表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

テーマ詩集:声

作者: 歌川 詩季

 声が好きなひとと、しゃべると。

 ドキドキします。

 沈黙は 冷え固まった鉛みたいで

 重苦しいだけの夜じゃ いつにも増して深く

 わざとらしい気遣(きづか)いが やけに危ういね

 崩れ落ちるまえに ドアで(さえぎ)ってくれないか


 減りゆく言葉(かず)

「残り(わず)かだ」と 何よりも強く告げる

 鼓膜に()きついた声紋だけが

 ふたりの歳月の(あかし)でも


 もう一度だけ聴かせてくれよ

 ありふれた愛の台詞(せりふ)でいい

 鼓動はメトロノーム 変拍子の振り子が揺れ始めて

 悪ふざけのような終わりかたじゃ やりきれないさ

 白々しい(なぐさ)めさえも 今なら信じてしまいそうだ



 静寂は はりつめてる氷みたいで

 厚く閉ざす そのむこうに いつにもまして蒼く

 さぐるような視線だけ やけに饒舌(じょうぜつ)

 あふれかえるまえに 顔をそむけては逃げるのか


 鋭い言葉尻に

「終わる時期(とき)」だと 誰よりも早く(さと)

 鼓膜が焦げついてきみの声すら

 心で(ふる)えなくなろうとも


 もう一度だけ聴かせてくれよ

 古ぼけた夢の話でいい

 追憶はオルゴール 螺子(ねじ)を巻く右手がさだまらずに

 あとくされのような続けかたじゃ やりきれないさ

 初々(ういうい)しい馴れ()めさえも いつしか忘れてしまいそうだ



 もう一度だけ聴かせてくれよ

 ひねくれた嘘の羅列でいい

 孤独はシンドローム 病床(びょうしょう)の寝た子が目を醒まして

 尻すぼみような終わりかたじゃ やりきれないさ

 神々(こうごう)しい微笑(ほほえ)みさえも 今なら疑ってしまいそうだ

 ちょっと、枯れた声のほうが、好みかも。


※ 下↓にリンクがあります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【この作品は↓の作品へのアンサー・リリックです】
Please call my name
作者:未来屋 環 先生
― 新着の感想 ―
[一言] 言葉の選び方、韻の踏み方が好きです。 鼓動はメトロノーム、追憶はオルゴール、孤独はシンドローム。口に出して言いたくなります。 終わってしまうことを恐れながらも、でももう一度その声を聴きたいと…
[一言] なんだか、色んなものに捉えられて難しい… 好きな人の命の灯が消えそうになるその脇で もう一度その声を聞かせてくれ、と言っている場面 「鋭い言葉尻」の下りは、医師や看護師が 手を尽くしている…
[良い点] 「メトロノーム 変拍子の振り子」が好きです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ