短い。


(…5、4、3、今にゃ!)


ゴォッ!


 カウント2の射撃を回避し、スラスターを全開にして加速。


パパパパッ


 先ほどまでより早いタイミングでの強襲に、パルスARの射撃が乱れる。


チュイィィンッ…!


 右アームで保持した斬艦ブレードを盾にして、カウント1の射撃を防いだ。

 敵機は目前、狙うは散々苦労させられたパルスAR。


ジャキンッ


 左アームのブレードを展開と同時に振るう。


パパッ


「!」


バシィッ!


 






メリー!クリスマス!!


いつも読んでいただきありがとうございます。


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