声
声が好きなひとと、しゃべると。
ドキドキします。
沈黙は 冷え固まった鉛みたいで
重苦しいだけの夜じゃ いつにも増して深く
わざとらしい気遣いが やけに危ういね
崩れ落ちるまえに ドアで遮ってくれないか
減りゆく言葉数が
「残り僅かだ」と 何よりも強く告げる
鼓膜に灼きついた声紋だけが
ふたりの歳月の証でも
もう一度だけ聴かせてくれよ
ありふれた愛の台詞でいい
鼓動はメトロノーム 変拍子の振り子が揺れ始めて
悪ふざけのような終わりかたじゃ やりきれないさ
白々しい慰めさえも 今なら信じてしまいそうだ
静寂は はりつめてる氷みたいで
厚く閉ざす そのむこうに いつにもまして蒼く
さぐるような視線だけ やけに饒舌だ
あふれかえるまえに 顔をそむけては逃げるのか
鋭い言葉尻に
「終わる時期」だと 誰よりも早く悟る
鼓膜が焦げついてきみの声すら
心で震えなくなろうとも
もう一度だけ聴かせてくれよ
古ぼけた夢の話でいい
追憶はオルゴール 螺子を巻く右手がさだまらずに
あとくされのような続けかたじゃ やりきれないさ
初々しい馴れ初めさえも いつしか忘れてしまいそうだ
もう一度だけ聴かせてくれよ
ひねくれた嘘の羅列でいい
孤独はシンドローム 病床の寝た子が目を醒まして
尻すぼみような終わりかたじゃ やりきれないさ
神々しい微笑みさえも 今なら疑ってしまいそうだ
ちょっと、枯れた声のほうが、好みかも。
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