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3  ラウンド1、GO!

ファイッ!

 タマ中佐が預かるマルコシアス隊母艦「アンカーヘッド」が、ピコを筆頭とするポッド部隊に合流して数日。

 キングハート大尉のワガママに端を発する「『天武』VS『艦斬り』の決闘」は、大勢のギャラリーに見守られる中で開催されることとなった。


(『まさか私らにも異名があったとはにゃ。』)


 興味深いといった様子の“私”。

 要塞「マズル」攻略戦あたりではドギヘルスの兵に「刃持ち」とは言われていた。

 そして同時期に軍内で流れた、わたしが敵艦を両断したという噂。(実際は砲塔や船首の一部だったが…。)

 極めつきは、この前の哨戒任務だろうか。

 この時の駆逐艦のクルー達がその他の者に「噂は本当だった」と自慢気に話し、決戦を控え集結し始めていた大勢の兵に認識されたということだ。


問題無し(オールグリーン)出撃()せるぞ。』


 出撃前の機体確認を行っていた親父っさんから報告があがる。


『こちらも問題無しです。』


 新しい整備クルーからも完了報告。

 キングハート大尉の機体確認も済んだようだ。

 大尉の機体は特務機アサルト仕様をベースとした機体に、更に個別の改造を施した専用機となっていた。

 アサルト仕様の装甲を兼ねた小型ロケットポッドはそのままに、ガトリングガンではなくブースターを機体両側面に装備。

 メイン武装はパルスAR(アサルトライフル)

 マガジンをマグネット接着式の安価なプラスチックバッテリーとすることで、本来使い捨ての携行武装を繰り返し使用可能にした銃だ。

 そのため機体背部には輸送ボックスを改造した、サブアーム付きのマガジンケースを背負っている。

 また、取り回しを優先したのかアームのバルカンは機体上部に移設され、アームの固定武装は左アームのレーザーナイフのみとなっていた。

 

(ロケットは問題無しとして、パルスARをどうにかす

 ればいいかにゃ?)


 そうすれば飛び道具はバルカンのみ、メタモメタル製の装甲は余程でなければ貫けまい。

 つまり「詰み」だ。

 ピコの機体はいつもの特務機ハイマニューバ仕様。

 装備は機体右側面にリニアガン、上部にパルスガン、アームにバルカンと展開式ブレード、背部には大型スラスターのほぼテンプレート(いつもの)装備。

 機体左側面には斬艦ブレードをマウントし、空いたアームにはショットガン2丁を携行することにした。


(『そう上手く行くといいにゃ?』)


 「上手く行くといい」でなく、「上手く行く」ようにするのだ。


『それでは両名ともに、指定のポイントに向かって下

 さい。

 指定ポイントに到達後10カウントで無線を封鎖、

 戦闘行動の開始となります。』


 モニターに訓練宙域の地図と、赤丸が表示される。

 ポイントはそれぞれ異なり赤丸の範囲内に入ればカウントが開始されるのだろう。


『ハッチ解放、発進して下さい。』


「キマイラ1ピコ・フローレンス、発進するにゃ。」


ゴォッ!


 基地から2機のポッドが発進、決闘の火蓋が切って落とされた。


 …………………。

 …………。

 …。


『ピッ』


 ポイントに機体を進めていると、キングハート大尉から通信が入る。


『レンス中佐、礼を言っておくぜ。

 あんたらのもたらした情報で俺たちはもっと最強に

 なれた。

 あんたの強さも本当だろ?

 だから殺されないでくれよ。

 ブツッ…』


 大尉は言いたいことを一方的に話して通信を切る。


(『…舐められているようにゃ?』)


 言葉としては大尉の挑発を受け止めての発言のようだが、何故か愉しげな雰囲気の“私”。

 大尉も「天武」と言われるだけあり、実に傲慢に自らの勝ちを確信している。


(「戦闘狂い(バトルジャンキー)の嗜好は理解できないにゃ…。」)


 ピコとしては、大切な者達と平和で平穏に暮らせることに価値があると思っている。


(………本当にそうにゃ?

 いや、もう少しでポイントにゃ。)


 筈だった。

 しかしピコはすぐに不意に浮かんだ疑問を頭の隅に追いやり、これから始まる決闘に意識を集中する。


『両機のポイントへの侵入を確認。

 カウント開始、10…』


 バリー大尉からの通信が入り、カウントが開始される。


グッ!


 スロットルレバーを「FULL」に押し込む。


ゴオォッ!


 機体の急加速により、身体がコックピットシートに押し付けられる。


『8、7…』


 カウントは進む。


『ピピッ!ピピッ!ピ』


 機体が赤丸の範囲外に出たことで警告が鳴るが、操作を行う前にOFFになる。


『5、4、3…』


 カウントが半分を切る。


『ピピッ!』


 レーダーに反応。

 向こうも同じ事を考えていた。


『ハッハーッ!』


 大尉の戦意に満ちた笑い声が聞こえた。


『2、1、…』


「っ!」


 敵機を視認。


『0』


タタタタタタタッ!

パパパパパパパッ


 カウントが0となり、無線が封鎖される。

 そして直後、パルスガンとパルスARの火線が交差する。


ギュンッ!


 機体の至近スレスレを敵機が高速で過ぎて行く。

 互いに互いの射撃をかわすために進路を逸らしたが、一歩間違えれば衝突(ヘッドオン)で終了であった。

 しかしそうはならなかった。

 両者は再び銃口を相手に向けようとする。

 決闘のファーストコンタクト。

 それは互いに速攻を仕掛けるというものであったが、近距離で射撃を交わしながらも両機被弾無しという結果に終わったのであった。


もう戦闘パートだと!?


いつも読んでいただきありがとうございます。


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